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第102回広島2人デモ 7月11日報告

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みなさま

毎度毎週お騒がせします。
第102回広島デモの報告です。

今週は私どもの仕事の関係で、チラシ作成を早々にはじめました。
テーマは「なぜ原発をやめられないのか?」
哲野が前から一度チャレンジしてみたいという角度でトライしてみることにしました。
それは日本に原発など核事業を継続させたいという国際的な圧力の観点がひとつ。
現実に現在は核分裂炉から核融合炉とさらに恐ろしいステージに国際的には進んでいます。

ご承知の方も多いと思いますが、核融合炉はこれまでとは桁違いにお金のかかる事業で、
アメリカを中心とした国際協力で開発中です。

今の時点で日本に核事業から手を引かれるのは
核融合炉開発だけではなしに
非常に困った事態になることは容易に想像が出来ます。

そこで、歴史的に核開発の流れを辿りながら
1.戦後核開発は国連主導で進んできたこと
2.核開発は戦後国際社会の共通課題となっていること
3.その流れの中に日本が位置づけられていること
4.したがって日本に核開発継続の国際的圧力が働いていること
などを俯瞰してみようという観点です。

ただ、アメリカなどは日本に核燃料の再処理事業はやってほしくないようで
そのアメリカの事情はいつぞや原子力資料情報室の伴さんが
原子力委員会で講演した通りだと思います。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/sakutei2004/sakutei25/siryo3.pdf

さらに今回のチラシのもう一つのトピックは
放射能安全神話(低線量無害論)の浸透が日本の原発事業を生きながらえさせている、
言いかえれば原発がやめられない隠れた真の理由は
放射能安全神話にあることをみてみたい、という点です。

中川保雄の『放射線被曝の歴史』を読んだとき
中川保雄が「日本の反原発運動はICRP批判から始めるべきである」という意味合いのことを
書いていて、衝撃を受けると同時にこの言葉の意味をじっくり考えてみた結果が
放射能安全神話が日本の原発を生きながらえさせている、という結論となりました。

チラシ自体はあいも変わらず文字と表ばっかりで一般受けしないだろうな~と思いながらも作成しました
いつもよりさらに減らして25部準備して持っていったところ、
警察の方に渡したのも含め、9部しか売れなかったという惨憺たる結果となりました。
9部の中身も最近いつもチラシを取りに来てくれる固定客の方が4人。

事務所が風通しがわるいため涼もうと思って早めに集合場所に行きました、が
結構風もなく、当て外れでした。

台風は広島から外れ(哲野が事務所の掃除をしたせいです)
全く雨が来ると感じさせない、美しい夕空となりました。

▽デモ後の夕空です

待っていると大歳さんが登場。
チラシの内容で喋っていると警察の方が来られたので指令書の確認。
そうこうしていると、じゃけえさんが現れました。

4人で出発です。

▼今回のチラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20140711.pdf

▼今回のプラカード

スピーチトップバッターは大歳さん。
哲野とスピーカーを持った網野がそれぞれプラカードを持って先頭を歩きます。
じゃけえさんがチラシ撒き。

大歳「今回のチラシのテーマは「なぜ原発をやめられないのか?」ということでお配りしています。
   「なぜ原発をやめられないのか?」という問いには
   視点どこにおくかによってさまざまな答え方があると思いますが、
   今回のチラシでは、この問いに対して時間的にも空間的にも
   非常に長くて大きな視点で解説がされています。
   ぜひご覧になってください。

   核開発は原子爆弾を生み出したマンハッタン計画がそのスタートになっています。
   人類の歴史は戦争の歴史といっても過言ではないぐらい
   人類は数々の悲惨な戦争を体験してきました。
   「なぜ人間は戦争をするのか?」という哲学的な問いには、
   それこそ本が何冊も書けるほどの大きなテーマですが、
   近代に関しては、それは経済の延長で起こされるといってよいと思います。

   例えば、表面的には民族・宗教的に争っているように見える戦争も、
   それは石油や天然資源をめぐる利権の争奪戦であったりするものです。
   石油が自分の国からあふれてくれば、それを売って外貨を稼げる、
   自分たちで消費すれば電源や動力源が得られる、
   これによって工業力や生活水準を向上できる、
   このようにして国の力を上昇させれば軍事力も強化できる、
   軍事力を強化できれば周辺国にたいして優位性を保つことができる、
   ということで資源を持つことが戦争を起こすのに、
   いかに大きな動機となるかが理解できます。

   この意味において第二次大戦中には開発された
   核のエネルギーは軍事的にもエネルギー分野においても
   革命的なものになるはずでした。
   そしてそれは成功したかに見えました。

   核のエネルギーは石油とは比較にならないほどのエネルギーを取り出すことができる、
   それによって平和で豊かな生活を得ることができる。
   世界中の人たちがこの新しい技術に注目しました。

   しかしこれははっきりいって幻想でした。

   核開発には民間企業や金融機関だけでは
   どうにもならないほどのお金がかかりました。
   これは国家予算を使わなければならないほどのものです。
   原発の中心技術となるのは核分裂反応をめぐる諸技術ですが、
   こうした技術はすべて特許化・利権化されていて
   米国では、連邦政府以外、民間ではGEやウェスティングハウスといった
   マンハッタン計画以来の一握りの企業群がこの特許を押えています。
   つまり米国市民の税金で開発された技術の特許を
   民間企業が持っているということになります。

  (後記:これは核技術だけではなく米国の軍産複合体性に特徴ですが、
   お金がかかる基礎研究を税金で賄い、
   利益が見込まれるところでそれが企業のものになっていく構図となっています。)

   東芝の子会社になったウェスティングハウスの開発した原子炉を東芝がブルガリアに原発を納入すれば、
   それだけで、旧ウェスティングハウスのには特許権を扱う子会社、
   ウェスティングハウス・ライセンシング・コーポレーションに特許料が入ります。
   このようにして私たち日本人の支払っている電気料金の一部も
   GEやウェスティングハウスに流れていっています。

   ウェスティングハウスは、原子力潜水艦や原子力空母に搭載される、
   民生用原子炉とは比較にならないほど高いスペックを持つ加圧水型原子炉を開発しました。

   このように原発マネーのお金の流れを見ていくと、
   そこには米国もしくは米国軍産複合体制を頂点とする収奪システムがあるのがわかります。
   日本の原発メーカーが途上国に原発を売りまくれば、
   この収奪システムはどんどん拡大強化されていきます。

   核のエネルギーが開発されても、石油をめぐる対立がなくなったわけでもなければ、
   電気料金が格段に安くなったわけでもありませんでした。

   資源や技術を持つ者だけが独占的・支配的にふるまうことができる経済構造は、
   原発が増えるにつれ弱まるどころか、どんどん強化されていきます。

   いま日本の中で原発を推進している勢力とは、
   この巨大な構造の中で少しでも自分たちのポジションを高めたいと考えている人たちです。

   しかし、日本でも米国でも原発を持っているどの国でも、
   その原発推進勢力がひた隠しに隠していた問題が、放射能問題。
   さらに詳しく言えば低線量内部被曝の問題です。

   ここが彼らのアキレス腱です。

   私たちがしつこくこの問題を扱うのもこのためです。

   チラシでは詳しくそのことに触れていますのでどうかご一読ください。」

次にじゃけえさんにマイクが渡ります。
じゃけえさんはチラシの内容を要約してスピーチ。
また、第1回「なぜ原発をやめられないのか」のチラシの内容も紹介しました。

じゃけえ「…そして広島に原爆を落とした当日、アメリカの大統領は
     これからは核エネルギーの平和利用を推進していく、という意味合いの演説をしています。
     つまり、先に核の産業利用を念頭に置いたうえで、
     原爆の開発を行い、広島に投下したのです」

と付け加ええました。
次のスピーチは哲野です。
哲野は低線量内部被曝問題に触れて、

哲野「政府や厚労省、被曝問題の専門家と称される人たちは
   低線量被曝は人体に影響があるという科学的証拠はないと言っています。
   ところが、低線量被曝は言いかえれば低線量の内部被曝は人体に深刻な影響を与えるという
   科学的証拠は山のようにあるのです。

   その一部を今お配りしているチラシにご案内しております。

   中で、最も興味深い証拠は、ドイツ連邦政府が実施したKiKK研究です。
   意味合いは「原発周辺の小児がん研究」ということになります。
   ▼
   http://www.bfs.de/en/bfs

   この研究は2003年から2007年の間にドイツの全ての原発周辺5km圏の子どもたち
   この場合、子どもたちというのは5歳以下をさしますが
   白血病などの小児性がんについて調べた研究です。
   結論から言うと、原発5km圏では小児性白血病が有意に増加している、という内容です。
   面白いのは、このKiKK研究を批判しているICRP派の学者、例えば日本では
   前の原子力安全委員長代理、松原純子氏などは
   このKiKK研究はデタラメだと主張しています。
   松原氏によれば、この地域の被曝線量は年間で1.9μSv程度にしかすぎない、
   この程度でがんなどが発生するはずがない、と主張します。
   それでは松原氏がなぜ、そんなはずがない、と言うかというと
   ICRPのリスクモデルに照らして言っているのです。
   松原氏によれば、小児性がんを発生するためには最低でも
   年間被曝線量2~30mSv以上なければおかしい、と主張します。
   言い換えればICRPのリスクモデルからいえば、1000分の1以下の線量で小児性がんが発生し
   松原氏はそんなはずはない、と主張していることになります。

   しかし目の前の事実は、小児性がん(白血病)は有意に発生しているのです。

   しかし松原氏は目の前の事実を否定しICRPリスクモデルは正しい、と主張しているわけです。

   それではICRPリスクモデルは何か具体的な根拠があって出来上がっているのかというとそうではない。
   そのリスクモデル自体がまだまだ仮説の域にとどまっています。
   ですから、真に科学的な態度は、目の前にある事実を承認し、
   じぶんたちの仮説が間違っていると認めることなのです。

   数μSvでいったい、小児性がんが発生するんでしょうか?

   KiKK研究を信じるならば、発生していることになります。
   またこのことは科学的にも裏付けられる話です。
   というのは、この数μSvが内部被曝で発生したものとすれば
   (実際そうなのですが)ICRPのリスクモデルは内部被曝を100分の1から1000分の1過小評価している
   とする科学的研究が山ほど存在するからです。

   内部被曝と外部被曝が同じリスクであるとするICRPモデルが
   間違っていて、実際には100~1000倍、私は1000倍なんてもんじゃなくてもっと大きいと思いますが
   正しいとすれば、それにほぼ合致する事実をKiKK研究は科学的に裏付けたことになります。

   100mSv、いや、1mSv以下の極低線量被曝で健康損傷をしているとする
   科学的根拠は今日では山のようにあるのです。」

次に網野にマイクが渡ります。
網野は内部被曝の問題を中心にスピーチしました。

網野「…内部被曝と外部被曝は全く違うメカニズムで発生しているというのは
   アメリカは1945年、広島・長崎の原爆投下以前にすでにある程度わかっていたことでした。
   兵器級プルトニウム製造、兵器級ウラン製造(ウラン濃縮)の工場がすでに出来ていたわけですが
   ここの労働者に様々な病気が内部被曝で発生していることがわかっていたからです。

   1946年にこうした核施設労働者の被曝上限を決めるためにアメリカに放射線防護委員会がつくられましたが
   この時、外部被曝を検討する第1委員会、内部被曝を検討する第2委員会と明らかに
   内外被曝を区別して研究・調査が進行しました。

   今日から見れば、正しい処理です。
   外部被曝委員会は早々と結論を出したのですが、
   内部被曝委員会は結論を出しませんでした。

   なぜ内部被曝委員会が結論を出さなかったのかは色々議論のあるところですが
   結果としてこの放射線防護委員会は、
   内部も外部も同じ健康リスクという、とんでもない結論を出し
   この結論がそのまま1950年に成立するICRPに引き継がれていくのです。

   その科学的外観を装うため、広島・長崎の原爆被爆者寿命調査が用いられましたが
   その調査は高線量外部被曝にはよくあてはまる結論でした。
   が、内部被曝、とくに低線量内部被曝には全く当てはまらない調査であり研究でした。

   ICRPは低線量被曝で健康に害あると言う科学的証拠はない、と主張していますが
   これは正確に言えば、科学的証拠がないのではなくて
   『低線量内部被曝については調べてないのでわかりません』という意味です。

   みなさん、言葉にごまかされ、騙されないようにしてください。
   私たちが無知だと思って、なめてかかっているのです。
   無知でない事を示してやりましょう。」

あと網野は、低線量内部被曝によってウクライナやベラルーシでチェルノブイリ原発事故を知らない
次世代(ポスト・チェルノブイリ世代)の健康影響が深刻になっていることを考えれば
いま、フクシマ事故の影響で日本全体が内部被曝の危険に曝されていても、
いま、手を打てば、将来の被害を最小限に抑えることができる、と強調しました。

元安橋に帰ってきてデモ終了。

ベンチで4人でだべっていると、元安川に珍しい光景が出現しました。
広島の住吉神社(加古町)の船渡御神事に出くわしたのです。
船渡御はご神体を海や川に戻すという神事で、全国の住吉神社に共通した神事です。


この一帯は、今は広島平和公園として川沿いの岸には民家などありませんが
原爆が投下される前、この一帯は広島随一の繁華街で、岸辺にはズラリと色街も含めて
様々な民家が密集していました。
▼その様子は、広島平和記念資料館のジオラマで想像することができます。
(広島平和記念資料館の1Fにあるジオラマの一部)

ですから、かつては広島市民はこの民家の窓から夕涼みがてら、食事をしたり酒を呑んだり
おしゃべりしたりしながらこの船渡御神事を眺めたことでしょう。

4人ともそんな光景を想像しながら目の前の住吉さんの船渡御神事に見惚れておりました。
哲野「今日はもうけものしたねえ・・。」
全員がうなづきました。

以上ご報告を終わります。

第102回広島2人デモ 7月11日告知

▽第102回広島2人デモ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20140711.pdf

7月11日(金)18:00~19:00
広島平和公園元安橋(花時計前)出発
本通り・金座街往復

チラシが出来ました。
宜しければご覧ください

第101回広島2人デモ 7月4日報告

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みなさま
(いくつかのメーリングにお送りします)

第101回広島2人デモの報告です。

今回は6月30日に主なデモメンバーに集まっていただきチラシ会議を開きました。
いろんな案が出されましたが、最終的にほぼ全員一致で
「美味しんぼ」の鼻血問題を取り上げることになりました。

「低線量内部被曝と鼻血には因果関係があるのか」が話題の中心になりました。
哲野が別意見を出しました。

哲野「問題の要点は、低線量内部被曝と鼻血に因果関係があるのかないのか、
   ということではないと思う。
   僕個人は因果関係がある、と思っているが
   今回のポイントはそこにはなくて、
   被曝と鼻血には因果関係はない、と言い切る根拠が本当にあるのかどうかだと思う。」
網野「私の知人にも東京に降り立ったとたん、鼻血が出た人がいる。
   それ以外の要因が考えられないと本人も言っている。
   因果関係があるということにならないの?」
哲野「広島でも原発事故の2か月後、坂町の保育園で保母さんや園児が
   ほとんど鼻血を出したという不思議なことが起こっている。
   だから経験知では因果関係がある、と僕も思う。
   しかし、科学的に立証されていない現在ではあくまで経験知であって
   結局は出る出ないの水掛け論に終わってしまう。
   それよりも重要なことは環境省や美味しんぼに反感を持つ人たちが
   よく言うように、『科学的に見て福島からの放射能との因果関係は考えられない』
   と言い切ることが本当に出来るのかだと思う。
   科学的にたいした根拠がないのに、科学的という言葉を振りかざして
   身の回りの様々な経験知による被曝被害の存在を封じ込めてしまおうという
   動きのほうが、むしろ今回は問題ではないか。

   低線量被曝と鼻血の因果関係が立証されてないと同様、
   低線量内部被曝と鼻血の因果関係がない、とも立証されていない。
   それをテーマにしたいんだけど、どうだろうか」
大歳「そうそう。科学的という言い方で身の回りに起こっている被曝影響の疑いを封じ込めると同時に
   福島現地の復興への努力に水を差すとか、福島差別だとか、情緒的いい方で、
   そういう疑問を封じ込めようとしている。」
網野「そうそう。私たちは福島現地だけを問題にしているのではない。
   低線量内部被曝の危険があるのは、日本全国の話だ。
   それを無理やり、福島だけに限定して『福島差別』とか『風評被害の助長』とか称して
   私たちの素直で素朴な疑問を、情緒的に封じこめようとしている、
   ということは言えるよね。」
哲野「そうそう。問題はないと言い切る科学的根拠があるかないかだ。
   福島からの放射能で鼻血がでるという訴えをする人は
   広島も含めて相当広範囲にわたっている。
   問題は低線量内部被曝で鼻血は出ないとする科学的根拠が本当にあるのかないのかだと思う。
   もしなければ、やはり、現実にどうなっているのか、調査を開始すべきだと思うが
   調査したくない理由として『科学的根拠』を持ち出しているんだと思う。」
Kさん「福島の人たちは率直に疑問を持っても、モノを言えない雰囲気になって
   バッシングまであるよね。疑問を率直に口に出せない。
   それが全部、科学的根拠で片づけられているけど、本当に科学的に見て正しいのかどうか…」

ということで全員一致でこのテーマからはじめて内容を展開することになりました。

低線量内部被曝の基本的な話やICRPリスクモデルの持つ非科学的な考え方、
また、ICRPの線量体系が持つ基本的な欠陥、
チェルノブイリ事故の時とは大きく異なり、外部被曝線量推計とその影響のみに絞った
福島原発事故での放射線影響評価の仕方など、
基本的な要因を中に入れ込むことにしたので
中高生基礎知識のシリーズ第3回としました。

▼第101回チラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20140704.pdf

なお、5月12日午前の菅官房長官記者会見の鼻血問題関連の部分を文字起こしをしてアップしております。

http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/index.cgi?no=308

集合場所いく途中、大歳さんと合流。
集合場所には警察の方が来てました。
指令書の確認後、チラシを渡します。
すぐそばの原爆ドーム前から出発の集団的自衛権反対の大規模なデモがあり、
そこに向かう人も何人か私たちに声をかけていきます。
中にはチラシを受け取って行く人もいました。

じゃけえさんも来て4人で出発です。

大歳さんは途中でまた職場に戻らなければならないということで
スピーチのトップバッターです。

▼大歳スピーチ
「今から2月ほど前になりますが、
 ビックコミックススピリッツに連載している、人気漫画「美味しんぼ」において
 主人公が放射能影響と思われる鼻血の表現を用いて話題となる、というニュースがありました。
 この主人公が鼻血を出すという表現に対し、政府や地方自治体の関係者らが
 風評被害を助長するものとして激しい批判を加えました。
 人気コミックとはいえ、かなり異常な反応でした。

 現在放射線防護のスタンダードになっているICRPの学説では
 放射線の影響から生じる疾病はがんと白血病だけ、ということになっています。
 しかし、チェルノブイリ原発事故以降、がんや白血病の増加よりも
 むしろ心臓系の疾患、および消化器系、呼吸器系の疾患の増加が多く見られました。
 また、それ以外にも高血圧や血糖値の上昇、原因不明の倦怠感など
 低線量内部被曝の影響の疑いが持たれている現象は数多く見つかっています。

 国内の放射線研究の権威の研究者たちは、こうした現象に対して
 まるで口裏を合わせたように決まって用いるセリフがあります。
 『そうした疾病と放射線との因果関係には科学的根拠がない』
 科学的根拠がないというセリフを必ず使います。
 ここでポイントになるのは、そうした因果関係がないとか
 非科学的なものであると断言していないところにあります。

 なぜ断言しないかというと、断言できないからです。

 例えば福島原発事故以降、心臓系の疾患で亡くなる方の数が増えたとしても
 そうした疾病自体はどんな時代にもあります。
 だから心理的ストレスもあるとか、経済的な要因も理由もあるとか
 色々理由をつけて低線量被曝の影響とは必ずしも言えません、と煙に巻いていきます。

 有名な学者の方でもテレビや新聞などで堂々とこうした発言をしています。

 しかし低線量被曝の健康被害についての論文は海外には数多く存在しますし
 日本国内にも書籍で売られている物もあります。
 例えばセシウム137の研究などは比較的たくさんあって、動物実験を用いた
 世界的に有名な論文もあります。
 それを見せても日本の権威ある研究者たちは、こうした資料を全く受け付けないんです。
 なぜならそれを認めるわけにはいかないんです。
 かれらがそういう立場にあるからです。

 低線量被曝の健康被害を認めてしまうと原発事故の賠償金は天文学的な数字に跳ね上がり
 もはや原発ビジネスは成り立たなくなってしまいます。
 もちろん原発の輸出も難しくなっていきます。

 それだけではありません。

 米軍は今でも戦争をする時に劣化ウラン弾という爆弾を使用しますが
 低線量被曝を認めてしまうとこれが定義の上で
 国際法上禁止されている生物兵器ということになります。
 もちろん広島長崎に投下された原爆も生物兵器だったということになります。

 つまり低線量被曝の被害を認めてしまうと
 世界の強い権力を持った支配層の論理や建前が大きく破壊されてしまう
 亀裂が入って行きます。

 だから御用学者や御用メディアを使ってでも、どんなにコストがかかっても
 被曝と言う問題を大きく人間やメディアに対しては圧力をかける
 もしくは一切無視するということを、権力を持った人はやってきています。
 こうした視点から見れば『美味しんぼ』の鼻血問題も
 色々視野を広げてみることができると思います。

 例えば御用学者といいましたけども、原発に反対している方々の学者の中には
 放射線研究を専門にやっている方がいて、そういう立場でありながらも
 低線量被曝に関して楽観的に見ている人たちも残念ながらいらっしゃいます。

 こうした方々の言っていることは本当なのだろうかと
 疑いを持ってニュースや新聞などを包括して見ていただきたいと思います。」

大歳さんのスピーチは放射線被曝問題の本質を俯瞰したなかなかいいスピーチでした。
じゃけえさんにマイクが渡ります。

じゃけえ「チラシの1ページ目には日本国憲法についての記事を書いております。
    集団的自衛権行使について触れております。
    憲法を解釈次第で変えてしまうということ自体、憲法違反になります。
    安倍さんは憲法を遵守する立場にあります。
    憲法を必ず守らなければならない立場にあります。
    その人が解釈次第で憲法の中身を変えるということ自体が憲法違反になります。

    憲法は国民が守るべきものではなく
    国民が権力を持っている人たち、国会、司法、警察が遵守するものです。

    憲法は私たちが守るものではなく安倍さんが守るものです。」

▼憲法99条
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
(英語原文)
Article XCI. The Emperor, upon succeeding to the Throne, and the Regent, Ministers of State, Members of the Diet, Members of the Judiciary and all other public officers upon assuming office, shall be bound to uphold and protect this Constitution.
All public officials duly holding office when this Constitution takes effect shall likewise be so bound and shall remain in office until their successors are elected or appointed.

じゃけえ 「それを総理大臣の解釈ひとつで変えてしまうこと自体が憲法違反です。
     集団的自衛権反対賛成以前に安倍さんが憲法を解釈すること自体が違憲です。
     そのことについてみなさん、もっと批判しましょう。」

そうです。今回の問題の本質は、私たちが戦争にいくかいかないかということではなく
本来憲法に縛られるべき総理大臣が、行政権を盾に憲法解釈までやってしまおう、
これが最大の問題点です。

じゃけえ「今回のチラシの大幅な中身は「中高生のための原発被曝基礎知識講座」です
    最近話題になった『美味しんぼ』について触れております。
    『美味しんぼ』は有名で影響力のあるマンガですが
    たかだか漫画の表現に対して、環境省や福島県や大阪市や大阪府が
    攻撃したのはなぜでしょう?
    
    環境省は福島からの低線量放射能被曝で一般住民に鼻血や倦怠感はありえないと断言しています。
    福島県の人たちの気持ちを考えればこの表現はあってはならないと攻撃しています。
    それをきいてみなさんどう思いましたでしょうか?
    『放射能による鼻血はありえないんだ、
    そういう表現をしたら福島の人たちがかわいそうだ』って思いましたでしょうか?
    大事なのは事実関係ではないでしょうか
    低線量放射能被曝によって鼻血が出る出ないかは誰も断言できません。
    鼻血が出る要因はたくさんあるからです。

    環境省が低線量被曝によって鼻血はでないと断言している根拠は
    いままでの科学的研究によれば鼻血はでないと言っています。

    実際にどうして鼻血が出たんだろうということには一切調査していません。
    科学的根拠に照らしてありえないと断言しています。
    その『科学性』は信頼に値することでしょうか、それは科学的根拠になるんでしょうか。
    そのことについて解説してありますので是非チラシをご覧になってください。

    鼻血が低線量被曝によるものではないという根拠のひとつに福島県民健康調査の結果を上げています。
    じゃあ福島県民健康調査ってどんなことしてるの?
    それを理解しなければそれが正しいかどうかもわかりませんよね。
    福島県民健康調査というのは健康診断ではないんです。
    調査しているだけです。
    調査に行った人は調査しただけで返されてしまいます。
    しかも内部被曝線量は独立して測っていないんです。
    この点がチェルノブイリ事故時と大きな違いです。
    基本調査の内容にも書かれています。
    『この調査は外部被曝を推測するものです』と。

    環境省の根拠には鼻血が起こり得るほどの内部被曝はないとしていますが
    そもそも内部被曝は測っていません。
    それで放射線被曝によるものではないと断言しているのです。
    そのことについても解説しています。」

次に哲野にマイクが渡ります。

哲野「2011年の福島原発事故から3年経ちました。
   みなさん、自分たちがどれくらい被曝しているのか、あまり気になりませんか?

   歴史的にみると地球上で大量の人工放射能で被曝したことがあります。
   大気圏核実験時代です。
   核兵器が週に3つも4つも炸裂したときがあります。
   ケネディ政権時、アメリカは核実験を4日に1度の割合でやりました。
   大量の放射能が地球上を覆いました。
   私たちも被曝しています。
   15年くらいたって全世界的ながん発症、
   特に男性は前立腺がん、女性は乳がんの発症ということで出てきました。
   このため核兵器保有国は大気圏核実験だけはやめようということで
   大気圏核実験禁止条約(日本では部分的核実験禁止条約として知られている)ができました。

   その次に大量に放射線被曝するようになったのは原発事故です。
   原発は事故が起きればそれこそ大量の放射能を浴びることになりますが
   事故を起こさなくても原発は放射能を出しています。
   ただ、それは管理値内の放射能放出だから合法だということになっていますが
   私たちが放射線被曝をしていることには変わりません。

   大気圏核実験、1960年代から先進国で急速に発達した原発による放射能
   この放射能による被曝が私たちのベースに、まず、あります。

   そして2011年、福島原発事故が起きました。
   この時放出された放射能は大気圏核実験時代に放出された放射能の1000分の1と言われていますが
   それは主に日本に集中しました。
   広島にいるから被曝していないというのはちょっとおかしいと思います。

   自分達の被曝線量がどれくらいなのか、
   いま日本で行われている大がかりな被曝線量調査は
   一か所だけ、福島県で行われています。
   福島県民健康調査、これがプロジェクト名です

   基本調査として福島県民約206万人がどれくらい被曝しているかという調査が行われております。
   しかし全員に当たって計測しようというものではありません。
   アンケートに答えてもらう。
   原発事故以降どういう動きをしたか、何を食べたか、いわば行動調査アンケートです。
   それに基づいて被曝線量を推計しています。
   これは調査の内容にも書かれていますが、外部被曝線量推定です。

   福島県や政府の説明によれば外部被曝を調べれば内部被曝もわかるとしています。
   外部被曝と内部被曝のリスクは同じだから、外部被曝さえしっかり測っておけば
   全体の被曝線量はホールボディカウンターで計ることができる。
   だから今の外部被曝線量推計でOKなんだと、こういう説明をしております。

   一見、もっともらしい説明です。

   ホールボディカウンターは全身の被曝線量を測ります。
   外部被曝線量から身体の被曝線量を引けば、内部被曝線量になると
   そういうやり方で内部被曝を推計しています。

   これが組織的で大がかりな集団被曝線量推計です。
   福島以外では行われておりません。

   外部被曝だけ調べておくと、放射線による健康被害がわかるのか?
   ひとつだけ前提があります。
   政府がいう様に、あるいは福島県民健康管理調査検討委員会がいう様に
   あるいはICRPという国際放射線防護団体がいう様に
   外部被曝も内部被曝もリスクは同じ、
   外部被曝の1mSvも内部被曝の1mSvの健康影響も同じだという前提があって
   初めて福島県民健康調査の正しさが成り立ちます。

   ところでホールボディカウンターは全身を測ると言われていますが
   全身から発するγ線の量は測ることができます。
   正確に言えばホールボディカウンターで計れるのは全身から発するγ線だけです。

   内部被曝で決定的な要因になるβ線やα線は測れません。
   例えばセシウム137、大量に出ています。
   これは一回β崩壊をして、その次にγ崩壊をする。
   そして安定的な同位体になって安定する。もう放射能を出さない。
   この過程が半分終わるのに30年です。

   こうしたβ崩壊によるβ線は測れません。

   ヨウ素131、セシウム137、セシウム134、ストロンチウム90
   こうした原発事故に伴う危険な核種はほとんどβ崩壊をします。
   厳密に言えば、ホールボディカウンターでは計ることができない。

   こうした核種はどうやって計るか?
   それは生体試料、血液、汗、尿の中に含まれる放射能を計測して出すことができる。
   バイオアッセイ法とよばれています。
   チェルノブイリ事故ではロシア政府、ウクライナ、ベラルーシでも
   被曝線量推計に血液、尿から内部被曝線量を推計しました。

   ところが日本では、内部被曝を独立して独自に推計していません。

   ホールボディカウンターでは正確な内部被曝線量は出てこない。
   自分がどれくらいの被曝をしているのかわからない。

   福島県民健康調査で発表されている数字によると外部被曝要因が99%、
   内部被曝が1%以下となっています。
   外部被曝と内部被曝のリスクが同じであれば、この方法も正しいのでしょう。

   しかし内部被曝と外部被曝が同じリスクであるという証拠はない、
   むしろ、内部被曝と外部被曝は差が大きい、
   もちろん内部被曝のほうが同じ被曝線量でもリスクが大きいと言い切れる
   科学的根拠と裏付けがあるのです。

   こういう言い方をするのはいやですけれど
   政府や電力業界は、内部被曝を過小評価して私たちを騙していることになります。

   原発は安全だということで1回私たちは騙されました。
   ちょっと考えてみていただきたい。
   いま私たちが騙されているのは原発が安全だということではありません。
   放射線の影響は100mSv以下、つまり低線量であれば人体に全く影響はない
   あるいは影響があるという科学的根拠はないという言葉で
   私たちはまた騙されているのかもしれません。

   騙すだの騙されるだの、こういう言い方は非常に嫌ですけれども
   現実に私たちはある意味、日本の政府に騙され続けじゃないですか。

   被曝の問題で私たちが騙されていると思うのも無理はないと思います。

   お配りしているチラシ、或いは色んな調査研究や本や文章を読んでいただき
   ご自分の頭で判断してみてください。
   ちょっと勉強すれば、意外と、その騙しのテクニック、騙しのトリックは簡単です。
   あんまり手の込んだ騙し方はしていません。
   ただ、めったやたら、放射線被曝は難しいんだと思わせるよう、
   シーベルトだのグレイだの、マイクロだの難しい言葉を並べたてて
   私たちの理解を遠ざけようとする。
   この一見難しそうに見えるだけの放射線被曝問題は、
   真剣になって勉強してみれば、そうたいして難しいものではありません。
   むしろ物理量一本の、単純な学問体系です。
   そんなに難しいものではありません。

   今お配りしているチラシは参考になると思います。
   お調べになってご自分の頭で判断してみてください。

   外部被曝より内部被曝のほうが健康リスクは大きい、これは正しいのか?

   実は正しいんです、チェルノブイリ事故による健康損傷の様々な報告が出ております。
   ロシア、ウクライナ、ベラルーシ政府の報告を原文で読むことができます。
   英語が読める方は是非お読みになってください。

   また欧州放射線リスク委員会という団体が勧告をだしています。
   この中にこう書かれております。
   内部被曝と外部被曝のリスク差は、様々な状況によって違う
   また人によっても違う、またどんな放射線核種によって被曝するかによっても違う
   しかし、総合的に見て、内部被曝と外部被曝のリスク差は100から1000倍だろうと言っています。

   論理的に見て私は正しい推測だと思います。

   リスク差がもし1000倍だったとしましょう。
   1μSvの内部被曝をしていたとします。
   これは今の政府の方針から言えば取るに足りません。
   しかし、それに1000倍のリスクがあるとすれば、1mSvのリスクになります。

   いま法律上、私たちの被曝上限は年間1mSvとしています。
   福島のような被災地は例外です。
   一般の公衆線量の上限です。

   この1mSvに値する放射線量に値する可能性がある。
   内部被曝を過小評価することは、私たちの健康、みなさんのお子さんやお孫さん、
   ご家族の健康を過小評価することになります。

   放射線影響研究所のwebサイトを見ると、これはあくまで一般論ですが
   放射線被曝における傷害は端的にいって、確定的影響では「細胞死」であるといっています。
   大量に細胞死がもたらされると、その細胞で出来ている臓器が機能しなくなる。
   臓器不全ですね。
   そしてその臓器不全が全体に広がると人間は生命を維持できなくなる。
   これが急性被曝症状です。

   10年20年30年かけて起これば低線量内部被曝影響ということになります。
   放射線被曝の影響はとどのつまり、「細胞死」である
   ありとあらゆる健康損傷に繋がる。
   一番顕著に現れるのが老化現象です。
   被曝が一種の老化をもたらすことは、科学的知見としては常識に近くなっています。
   なぜ老化するか、それは細胞が自然に因らない老化をするからです。

   どれくらいの線量によってなるのか、それはわずかな線量でもなると専門家は言っています。」

次に網野ですが、網野はチラシで扱っている美味しんぼ-鼻血問題で、
菅官房長官の記者会見に触れました。
読んでいただく方が早いのですが、最も気になったのは記者会見に集まっているマスコミの記者のみなさんが
美味しんぼを政府として取り締まれ、圧力をかけろ、なんらかの対抗措置をとれ、と
けしかけている点です。

「美味しんぼ」ではあくまで鼻血は経験的にいえることであって、
医師まで登場させて科学的知見はないとまで言わせており
極めて妥当な描写だと思います。

つまり、これは表現の自由に属する事柄だと思いますが、
マスコミの記者のみなさんは、言論弾圧をやれ、と政府にけしかけていることになります。
マスコミの自殺行為以外のなにものでもありません。

元安橋に帰ってデモ終了。

チラシは30部用意し、ほぼ、はけました。
関心は薄いだろうと30部用意しかもっていかなかったのですが
特徴的にはプラカードを食い入るように眺める人が多かったことです。
それじゃプラカードを食い入るように見た人がチラシを受け取ったかというと、受け取らない人のほうが多かったことも特徴でした。
どういう現象でしょうかね。
網野の感想は若い男性が手に取ってじっとみている人が多いな、と思いました。
それと、まだ広島では被曝問題を正面から取り上げることはタブー視されているのかな、という印象もありました。
また、多くの広島市民にとって福島での出来事は福島の問題であって、広島の問題ではない、思い込んでいる人がまだまだ多いのだと思います。
今日本で被曝をしていない土地などはありません。

以上ご報告します。

第101回広島2人デモ 7月4日告知

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みなさま

第101回広島2人デモの告知です。
7月4日(金)18時~19時
平和公園元安橋東詰め(花時計前)出発
本通り・金座街を往復します。

チラシが出来ました。
▼第101回チラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20140704.pdf

冒頭、「日本国憲法こそ私たちの生存と人権を守る最強の砦」からはじまります。

タイトルは
「中高生のための原発・被曝基礎知識その3」
Q1:鼻血と放射線被曝を取り扱った「美味しんぼ」がなぜあれほど激しく攻撃されたの?
Q2:福島県⺠健康調査ってなにをやってるの?
チェルノブイリ事故ではどういう検査を実施したの?
Q3:福島県⺠健康調査で何がわかるの?
Q4:「確定的影響」「確率的影響」ってなんなの?
Q5:実際にはどんな被曝症状があるの?

です。
それでは今日も歩いて参ります。

第100回広島2人デモ 6月27日報告

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みなさま

第100回広島2人デモの報告です。

今回の参加者は5人
哲野、網野、じゃけえさん、久しぶりのSさん、よく伊方デモに参加してくれる一ノ瀬さんでした。

今回のチラシのテーマはある意味昨年から手ぐすね引いて待っていた、人口統計調査でした。
哲野「人口統計調査がでたとニュースにあった。これでいこう。…でもおかしい。」
網野「なにが?」
哲野「早すぎる。」
網野「なにが?」
哲野「総務省の人口動態調査が。」

結論からいって、100回目の広島2人デモは散々な結果と相成りました。
持っていったチラシは30部、そのうち残ったのは20部ちょい。
しかも、チラシを取って行った人はデモ出発前に
「広島2人デモさんですか?」
「そうです。」
「チラシをください」
という若い男性、あとデモ中でチラシ常連の顔なじみの人が3人。
ということは一般の人で受け取ったのは数人、ということになります。

いつもスピーカーを抱えプラカードを持って先頭を歩く網野によれば、
プラカードを見た人はかなり多かった、しかもビジネスマンが振り返りながら凝視したり、
プラカードの裏表を確認しながら通り過ぎて行った。
ちなみに今回のプカラードは上のとおりです。

しかし、チラシを持っていった人は少なかった。
プラカードを見た人は多かったが、参考にチラシを持っていこうとした人は少なかった。
これは恐らく一種のトンデモ情報と受け取られた可能性があります。
また他の見方もあるかもしれません。
人口減少はすでにマスコミが高齢化社会到来で一般に伝え、何も目新しい事ではなかったこと、
また、出生は総務省発表では若干(995人)増えている、という報道がなされていたこと
超高齢者の老衰死が増えている、はある意味当然で、インパクトがなかったこと
などが挙げられると思います。

今一番の問題はフクシマ事故による放射能と健康影響の因果関係をどう一般に説明していくかです。

「美味しんぼ」の鼻血問題も低線量内部被曝の健康影響が理論的にも実体的にも理解している人からすれば
当然すぎるくらい当然の話なのですが
やはり客観的データの裏付けがない、その割にはインパクトが大きい
この点が反論の大合唱で、これは捨て置けない問題として叩かれましたが
逆にその影響の大きさをうかがわせる事件でした。

どちらにせよ、100mSv以下では健康に影響がない、確率的影響でがん、白血病以外の疾病が生ずることはない、
福島からの放射能の影響で鼻血がでるなどということは、ありえない
科学的根拠がないという攻撃の前には小学館も沈黙せざるを得なかったというべきでしょう。

たしかに低線量内部被曝の影響は、わかりやすい形では出てきません。
しかし、チェルノブイリ事故の影響に関する報告を読めば、
明らかに5年10年の歳月が経てば、明白な因果関係を認めざるを得ないのも実際です。

明白な因果関係のなかで、これもわかりやすい形で出てくるのが死亡の増加と出生の減少です。
今回そのことを裏付けてみようとしたわけですが、
事故後3年程度でははっきりした疫学的証拠を見出すのは難しかったかもしれません。

しかしはっきりした疫学的証拠が出て来てから対処したのでは遅すぎることもまた事実であり
これはまさにウクライナ政府やベラルーシ政府の二の舞を防ぐことになります。

チラシの中でも時期尚早ですがと断わりを入れているのが、またインパクトを弱める結果となったかもしれません。

しかしながらフクシマ事故後3年にして注目すべき傾向が現れていることもまた事実です。

それが老衰死の激増なのですが、これも放射線被曝が人工的な老化の促進(非特異老化)であることを
しっかり分かった人にはインパクトのある情報ですが、放射線の影響は若年者に現れる、
60歳以上は放射線感受性が低いので低線量被曝の影響は表れないという俗説を
信じている人たちにはなかなかインパクトの薄い情報なのかもしれません。

とりあえず今回は散々な結果となりました。

集合場所に到着して待っていると、警備の警察の方が来ました。
すぐにじゃけえさんが現れて、今日は3人で出発かな、と思っていると
ひょいと久しぶりの顔が交差点の向こうから顔がのぞきました。
よくみるとSさんです。
近づいて「いよっ!お久しぶり」
Sさん「今日、一緒に歩いていいですか?」
背の高いSさんは、これも背の高い網野と並んでプラカードを持って歩いてもらう事にしました。

準備をしていると一ノ瀬さんが現れます。
一ノ瀬さんと哲野がチラシ撒きに回り、じゃけえさんのスピーチの5人で出発することになりました。

▼第100回チラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20140627.pdf

音楽が鳴ってスタートです。

じゃけえ「通行中の皆様、商店街の皆様、毎度お騒がせしております。
   毎週金曜日恒例の広島2人デモです。
   みなさんに知っていただきたい情報をスピーチしながら歩いております。
   少しでも耳を傾けていただければ幸いです。

   毎回チラシを作成し、お配りしております。
   是非お手にとってご覧下さい。
   チラシの内容はwebでもご覧いただけます。
   広島2人デモで検索してみてください。

   本日で100回目になりました。

   日本の人口を見て、フクシマ放射能危機について考えたチラシになっております。
   福島原発事故前から日本は超高齢社会になり出生数と死亡数は逆転し
   出生数は下がり、死亡数は上がりつづけています。

   2011年東日本大震災で多くの方がなくなりました。(約2万人の不慮の死亡=警察庁統計 行方不明者含む)

   にもかかわらず、2012年にさらに死亡数が増えました。
   (確かに総務省の住民基本台帳に基づく人口動態及び世帯数では、死亡は574人減少しています。
    しかし「厚労省の平成25年人口動態統計月報年計の概況」=各地の保健所からの報告をベースに集計しています=
   では、2012年も2896人死亡が増えています。これは総務省自治行政局住民制度課も認める通り
   総務省の統計は各地の住民基本台帳の報告をそのまま集計したものであり、
   このレベルの増減となると、もう一自信が持てないようです。
   従って私たちは厚労省のデータを基本に2012年もさらに死亡数が増えたと考えています。)

   大きな特徴は超高齢者の死亡数が増加し続けています。
   2010年は75歳以上の階級に限って言えば、死亡数は前年より多く約4万人以上死亡が増加した異常な年でしたが
   2011年はそれよりさらに約4万4000人死亡が増加しました。
   これは震災による不慮の事故死が増えたからという理由で説明がつくかもしれませんが 
   2012年は2011年よりさらに2万5000人以上、この階級の死亡が増加しています。
   これはいったい、どうしたわけでしょうか?

   超高齢社会に伴う現象ばかりとはいえないと思います。
  
   今の日本では放射能の影響はがん以外考えられないとしていますが
   チェルノブイリの報告ではがんの他にも全身の他にも様々な疾患が報告されています。
   その中に放射能の影響に、非特異老化と言う症状があります。

   高齢者の方が放射能によって老化が進み、
   結果として超高齢者に死亡の増加がまず現れている、という考察をしています。」

次にマイクが哲野に渡ります。

哲野「今日のテーマは日本の人口と人口動態です。
   一昨日総務省が住民基本台帳に基づく人口及び人口動態調査を公表しました。
   例年からすると2か月前倒しなのでえらい早いなぁと思っていたら
   どうも調査の基準の月日を変えたようです。

   人口は毎年『3月31日現在をとっていました』が
   今年から毎年1月1日に変更、また人口動態については
   4月から翌年の3月の12か月間から毎年1月から12月の12か月間、に調査期間を変えました。

   その調査によると人口は1億2640万人、社会変動を入れた人口は約24万人減少しています。
   2012年は26万人くらいの人口減でした。
   福島原発事故の起こった2011年は約13万人くらいの減少でした。

   ですから人口は急減しているといっていいと思います。
   一般には日本は超高齢社会に入り出生と死亡が逆転して人口減少時代に入った、
   このことが大きな原因であると説明されているし実際にその要素は大きいと思います。

   しかし福島原発事故以降、あまりにも人口の減り方が大きい。
   それまで減ったといっても毎年数万人レベル。
   東日本大震災で行方不明も含めた不慮の死は約2万人
   それを入れても約13万人の減少だったのです。

   ところが2012年、2013年、10万人台の人口減少が一気に20万人台になります。

   超高齢社会の定義は人口の21%が65歳以上の人口構成社会です。
   しかしこの要素だけとは言い切れないとみています。

   美味しんぼという漫画で放射能のせいで鼻字が出たという話を扱いました。
   大人げないと思うのですが政府や様々なところから
   放射能との因果関係はないと袋叩きに遭いました。

   ところがこれは非常におかしな話。

   世界で最も権威あるとされているのはICRP国際放射線防護委員会ですが
   このリスクモデルに従っても、100mSv以下では人体に影響があるという科学的証拠はない
   とこういっています。
   言い換えれば、その影響はわからないと言っている。

   だから美味しんぼが鼻血と放射線と因果関係があるといっても科学的根拠がないように
   放射線被曝と鼻血との因果関係がないという科学的証拠もないのです。

   しかし実際にはチェルノブイリ事故の影響をみると明らかに
   放射線と健康影響とのあいだに相関関係がある。
   これはどんなに政府や権威機関が否定しようが、
   様々な研究が出ていますし、数字が出ていますから、もう否定のしようがありません。

   翻って日本の福島原発事故、放出される放射能による健康への影響
   これはなかなか因果関係の特定が難しい
   しかし特定が難しいなかでも死亡数と出生数は比較的わかりやすい因果関係があります。
   こうした観点から見ると福島地方だけではなく、日本全国レベルでフクシマからの放射能の影響は
   事故後わずか3年で、すでに影響が出始めている、特に放射線弱者である75歳以上の超高齢者に
   顕著な影響が出始めていると、みることが出来ると思いま。す。
   それでは超高齢者では何が死亡原因になっているのか
   それは老衰死です。

   2010年死因の第5位が老衰死で4万5342人が亡くなっています。

   2011年、東日本大震災の時でしたが、老衰死は第6位に下がってはいますが
   よく見ると5万2242人と増加しています。
   ところが2012年に再び第5位に戻り、6万0669人とさらに増加してす。
   2013年はこの数字が6万9684人と、7万人台に近づいています。

   私の予想ですが、来年は7万人台の数字になるでしょう。
   申し上げたようにフクシマからの放射能は全国レベルで
   まず超高齢者を襲い、死亡を増加させています。
   そしてその死因は老衰死の増加という現象で現れている。
 
   それでは、老衰死とはなにか?
   加齢による老化に伴って固体を形成する細胞、
   また、その細胞で構成される組織や器官の能力が低下し、
   生命維持が出来なくなる状態と定義することができます。
   すなわち、フクシマからの放射能がすでに個体維持の難しくなっている超高齢者に対して
   最後の一突きになったのではないか、と説明することが出来るのではと思います。
   繰り返しましが、これは何も福島地方だけに特異的に表れた現象ではありません
   全国レベルで現れている現象です。」

次にマイクが再びじゃけえさんに渡り、じゃけえさんは最初のスピーチを繰り返しました。
最後に網野に渡りました。
網野は放射線被曝問題、原発問題、から私たちを護ってくれる最後の砦は何か、すなわち
日本国憲法の問題に触れて次のようにスピーチしました。

網野「私たちは最近の人口動態、人口の急減は
    放射能の影響が加速しているという疑いを持っております。
    放射能の健康影響のひとつに非特異老化という現象があります。
    被曝による老化現象は、私たちが経験的に広島で知っていることです。
    代表的には生きる力を奪っていく病気として原爆ぶらぶら病が挙げられます。
    また、セミパラチンスク(現在はセメイ)を訪れて医療支援をしている広島大学の学者の中にも
    セミパラチンスクの住民の中に原爆ぶらぶら病とそっくりの症状をみせている人たちが多い、
    と指摘されています。
    放射能の影響に老化現象?嘘でしょ?と思いたくなるんですが事実です。
 
    内部被曝の影響であることが明らかにされつつあります。

    憲法の解釈改憲問題で騒がれておりますがみなさんは憲法をご存知でしょうか?
    小学校で憲法を勉強しますが、先生の中には間違って伝える人もいます。

    日本国憲法では、国とは私たち国民ことを差します。
    ですから私たちは実は日本という国の主人公です。会社に例えればオーナーです。
    経営のために優秀なスタッフが要ります。
    そのため「こういう約束を守って仕事をしてください」と契約書を結ばせます。
    この約束、契約書が憲法です。

    憲法は私たちが守るものではなく、政府などに守らせる約束なわけです。
    当然政府などは約束を破ろうとします。
    人間というのは欲深いです。
    金と権限があれば自分の自由にしたいと思うのは当たり前です。

    約束を破らないよう、オーナーは、監督権限を行使して
    なにやっとるんや、ちゃんと仕事しとるかと、常に目を光らせるのが、私たち国民の義務です。

    憲法の問題は大事です、原発の問題にも大きく関係します。
    私たちはあらゆることを精査して、
    間違ったことをやっとらんか、私たちのお金を勝手に使いこんどらんかと
    常に調べて目を光らせていないといけません。
    これが私たち「国民の義務」ですね。

   それを維持することで私たちは平和で安全な生活を享受することができる、
   これが私たちの「権利」です。
   この権利を守るために私たちは憲法という約束を政府に与えているわけです。

   憲法は契約書です。
   契約書を破棄しよう、あるいは変えてやろうというのは憲法違反です。
   そういうことをしようとする人を、雇うべきではありません。

   そういったことを考えながら様々なことを考えていただければと思います。」

元安橋に帰ってデモ終了。
街の反応はすでにご報告した通りです。

以上、ご報告いたします。