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第129回広島2人デモ 2015年5月8日報告

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みなさま

毎度毎週お騒がせしております。
第129回広島2人デモ5月8日の報告です。

待ち合わせ場所に行く車の中での哲野と網野の会話。
網野「今日もICRPだから、反応は鈍いだろうねえ。」
哲野「人間、自分が聞いたこともない、食べたこともない、触ったこともない、
   全く知識のないことには興味を抱かないことになっている。
   反応が鈍いのはやむを得ない。」
網野「だからチラシは8部にしたんだもんね。
   でもICRPは私たちとは強くかかわってるから」
哲野「そう。皆が関心がないからといって、関係がないわけじゃない。
   それどころか大いに関係がある。
   知らなきゃ、知らせればいい、という話だ。
   いつかは、ICRPが日本の社会の常識になるよ。
   それまでやりつづければいい。」
網野「それにしても、知れば知るほど、支配されてる感じがするね。」
哲野「ま、支配というか。
   中川保雄が『放射線被曝の歴史』の中で、なぜあれほどICRPに腹を立てていたのか、
   今ごろになってよくわかる。
   ICRP批判ができないようじゃ、反原発運動の看板を下ろした方がいい。」
網野「そういえば、中川保雄はICRP批判から反原発運動は出発すべきだ、と言ってたよね?」
哲野「そう。そう言ってた。
   結局、当時の状況は反原発は言うけれど、
   それを強力にバックアップしているICRP学説批判に踏み込まない、
   当時の反原発運動にも同時に腹を立てていたんだと思う。
   結局、ICRPを潰してしまわなければ、原発、核施設、核兵器はなくならないということだね。
   その事情は今でも変わらない。
   同じ広島出身だけど今中哲二や、振津かつみみたいな学者が
   反原発や脱原発運動の側からもてはやされているようじゃあ、原発はなくならない。」

てなおしゃべりをしていると、待ち合わせ場所に向かおうとするツナさんの姿が見えました。
今日はてっきり、2人きりだと思っていたので、ツナさんの姿が見えて嬉しくなりました。

3人で待っていると、警備の警察の方が来たのでいつも通り指令書を確認して時間を待ちます。
チラシを渡して、解説していると音楽が鳴りましたので出発です。

そうそう、プラカード作りに今日は苦労しました。
内容が内容だけに、プラカードになりそうなフレーズがなかなかないのです。
結局次のようになりました。

▼今日のプラカード

▼植え込みにたてたプラカード

いつのまにか、ツツジも盛りを過ぎました。

▼第129回チラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20150508.pdf

▼タイトル
ICRP学説に基づいてフクシマ事故の放射能影響を考えて本当に大丈夫か?

▼トピック
1.ICRP学説の基礎は広島・長崎原爆被爆者寿命調査-Life Span Study-LSS
2.ABCCからICRPへ―放射能安全神話の形成
3.低線量内部被曝影響過小評価の歴史
4.「放射能安全神話」こそ最終にして最強の砦
5.ABCCの成立
6.ICHIBANプロジェクトからDS86へ
7.ICRP勧告の変遷
8.人口動態上の大惨事に見舞われるウクライナ
9.ICRP勧告に無条件に従うポスト・フクシマの日本は大丈夫なのか?

トップバッターは哲野です。
哲野「広島2人デモと申します。
   毎回原発や被曝のことについて皆さんにお伝えして
   本通りと金座街をいったりきたりしながら歩いております。
   現在は3人で歩いております。
   3人で歩いているからといって、バカにしてはいけません。
   これでもちゃんと、県の公安委員会に『示威行進』の申請をして許可を得ております。
   3人で歩いて示威行進とは、ちゃんちゃらおかしいんですが、
   これでも公安委員会の届け出は示威行進です。

   今日のテーマは、被曝です。
   放射能汚染食品の安全基準にしろ、原発苛酷事故時の避難基準にしろ、
   放射性廃棄物と産業廃棄物の境目の基準にしろ、
   なんにしろかんにしろ、ある国際的な組織の勧告に従って
   現在様々な基準や規制が決まっていると、こういう話です。
   その国際的な組織の名前は、国際放射線防護委員会、
   International Commission on Radiological Protection、
   英語の頭文字を取ってICRPと呼ばれています。
   放射能問題に関する限り、このICRPの勧告が私たちの生活の隅々まで浸透し、
   あらゆる判断の基準になっているにもかかわらず、
   その存在や、その名前すら、知らない人が圧倒的に多いという
   一種SFチックな状況の中にいま、私たちは暮らしています。

   ICRP学説を一言で表現すれば、『放射能は100mSv以下なら健康に害がない』というものです。
   最近は言い方を変えて、『100mSv以下なら、健康に害があるという科学的証拠はない』
   となってきていますが、中身は変わりません。

   というのは、もし本当に彼らが100mSv以下で健康に害があるという科学的証拠はない、と主張するなら
   放射線被曝は無条件にゼロに近づけるべきである、と勧告するはずです。
   わからないんだから、限りなくゼロにすべき、のはずです。
   ところが実際にはそうではなく、科学的証拠はないから100mSvまではOKと主張します。
   日本の政府の中には、例えば、厚労省のように、このICRP学説に悪乗りして
   『放射能汚染食品は基準値内ならいくら食べても安全』と主張もします。

   ところが実際には、1950年代にさかのぼっても、100mSvまでは害があるという科学的証拠はないどころか
   現在の2mSvの100%外部被曝でも、人体に害があるという科学的証拠が出ていました。
   この証拠を出したのは、アリス・スチュアートというイギリスの偉い女医さんです。
   この人は、ある時、生まれた子どもに小児性白血病が多発していることに気がつき、
   その原因を調べてみたところ、妊娠中の女性にレントゲンを当てていることが原因だと突き止めました。
   様々な研究を行ってみると、妊娠初期では2mSvのレントゲン照射でも
   胎児に白血病を起こさせることが判明しました。
   彼女の研究のおかげで、妊娠中の女性にレントゲンを照射するなどという、
   およそ野蛮なことは行われなくなりました。
   この意味で、アリス・スチュアートは私たちの恩人でもあります。

   2000年代に入ると、1986年のチェルノブイリ原発事故での
   深刻な健康影響が世界中に知れ渡るようになりました。
   チェルノブイリ事故の深刻な低線量内部被曝の実態が、徐々に明らかになってきたこと、
   国際的なインターネットの普及で、報告や研究が
   直接私たちの手元で読めるようになったことなどが大きな要因かと思います。
   これら厖大な研究や報告を読むと、ICRPの主張する
   『100mSv以下では健康に害があるという科学的証拠はない』などとは全くの嘘っぱちで、
   100mSvどころか、人や状況にもよりますけど、0.5mSvでも深刻な健康影響が出ていることがわかります。
 
   証拠がないのではなく、彼らが証拠を見ようとしないだけの話です。

   一般社会ではこういう場合、科学とは呼ばず、信念と言う言葉で表現します。
   ですから、ICRP学説は科学ではなく、一つの信念、
   もう少し言えば宗教、つまりICRP教というわけです。 
   今日のチラシのテーマは、こんなICRPの勧告に従っていて
   放射能をめぐる日本の社会は今後大丈夫かいなと、こういうお話です。』

次にツナさんです。

ツナ「今日はICRP、先週もここでICRPとたくさん言ったんですが
   ICRPとはなんぞやと。
   国際放射線防護委員会。
   まるで私たちを放射能から護ってくれているような感じの名前の組織です。
   被曝防護の3原則の中で、正当化の原則といいまして、
   被曝の害、健康損傷よりも社会の便益を優先しろと言ってるんです。

   みなさん、リスクのトレードオフという言葉をご存知でしょうか。
   あるリスクを気にして、もう片方のリスクを見落としてしまうということなんですが
   このリスクのトレードオフという言葉を使って
   NPO団体の「食の安全と安心を科学する会」、
   安心を科学する会ってなんだろうって感じなんですが
   その会の理事長のヤマザキさんが
   私は事故当時から放射能で汚染された野菜を少々食べても大丈夫だ
   それよりも野菜を食べない事でがんになる、そっちのほうが危ないんじゃないかと
   わたしは散々言ってきた、というようなことを言ってたんですが
   そこでもこの人は同じように
   個人の健康を少々我慢してでも、社会経済を回すことを考えないといけないんじゃないかと
   お前らなにを我がまま言ってるんだ、という様な事を言ってるんですよ。
   要は、個人をそうやって、世の中のために犠牲になれというふうに言ってるんですが。
   本当に安全なら結構なことです。
   でも、その人も暗に害が起きるということを言ってるんですけども。
   害があるのかないのか、ということを日本政府が判断している基準がこのICRPの勧告です。

   100mSvと言う言葉は4年前はテレビでよく聞いたなぁ、
   でも最近は全然聞いてないなぁって感じじゃないないかと思うんですが
   100mSv以下の被曝ではがん以外の健康障害が起るかどうか、
   科学的には解明されていないと言ってるんですね。
   科学的に解明されていないといっても、安全であるとは一言も言っていないんですが。
   日本ではこの勧告を利用して、食品の放射能汚染基準をつくり
   基準値内ならいくら食べても安全だというふうになってしまいました。

   私たちの公衆被曝線量は年間1mSvと決められています。
   それが20mSvまでは大丈夫だということになりました。

   原発などで事故が起きて大量に放射能が放出されると
   山や、川や、町や、海が放射能に汚染されます。
   その放射能はたかだか4年では消えません。
   とりあえずは20mSvは大丈夫だと言っています。
   要はこれ、妥協です。
   安全でもなんでもないんです。

   いままで通り1mSvで、となると今の避難区域、今の広さでは済まないんです。
   今は福島県の浜通りあたりだけですが、1mSvにするとこれが拡がってしまう。
   より多くの人が生活に影響を受ける。
   被害を被る被害者になるんです。
   被害者になるから20mSvまでOKにしたんです。
   東電1社では補償なんてとても無理ですから、日本政府の都合なんです。

   福島から遠く離れたこの広島では、関係ないじゃないかと思っている人も
   いるかもしれませんが、これは他人事でもなんでもないんです。
   放射能というのは色んなルートでここに来ます。
   それにここから南西に100km進んだところに四国電力伊方原発があります。
   瀬戸内海に向かって建っています。
   もしここが苛酷事故を起こしたら、この広島市、ちょうど私たちが歩いているここも
   避難の必要があるかもしれません。

   ICRPという名前を是非覚えておいてください。
   このICRPの勧告の元になっている研究は、広島・長崎の原爆被爆者寿命調査です。
   1950年1月から始まっています。
   1949年12月末までに亡くなった方は調査の対象に入っていません。
   ですがなぜか、5年後から調査しているのに
   5年間は放射能の影響はない、
   だから甲状腺異常が見つかっているのは検査したから、
   将来甲状腺がんになる人が見つかったんだ(スクリーニング効果)と
   めちゃくちゃな理屈を言ってるんですが、それが今通っています。
   とても危ない状況です。

   本当に私たちは明確に、放射能にじわじわと殺されているような、
   そんな状況のような気がします。」

『リスクのトレードオフ』という言葉が出てきましたが、確かにご覧のように
『食の安全と安心を科学する会』が使っている言葉です。

http://www.nposfss.com/blog/trade-off.html

リスクのトレードオフは、あるリスクと、別なリスクが存在して、そのリスク同士が矛盾対立関係にあるとき、
両方のリスクのバランスを取ろうという考え方で、これ自体はちゃんとした根拠のある考え方です。
しかし、リスクのトレードオフが成立するのは、2つのリスクが天秤にかけられる場合に限ります。
2つのリスクを同一線上に置けず、天秤にかけられない場合は、当然リスクトレードオフの考えは成立しません。

今回の場合でいえば、放射能汚染食品を積極的に消費することで得られる経済的利益と、
放射能汚染食品を積極的に消費することで失われる健康を
同一線上に置き、天秤をかけることができるかどうか、という問題になります。
片方は経済的利益、片方は生命に直結する健康問題、
当然、天秤にかけることはできません。
すなわち、この場合、リスクトレードオフは成立しません。
論理的に見ても、成立しないリスクトレードオフを、あたかも成立するかのように見せかける
『食の安全と安心を科学する会』は、まがいもの、ということになります。

ところで、本来成立しない経済的利益と、健康損傷のリスクトレードオフを
成立させようとする一種の詭弁論法は、いま、新たに現れたものではありません。
実は、これは、長い歴史を持つ、古ぼけた手口なのです。

1959年、アメリカ放射線防護委員会(NCRP)は、特別委員会報告を発表し、
リスクベネフィット論を展開しました。
これは核利用による利益と、放射能による健康被害を
同一線上に置いて比較考量する『リスク受忍論』でした。
これは典型的にリスクトレードオフの詭弁使用でした。
翌1960年、成立したばかりのアメリカ連邦放射線審議会(FRC)は、
NCRPの特別報告を受けて、同じリスクベネフィット論を展開しました。
翌1961年、全米科学アカデミーはBEAR報告を公表、
なかでNCRP、FRC、と同様のリスクベネフィット論を展開しました。
いずれも、本来、天秤にかけられないリスクトレードオフを展開しています。

これら意見を受けて1965年、ICRPは65年勧告を公表、
ここでリスクベネフィット論の総仕上げをします。
そして、線量等量限度概念を打ちだして、人々に被曝の受忍を迫りますが
これもベースは本来天秤にかけられない、リスクトレードオフを展開しています。

こうしたリスクトレードオフの詭弁使用を見破ったのが、2014年5月の福井地裁判決でした。
まず、福井地裁判決は次のように述べます。
  「個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、
   各人の人格に本質的なものであって、その総体が人格権である。
   人格権は憲法上の権利であり(13条、25条)、
   また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、
   我国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。」

その上で次のように結論します。
「原発は電気の生産という社会的には重要な機能を営むものではあるが、
 原子力の利用は平和目的に限られているから(原子力基本法2条)。
 原発の稼働は電気を生み出すための一手段たる経済活動の自由(憲法22条1項)に属する。
 憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれる。」

つまり、人格権と原発による利益のリスクトレードオフは成立しないと述べているわけです。
もちろん福井地裁判決は、ICRPの長い歴史を持つ
詭弁論法の変遷について知っていたわけではないと思います。
しかし、日本国憲法をベースに合理的にものを考えれば、
本来成立しないリスクトレードオフの詭弁は簡単に見破られるということでもあります。
日本国憲法、なんと頼もしい存在ではありませんか。
それだけに、安倍さんはこの憲法を変えたいでしょうねぇ。

デモ中、プラカードはよく見られました。
この哲野とツナさんのスピーチ中に、チラシを取りにきた人は3人いました。
次は網野です。

網野「広島2人デモです。原発や被曝に関して情報をお知らせする広報デモです。
   今日のテーマは被曝です。
   ICRPが、私たちの生活の中で被曝を強制していること、
   ICRPの根拠は広島・長崎の原爆被爆者寿命調査であること、
   特に広島・長崎の人は、是非読んでください。
   そして是非、このことを記憶にとどめておいてください。
   広島・長崎の原爆被爆者のデータが、世界中で新たな被曝者を生んでいる、という
   とんでもないパラドクスをぜひとも知っておいてください。
   知って、怒っていいんです、怒ってください。  

   もしよかったらチラシをお取りください。
   チラシを取るのが気恥ずかしいなぁと思う方、webでもチラシがご覧いただけます。
   広島2人デモで検索してみてください。
   毎回チラシのテーマが違っております。
   過去チラシも是非ご覧ください。

   ICRPの勧告に基づいて、日本ではフクシマ事故の避難基準は20mSvになりました。
   チェルノブイリ事故の時は、5mSvで避難でした。
   つまり、日本政府のコスト負担は、旧ソ連政府のコスト負担の4分の1で済んだわけです。
   しかし、よ~く考えてください。
   コストが4分の1になったからといって、放射能による健康被害が4分の1になるわけではありません。
   それどころか、コスト4分の1で健康被害は4倍となります。
   4倍で済めばいいですが…

   チェルノブイリの健康被害についても、ウクライナの資料をチラシに抜粋して掲載しています。
   この問題を考えていただければと思います。
   お騒がせいたしました、ありがとうございました」

元安橋に帰ってデモ終了。
チラシは結局、8部持って行って、残りは3部。
終了後、哲野がツナさんをつかまえて、是非今日のチラシの解説をさせてくれ、と
コーヒーショップに連れ込みました。
哲野は、36時間以上寝てないので、頭の中が躁状態になってるようです。
コーヒーショップでは網野を交えて、1時間半、チラシを中心に被曝問題で議論しました。

以上ご報告いたします。

【お詫びと訂正】第129回5月8日チラシにレイアウトミスがありました。


【お詫びと訂正】第129回5月8日チラシにレイアウトミスがありました。

第129回5月8日のチラシにレイアウトミスがありましたので、心からお詫びいたします。

誤りの箇所は以下になります。

チラシ4Pの表1-1の「1946年8月」から「1946年」の解説の記述がレイアウトミスによりずれておりました。
▼訂正前

▼訂正後

理由は、エクセルで表を作成し、チラシ作成時、イラストレーターでデータをコピー・ペーストしながら、レイアウトしていくのですが、その際にレイアウトミスを起こしておりました。

お詫びして訂正いたします。

なお、12pにあった表1-4を、9pに移動しております。
これは、次頁からはじまる「ICHIBANプロジェクトからDS86へ」の解説にあたる年表が表1-4にあるため、移動いたしました。

現在は訂正済みのPDFチラシがアップされております。
以上訂正を報告し、お詫びいたします。

第129回広島2人デモ2015年5月8日 お知らせ

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みなさま

毎度お騒がせしております。
第129回広島2人デモ5月8日のお知らせです。

いつも通り18時より歩きます。
チラシが出来ました。
宜しければご覧ください。

▼第129回チラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20150508.pdf

▼タイトル
ICRP学説に基づいて福島事故放射能影響を考えて本当に大丈夫か?

▼トピック
1.ICRP学説の基礎は広島・長崎原爆被爆者寿命調査-Life Span Study-LSS
2.ABCCからICRPへ―放射能安全神話の形成
3.低線量内部被曝影響過小評価の歴史
4.「放射能安全神話」こそ最終にして最強の砦
5.ABCCの成立
6.ICHIBANプロジェクトからDS86へ
7.ICRP勧告の変遷
8.人口動態上の大惨事に見舞われるウクライナ
9.ICRP勧告に無条件に従うポスト・フクシマの日本は大丈夫なのか?

トピックが少ないですが、16ページあります。
「3.低線量内部被曝影響過小評価の歴史」は表になっており4ページ分あります。

では今日も歩いて参ります。

第128回広島2人デモ 2015年5月1日報告

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みなさま

毎度お騒がせしております。
第128回広島2人デモ、5月1日の報告です。

チラシを作成中の網野と哲野の会話から。

哲野「ICRP批判をやらないといけないんだけど、あまり注目度はないよね」
網野「反原発の人たちは別として、ICRPってなあに?っていう状態だもんねえ」
哲野「ところがねえ、放射能汚染食品の基準にしろ、福島原発事故の避難基準にしろ
   帰還政策にしろ、原子力災害対策指針の避難基準にしろ、
   100mSv以下は健康に害はない、あるいは害があるという証拠はない、
   という話にしろ、実際には福島原発事故のあと、日本の社会は
   ICRPに支配されている、と言ってもいい状態なんだね。」
網野「注目度は低いだろうけど」
哲野「自分たちが知らない、その存在すら認識していない、にもかかわらず
   その存在に支配されている、これ、ちょっとジョージ・オーウェル的世界だよね。
   不気味な世界に我々は生きている、ということになる。」
網野「政府はちゃんと専門家を使って、国民の安全を考えて政策を打ってくれているはずだと
   普通思うし、そう信じている人は多いと思う。」
哲野「ところが、この不気味な世界の政府は、放射能問題に関する限り
   国民の安全よりもICRP勧告を優先して、いわゆる放射線防護政策を採っている。
   この放射線防護政策なるものは、ICRP放射線防護の3原則に象徴的に示されているように
   最も優先するのは核産業の利益。
   田原総一郎の『朝まで生テレビ』を見ていた時のことだけど、その時は放射能問題がテーマだった。
   田原総一郎が紛糾する議論のなかに割って入るように、
   『要するに、安全な放射能のレベルって、どれくらいなんだ、それをまずはっきりさせよう』と発言した。
   田原総一郎がこのレベル。続いて民主党野田政権で原発事故担当だった細野豪志が
   『みなさん、この中でICRPの勧告を読んだことある人、いますか?私は読みました。
    そして放射線防護がどんなものか、おおよそ理解がつきました。』
   と発言していた。要するに、ICRPを全く知らない、ましてや批判すら出来ない、
   原発事故担当大臣にしてから、はじめてICRP勧告を読んで、感心しているような状況じゃあ
   批判もなにもあったもんじゃない。
   その時30人くらいの出席者の中で、一番良く理解をしていたのが池田信夫だったというのは皮肉な話だ。
   池田信夫は、福島原発事故の時の避難基準は20mSvだったけど、あれは本当は100mSvでも良かったんだ、
   それを民主党の幹部がビビッて20mSvにしたといういきさつがある、と説明していたが、
   民主党幹部は20mSvの意味や100mSvの意味が全くわかっていなかったということだ。」
網野「ましてや一般の人たちにICRPだのなんだの言ったって、何をあんたいっとるん?と言われかねないね。」
哲野「そう。でも、我々はICRP勧告に隅々まで支配されている。」
網野「やるべきじゃないかなぁ。注目度が低くても。
   みんながICRPに注目するまで、やりつづける以外にはないでしょうね。
   それに、ICRPが根拠とするのは広島・長崎原爆被爆者寿命調査LSSだからね。
   広島の私たちがやらないで、誰がやるんだ。」

ということで、2人だけで大いに燃え上ってチラシを作りました。

話は大いに変わりますが、(実は全く変わっていないんですが)LSSの第14報が一部非がん性疾患を認めた
という記述がこのところ、いろんなところで見られます。
確かに、そう読めないことはないのですが、よく読んでみると、低線量被曝と非がん性疾患の因果関係を
LSSの枠内で認めたということではないと思います。

第一、疫学一本槍のABCC=放影研の手法で、
低線量内部被曝と非がん性疾患の因果関係を突き止められるわけがないのです。
低線量内部被曝の世界は、疫学的手法では科学的に解明できません。
ICRPの手法は時代遅れなのです。
低線量被曝と非がん性疾患の関係は、ICRPの被曝線量中心の考え方ではなく
分子生物学や病理学的アプローチで実際に何が起っているのかを解明していく必要があります。
線量中心の世界ではありません。

ということで、今週のチラシが出来ました。
しかも16ページもあります。
こんなICRPをテーマにしたチラシなど取る人はいないだろうということで、
11部しか持っていきませんでした。

集合場所に着くと、すでに(久しぶりに)ツナさんが来ていました。
哲野と網野とツナさんとじゃけえさんの4人です。
警察の人も来て指令書確認。
哲野が警察の人に「ICRPって知ってますか?」と聞くと
警察「全く、聞いたこともありません。」
哲野「そうでしょうね。それが実際でしょうね」
あとは独り言みたいに、哲野「我々が知っていようが知るまいが、我々の社会はICRPに支配されている…」

▼第128回チラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20150501.pdf

▼タイトル
低線量内部被曝の危険を人々から覆い隠すICRP学説の起源

▼トピック
1.ICRP学説に完全に支配される日本社会の「放射線防護体制」
2.ICRP学説は私たちの生活の隅々まで支配している
3.ICRP学説の特徴-「放射線防護の3原則」
4.“ALARA”(アラーラ)の原則
5.ICRPの生い立ち-NCRPの国際版として成立
6.アメリカ放射線防護委員会(NCRP)の成立
7.1946年NCRPの役割
8.その後反核の闘士に変貌を遂げるカール・モーガン
9.内部被曝問題に封印
10.NCRPをそっくり引き継いでスタートするICRP
11.核の軍事利用・産業利用とともに登場するICRP
12.ICRPが全面的に依拠する広島・長崎の被爆者寿命調査(LSS)
13.実際に高線量外部被曝のみではなかった広島原爆の放射線被害
14.川内原発再稼働を容認する鹿児島地裁判決がよって立つのは放射能安全神話

▼本日のプラカード

▼出発前の植え込みに差したプラカード


▼出発直前の花時計。ツツジが満開で綺麗でした。

18時になり、音楽が鳴ってスタートです。
トップバッターはじゃけえさん。

▼じゃけえさんのスピーチ
 「みなさん、ICRPって聞いたことありますでしょうか?
  今私たちの被曝防護について基準を決める際に用いられている勧告を出している
  国際的な放射線に関する学者たちの委員会です。
  そのICRPの勧告に基づいて私たちの放射線被曝防護の基準が決められています。

  なぜか日本ではこのICRPを基準にして放射線防護の決まりが決められています。
  もしICRP学説が間違っていたら、私たちの放射線防護の基準も間違っているかもしれないということになります。
  だとしたら私たちは放射線防護のためにICRP学説を知っておかねばならないのではないでしょうか。

  避難基準も食品の規制基準も、ICRP勧告が元になっています。
  ICRPがどいういう勧告をしているのか、どういういきさつでつくりあげられた組織なのか
  などなど、チラシにまとめてあります。
  私たちの住む日本で行われている放射線防護は本当に安全なのかどうか
  ICRPという組織を知る事でそれをある程度理解することができます。

  日本で行われている食品基準は、基準値以内ならいくら食べても大丈夫ということになっています。
  低線量だったら被曝しても健康被害はないということになっていますが
  世界的な科学者の知見からいうと、被曝量に安全量はありません。
  少しでも被曝すれば健康被害が現れる可能性はあるということです。

  私たちの住んでいる日本で行われている放射線防護の決まりでは
  少しの被曝であれば健康になんら損傷はないといっていますが、
  ICRPでさえ100mSv以下の被曝で健康被害が現れるかどうかはわからない、と言っています。

  今の研究成果では、低線量で健康被害が現れるかどうかはわからない、
  つまり100mSv以下の被曝で健康被害が現れる可能性はあるということです。

  私たちの日本で採られている被曝防護政策は本当に安全なのかどうか。
  原発問題はもう他人事ではなくなりました。
  厳密に言えば、私たちは多かれ少なかれ、すでに人工放射能に被曝していますが
  避難はまだしていません。
  次に避難しなければいけないのは、私たちかもしれません。」

ちなみに、じゃけえさんが最初に「みなさん、ICRPってご存知でしょうか?」とスピーチした時に
聞いていた通りがかりの人が「知らんよ」と返事を返してくれました。
じゃけえさんのスピーチ中に、初老の外国人の男性と、これも初老の日系人風の女性のカップルが
じーっとプラカードを見つめていたので、ツナさんがチラシを差し出すと、女性が受け取ってくれたそうです。
恐らく、女性の方が日本語を読めるのだと思います。

なお、網野の観察によると、この日のプラカードの注目率は高かったです。
しかし、注目されたのは、ICRPのプラカードではなくて、この2つのプラカードでした。


次はツナさんです。

 「お騒がせしております。
  みなさんICRPというのをご存知でしょうか。
  プロレス団体ではありません。
  ICRP、国際放射線防護委員会といいます。
  まるで放射線から守ってくれるような名前の団体に見え、
  放射線から厳しく守ってくれているような印象を持ちます。

  ICRP、国際放射線防護委員会の勧告を元に
  日本では福島第一原発から出た放射能で、
  どこまで被曝したら大丈夫なのかを作っております。

  このICRPが間違っていたら。
  ICRPが安全では実はなかった、としたら。
  私たちの被曝防護政策も安全ではなかった、ということになってしまいます。

  じゃあ、ICRPは本当に安全なのかどうか、ちょっと考えてみましょう。

  まず、食べ物の放射能汚染。非常にやっかいなものなんですが
  ICRPがどう定めているか、そしてなにより日本政府はどう定めているか。

  福島原発事故があった時に日本政府はさすがにあわてました。
  厚労省は慌てまして、2011年4月21日に放射性物質の食品健康評価に関するワーキンググループ、
  長いですね、いかにも官僚的な名前ですがこういうのをやりました。
  7月26日の最終会合までに合計9回会合を開いて
  とりあえず放射性セシウムで飲料水1リットルあたり10ベクレル、一般の食品では1kgあたり100ベクレル、
  と厚労省が決める根拠になる評価書をまとめたわけです。
  3月11日に震災があって、翌日には放射能が出てるんじゃないの、となって
  実に4か月以上が経っております。

  ちなみにこの4か月間何をやっていたか。
  3月14日、震災の3日後、原発事故が起きて2日後と考えるか、色々あるかと思いますが
  3月14日には『放射能汚染された食品の取り扱いについて』と題する文書で
  この時はヨウ素、飲料水1リットルで300ベクレル
  一般食品では1kgあたり2000ベクレル
  さらにセシウムの上限値として、飲料水や牛乳で1リットルあたり200ベクレル
  一般食品では1kgあたり500ベクレル
  という暫定基準というのを定めたわけなんですが
  この暫定基準、2012年3月31日まで有効、1年間まるまるこの暫定基準が使われました。

▼厚生労働省『放射能汚染された食品の取り扱いについて』
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r9852000001559v.pdf

  今一般食品で100ベクレル。50倍、100倍の基準をこの時だしていたわけです。
  みなさんは震災以降、『食べて応援』という言葉を度々耳にしたと思うんですが
  食べて応援と言う言葉を聞いた時に、このような情報は同時に流されたでしょうか?
  私たちの判断基準にこういう情報は、はたしてどれだけ適切に流されたか。
  今となっては遅いかもしれないかもしれないです。
  でも、今だからこそ、みなさんの体験でちゃんと考えられるのではないかと思います。

  チェルノブイリ原発事故というのが昔ありました。
  あれはレベル7で本当に酷かったね、と言われる。
  国際的には放射能の放出量で事故のレベルが決められるんですが、
  福島原発事故はおんなじレベル7です。
  恐らく私たちの体感からすると、そんなにひどい事故があったの?と
  思われるんじゃないかと思います。
  そう思われても仕方ないんです。
  なぜか?
  それは、被曝の定義が変えられたからです。

  計画的被曝という、なんとも変な定義なんですけども
  一般公衆は年間の追加被曝総量は1mSv。
  電離放射線は目に見えないし、当たっても痛いものではないので
  体感としては1mSvも100mSvも何が違うんだ?となるんですが
  計画被曝状況では1mSv以下の被曝でなければならないと、いままでなっていたんです。
  5年前はそうだったんです。

  ところが事故が起きる少し前、ICRPの勧告が変わっていってまして
  事故が起きると1mSvは現実に無理じゃないか、と彼らが思ったのかどうかはわかりませんが
  緊急被曝状況、これが20mSvから100mSv。
  本来のあるべき姿とされているものの20倍から100倍ですね。
  緊急事態ならしょうがないと、引き上げられた。

  緊急事態からちょっと経ったけど、いつもの状態とは違うので
  1mSvから20mSvまでは、まぁいいじゃないかという
  現存被曝状況という基準が出来上がりました。

  今日本もそうなってますね。
  20mSv以下なら大丈夫ですよ、還りましょうという風になっていますが
  はたして本当に大丈夫なのか。

  大丈夫としか言ってくれていないので、本当に大丈夫なのかどうか
  なかなか考えられないですよね。
  だからちょっと考えてみましょう。

  いままで1mSvですよと言われていたのが、事故が起きたんだから
  しょうがないから20mSvまでは諦めてよ、早い話がこういうことだと思いませんか。
  じゃあ、なんのために20mSvまであきらめるの?となったら
  それは核産業をやっている人のためです。
  それはおかしくないかと。
  おかしいかもしれないけど、関係ないよ、世の中多少のおかしい事で
  全部成り立っているんだよと、みなさん思うかもしれませんが
  ここから南西100km、瀬戸内海を渡ったところに四国電力の伊方原発があるんですが
  この伊方原発がもし爆発するような事故があったら。
  私たちは1mSvではいられません。
  もしものことのために、今色々するのは面倒だと思うかもしれませんが
  起きたときにどれくらいの被害が起るか
  放射能がどれくらい酷いものか
  本当は私たちは知っているはずなんですよね。
  今歩いてらっしゃる人の中にも被爆2世、3世の人も結構いらっしゃると思うんですが
  私の祖母もそうでしたが、あまり話してくれません。
  やはり嫌な思い出なので。
  被爆当時のことも、その後のことも。
  親戚の人の髪の毛が抜けたとか、だれだれが白血病で死んだとか
  この街には本当はそういう記憶があるんです。
  起きたらどうなるか、本当は私たちは簡単に想像できる。
  でも目を逸らして黙っているんじゃないかって、そんな風に思ってしまいます。」

次に哲野です。

 「みなさん、ICRPという国際的な放射線被曝に関する
  科学者や放射線防護行政の専門家たちの組織があります。
  今、世界の主な国の放射線防護行政は、このICRPの勧告に基づいて行われています。
  日本でもそうです。
  特に福島原発事故以降の様々な基準や規制値はすべて100%、
  ICRPの勧告に基づいて行われています。
  まるで水戸黄門の印籠のように、ICRPの勧告だと言えば、
  みんなハハァ~~とひれ伏す、それほど権威のある勧告です。
  しかし、その割にはICRPは不思議な組織です。
  本部がありません。
  研究所も持っていません。
  有給の職員は1人きり。

  それより不思議なのは、ICRPが看板として掲げる放射線防護3原則です。

  第一原則は正当化の原則と呼ばれています。
  これによれば、放射線防護は、害よりも便益が大になるように決定しなさい、と言っています。
  害とは、私たちが放射線被曝で受ける健康損傷のことです。
  便益とは、核を利用することで私たちの社会が受け取る利益のことです。
  健康よりも、利益を優先させなさい、と言っているわけですが
  健康こそ、私たちにとって最大の利益であることを考えれば、この第一原則は自家撞着に満ちています。

  第二原則は、最適化の原則と言われています。
  要するに、これは、放射線被曝の状況を変えるような決定は、
  社会的経済的要因を考慮に入れて、合理的に達成できるかぎり、被曝を低くしなさい、という原則です。
  無条件で被曝を低くしなさい、とは言わないところがポイントです。
  例を挙げると、チェルノブイリ事故の時に、旧ソ連政府は5mSv以上を避難の基準としました。
  公衆の被曝線量の上限は1mSvですので、
  1mSvを避難基準としなければならなかったのに5mSvとしました。
  その理由は、第二原則で言うとおり、社会的・経済的要因を考慮に入れて5mSvとしたわけです。
  福島原発事故の時は、旧ソ連政府、現在のロシア政府・ウクライナ政府・ベラルーシ政府が
  重い負担を抱えていることを考慮して、避難基準を20mSvとしました。
  これも、経済的・社会的要因を考慮に入れて、合理的に達成が出来る被曝上限だったからです。
  ここでも第二原則が働いています。

  このICRPは従って、私たちの健康を守るよりも、
  核産業の健康を優先した考え方を採る国際組織だと言えるでしょう。

  今本通りを歩いていらっしゃる人の中で、
  ICRPの名前をお聞きになった人は数少ないと思います。
  また、ICRPの名前を知っていても、どんな勧告を
  しているのかを知っている人はほとんどいないと思います。

  ここで、本当に不思議な状況が日本社会を覆っております。
  ほとんどのみなさんが知らない、名前も聞いたことのない、国際組織が
  福島原発事故後の、放射能をめぐる私たちの健康の決定権を持っている。
  日本政府を通じて、私たちの健康を支配している。
  にもかかわらず、私たちは誰に支配されているのかを知らない。
  SFの世界に出てくるような、不気味な未来の管理社会が今、私たちの目の前に拡がっており
  それとしらず、私たちの多くが、この社会は安全であると信じて暮している、とこういうことになります。

  本来、広島は70年前に原爆の攻撃を受けました。
  ですから、放射能の怖さは私たちが一番良く知っていなければなりません。
  しかし実際はそうではありません。
  私たちは、放射能の怖さを誰よりも知らないと言っても過言ではありません。
  その理由は、広島原爆後の数々の宣伝に、私たちの頭が固定されているからです。
  すなわち、放射能は高線量で、外部被曝しないかぎり健康に影響はない、
  とする宣伝です。

  本来、被爆者の人たちが、具体的には被爆者団体が、
  あるいは原爆被爆者と称する人たちが、
  自分たちの受けた放射能の影響を、あとでじっくり研究勉強し、
  実はヒロシマにも低線量内部被曝があった、原爆投下直後は別として、
  長期的には高線量外部被曝ではなく、低線量内部被曝が最も大きな被害の源泉であったことを
  裏付け、私たちにそれを伝えるべきだったのですが、
  一部の例外を除けば、そうなっていません。
  もし、原爆被爆者が、核兵器廃絶と叫ぶのと同様な熱心さで
  低線量内部被曝の恐ろしさを科学的、論理的に裏付けていてくれれば
  あるいはICRPなどという得体のしれない組織に
  私たちは今、支配されないで済んだかもしれません。
  何事もしかし、遅すぎるということはありません。
  これからそれをやっていけばいいのです。」

次に網野です。

網野「ICRP学説は、100mSv以下の低線量被曝…これ、全然低線量じゃないんですけど、
   実際にはかなりな高線量なんですけど。
   では、健康に害があるという証拠はない、と言っています。
   これ実は、何を根拠に言っているのかというと、
   広島・長崎の原爆被爆者寿命調査LSSの研究です。
   しかし、LSSは100%外部被曝に関して調査した研究で
   内部被曝は全く扱っていません。
   つまり、ICRP学説は、100%外部被曝研究に基づいた学説です。
   チェルノブイリ事故で大きな被害が出ています。
   その多くの人たちは、低線量の内部被曝で被った健康被害です。
   たとえば、事故後、プリピャチ市民は強制的に避難させられましたが
   そのうち、1万2632人に直接面接調査の上、被曝線量が推定されましたが
   その中で100mSvどころか、40mSvに達したひとはほとんどいません。
   避難した人のほとんどは、半分以上は10mSv未満の被曝だったのです。

▼参照資料:ウクライナ政府報告
  「Twenty-five Years after Chornobyl Accident: Safety for the Future」
  英語原文94p fig3.4
http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/genpatsu/chornobyl25eng.pdf

   低線量被曝は内部被曝であるかぎり、どんなに小さな線量でも健康損傷が出ます。
   広島原爆では、100mSv以上ではがんが発生したが、
   それ以下の被曝ではがんの発生は被曝によるものかどうか見極め難いという結論になっています。
   しかし、広島で生まれ、広島で育った私は、このことが嘘であることを知っています。
   単に、経験として知っているだけではなく、広島原爆の後、
   被爆者の救援や治療に当たった医学者・研究者たちの報告でもそのことは裏付けられます。
   プラカードやお配りしているチラシにあるように、肝障害、心臓障害、内分泌障害
   血液障害、代表的には原爆ぶらぶら病、がんや白血病以外の様々な疾病が発生していることは
   これら報告が裏付けています。
   一言で言って、LSSに基づくICRP学説は、高線量外部被曝には、当てはまる学説ですが
   低線量内部被曝に関しては、全く当てはまらない、信頼すると危険な学説です。

   このことは現に広島に住んでいる私たちにこそ、世界に伝えて行かなければならない、
   そうでなければ、あらたな被曝者を生んでしまうことになります。」

元安橋に帰ってデモ終了。
久しぶりにツナさんの参加なので、みんなで近くの珈琲屋さんで大おしゃべり。
その時に話題になったのは、原爆や核実験放射性降下物による健康被害のうち
研究によって、糖尿病が挙げられており、それは私たちの経験からしても
合理的に納得ができる、という話題で盛り上がりました。

これからも、ひるまず、真正面からのICRP批判を広島2人デモで展開していこうと申し合わせました。
「私たち広島に住んでる人間がやらずに誰がやるんだ。」

以上ご報告いたします。

第128回広島2人デモ 2015年5月1日お知らせ

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みなさま

毎度お騒がせします。

第128回広島2人デモ 5月15日のお知らせです。
18時からいつも通り、広島平和公園元安橋東詰を出発して歩きます。

チラシが出来ました。
宜しければご覧ください。

▽第128回チラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20150501.pdf

▽タイトル
低線量内部被曝の危険を人々から覆い隠すICRP学説の起源

▽トピック
1.ICRP学説に完全に支配される日本社会の「放射線防護体制」
2.ICRP学説は私たちの生活の隅々まで支配している
3.ICRP学説の特徴-「放射線防護の3原則」
4.“ALARA”(アラーラ)の原則
5.ICRPの生い立ち-NCRPの国際版として成立
6.アメリカ放射線防護委員会(NCRP)の成立
7.1946年NCRPの役割
8.その後反核の闘士に変貌を遂げるカール・モーガン
9.内部被曝問題に封印
10.NCRPをそっくり引き継いでスタートするICRP
11.核の軍事利用・産業利用とともに登場するICRP
12.ICRPが全面的に依拠する広島・長崎の被爆者寿命調査(LSS)
13.実際に高線量外部被曝のみではなかった広島原爆の放射線被害
14.川内原発再稼働を容認する鹿児島地裁判決がよって立つのは放射能安全神話

では本日も歩いて参ります