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第88回広島2人デモ 2月21日報告

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みなさま

毎度毎週お騒がせしております。
第88回広島2人デモのご報告です。
今日の参加者は4人、哲野、網野、じゃけえさん、Kさんでした。

今回のチラシのテーマは「電力会社の赤字の原因」です。
電力会社・政府・マスコミの『原発が稼働しないから電力会社は火力燃料費増大で赤字経営、料金値上げやむえなし』の大宣伝が一般に説得力を持って いることが挙げられます。
これまでも2人デモで歩いていると、「原発が動かんと赤字でどうするんだ」「日本の貿易赤字もどんどん膨らんでいく」という反論を受けたりしま す。
原発問題は基本的に生存権問題ですが、こうした「原発なしでは経済は立ち行かない」「電力会社は赤字経営」「貿易収支は赤字」にもきちっと対応し ておかねばならない、というのが今回のチラシ作成の動機です。

が、直接のきっかけになったのは、北電の社長記者会見と、それをまことしやかに報じる日本の大手マスコミのあり方に腹を立てたことです。
腹を立てては負け・・・・冷静さを失っては負け・・・・と自らを言いきかせつつも、
しばらく怒りが収まりません。(網野注:怒りっぱなしでした)

哲野「だいたいねえ、日本の電力会社が今のままで赤字にならないほうがおかしい。」
網野「なんで?」
哲野「見てごらんよ、電力会社の火力発電設備はほとんど石油・重油発電、ガス発電じゃない。
    原発があろうがなかろうが、高コスト体質なのよ。」
網野「じゃどうしていままで赤字にならなかったのよ。」
哲野「そりゃ、電力料金高くふんだくってるから。」
網野「原発止めて燃料費が大きくなって、赤字になってきてるのは事実でしょ。」
哲野「そりゃ事実。でも、原発があったんで赤字にならんで済んだんじゃなくて、
    総括原価方式と地域独占のおかげで赤字にならなくて済んだ。」
網野「じゃ、原発止めたらどうしてとたんに赤字になったの。」
哲野「2つ要因がある。
    1つは原発コストよりもはるかに高い石油・重油発電。
    ASIA HUBの高コストガス燃料を使ったガス発電に大きく依存せざるをえなくなったこと。
    2つ目は安倍政権の経済政策の失敗。
    つまり、急激な円安誘導政策の影響をモロに受けたこと。
    だから根本的な解決は、もう一度原発を稼働させることではなくて
    旧式で効率の悪い高コストの火力発電体制を見直して
    原発再稼働のために巨額の投資のするんではなくて
    もっと電力会社らしく、本業に力を入れて、
    発電体制の見直し・改善・効率化を進めるべきなんだ。
    やれクラゲが押し寄せてきたから火力発電所が停まったとか、
    火力発電設備は非常に不安定な設備であるとか、
    泣き言いっぱい並べてるけど、不安定なのは自分たちが
    設備更新やメンテナンスをしっかりやってなかったせいだ。
    クラゲが押し寄せて、火力発電が停まる。
    こんな、専門家として恥ずかしい事を平気で経営者が言う。
    それをまた新聞が真に受けてそのまま書いて国民の頭に刷り込む。」
網野「だよねえ。あたたかい海水にクラゲが押し寄せるのは当たり前で
    それをちゃんと計算に入れて設備を整えておくのが当たり前じゃない。
    呆れるよね。」
哲野「そう。それに、遅かれ早かれ、日本でも電力自由化を実施しなければならない。
    そうなれば、地域独占も総活原価方式もなくなる。
    国際競争の中にいやがおうでも入っていかなければならなくなる。
    そういう事態を電力会社は今、全く想定していない。
    目先の原発を動かして、なんとか今までの体制に浸かっていられると思ってる。
    そうは問屋が卸さないね。」
網野「じゃあ日本の電力事業者はみんな赤字なわけ?」
哲野「いや、国際競争力をつけて企業努力をしているところは、みんな黒字だよ」
網野「例えばどこ?」
哲野「手近なところでは電源開発。
    それから大阪瓦斯や東京瓦斯の発電事業部。
    大手鉄鋼会社の発電事業部。
    規模は小さいけれど、石油エネルギー会社の発電事業部。
    これらは石炭、独自ルートのガス調達、石油精製の残渣油なんかを使って
    みんな黒字だ。
    だいたい、黒字じゃなきゃ会社なんか維持できない。
    赤字の無能経営で泣き言を言って澄ましていられるのは
    日本の電力会社くらいのものだ。」
網野「それって数字で確認できるの?」
哲野「決算報告書を詳細に分析すればある程度出てくる。
    ただ、やっかいなのは、ガス会社や製鉄会社の発電事業で
    これは連結決算の中に含まれているから、
    その事業部だけを取り出して分析するのはなかなか難しい。
    でも、電源開発はできるかなぁ。上場会社だからね。
    しかも、電源開発は発電が水力と石炭火力だけだから
    分析しやすいかもしれんなぁ。」
網野「それ、今回行きましょうよ。
    ・・・あの~忘れがちになるんだけど
    総括原価方式なわけだから、電力会社の借入金や利息も含めたお金って
    私たちが電気代として払うんだよね?」
哲野「モチロンよ!いや、払うんじゃなくて、払ってきたのよ!
    例えばアメリカと比べてみようよ。
    アメリカの家庭用電力料金は、2000年代を通じて50%上がってる。
    その上がったアメリカの家庭用電力料金と比較しても今現在日本はゆうに2倍以上高い。
    いかに我々がむしられ続けてきたかということだよ。」
網野「腹が立ってきた。それもやろう。」
哲野「腹が立つだろう?知れば知るほど腹が立つ。
    その上、北海道電力の社長の言いぐさはどうだ。
    泊原発再稼働の見通しが立たないので、経営の先行きが不透明、
    電力料金の再値上げも検討しなければならない、とこうだ。
    こんな言いぐさ、一般企業じゃ通用しないよ。
    経営の先行きが見通せないのは、一般企業じゃ当たり前のことなんだから」
網野「そうだよね、通用しないよね。そのために、経営努力っていうのがあるんでしょうが。
    あらゆる事態を想定して、手を打って、それでも赤字だったらみんなに責められて。
    記者会見で頭下げて。で、社長交代、経営陣総入れ替えですよ。
    中小零細だってそうだ。
    赤字で倒産すれば、銀行に身ぐるみ剥がれて一文なしで放り出される。
    電力会社の経営って、気楽な稼業なのね。許せないね、ライフラインなのに」

というわけで今回は電力会社の赤字問題、火力発電体制問題を取り上げてみました。

▼今回のチラシ
※告知の時からすると、いくつか誤植がありましたので、修正しております。
  また、ポイント部分の赤字処理を入れております。
  DLされた方は再度DLください。
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20140221.pdf

集合場所に行くと先週からするとまた一段と陽が高くなっておりました。
▼カメラを忘れたので、携帯で撮影しました。

待っているとじゃけえさん登場。
しばらくして警察の方もいらっしゃったので、指令書の確認。
今日の空は綺麗ですねえとしばらく雑談していると音楽が鳴りました。
3人で出発です。

スピーチのトップバッターは哲野です。
哲野はチラシの内容をかいつまんで説明をし、電力会社は赤字なのは元々火力発電高コスト体質、
原発によりかかった無能経営に原因があるとスピーチしました。

哲野「・・・それが証拠にしっかり健全な経営をして国際競争に負けない発電体制を持っている
    例えば電源開発なんかは現在の情勢でもしっかり黒字です。
    電源開発は電力卸売り事業者で小売りを全くやっていませんので
    販売営業コストがかからない、という特徴はありますが
    それでも1kWhあたりの直接発電コスト(一般管理費を除く)は7.17円です。
    中国電力の発電コストは1kWhあたり24.54円。
    自社製品の原価よりも電源開発から買ったほうがはるかに原価が安いんです。
    その中国電力が電源開発の最大顧客です。
    1年間に1273億円も電気を電源開発から買っています。
    電源開発の売値は平均9.21円。
    中国電力の家庭用電気料金は1kWhあたり21.44円。
    9.21円で仕入れて、21.44円で売っているわけです。
    小売りの粗利益率は60%以上。
    今、本通りで小売業をやっておられるみなさん。
    小売りの粗利益で60%とっておられるお店がありますか?
    一部の高額商品を扱われる時計宝石屋さんなんかは、小売りの粗利益が高い。
    でも、せいぜいとって50%でしょう。
    それも当たり前です。
    先に現金で仕入れて、いつ売れるかわからないものを長い時間寝かせるわけだから。
    当然、その金利負担や長期の金融リスクを負っているわけで
    小売りの粗利益を高くとるのはやむを得ない。
    中国電力の場合はそんなリスクは全然ありません。
    1か月以内に現金で回収できるし、払わないところは電気を停めてしまえばいいのです。
    こんなアコギな商売はありません。」

とスピーチしました。
次にじゃけえさんにマイクが渡りました。

じゃけえ「…福島原発事故で、いったん苛酷事故が起こればどうなるか私たちは学んだはずです。
     そして原発事故は決してあってはならないものだということも学びました。
     今原子力規制委員会で原発再稼働の審査が行われています。
     福島原発事故以降、原発は『事故を起こす』ことが前提で審査が進み
     再稼働は近づいています。
     原子力規制委員会も『リスクゼロはない』『事故を起こさない原発は存在しない』
     と言っています。
     それなのに、再稼働を認め、これを容認することは
     事故が起きてもかまわないと言っているのと同じことです。
     広島から約100kmの位置にある伊方原発が事故を起こせば
     広島は一時移転の対象になります。
     (原子力規制委員会のシミュレーションによる)
     つまり、伊方原発の再稼働に反対の声を挙げないのは
     事故が起きてもかまわない、
     広島で築き上げたものを全て捨てて避難してもかまわない、
     自己責任で黙って避難してもかまわない、と
     言っていることと同じです。・・・」

と先週に続いて繰り返して、伊方原発再稼働問題が
広島市民とってどういう問題を孕むものか、を訴えました。

じゃけえさんのスピーチ中にKさんが登場。
網野と並んでプラカードを持って歩いていましたが
チラシまきは哲野、この哲野が全く働かない。
Kさんがプラカードを持って、
あの人にチラシを渡しにいけ、この人にチラシを渡しにいけ、と指示をしていましたけど
ついにチラシ撒きとプラカードを交代しました。

次にまた哲野がマイクを握ります。

哲野「みなさん、原子力規制委員会という組織をご存知でしょうか。

   原子力規制委員会は、いま原発、あるいは六ヶ所村の核施設、
   あるいは京都大学が持っているような原子炉研究施設
   こうした核施設全体を規制する委員会です。
   環境省の外局ですが、3条委員会と呼ばれて、独立性の高い委員会とされています。

   この原子力規制委員会が2月19日の会合で非常に面白いことを決めました。
   興味ある議論の上、面白いことを決めました。
   それは、原発立地地元とはいったいどこまでの範囲をさすのかという議論をして
   ほぼ、原発立地地元とは原発があるその自治体と、その周辺自治体である、
   これを原発立地地元と呼ぶ、こういう定義をはじめて行いました。

   今現在施行されている原子力災害対策指針の考え方に従って2月19日の会合を考えてみると
   原発からほぼ30km圏の自治体が原発立地地元と原子力規制委員会は定義したことになります。

   ところが、その後の記者会見で田中委員長に質問が集中しました。
   『原発立地地元とは30km圏でいいんですね?』
   ところが田中さんは『30km圏かどうかは地元の住民が決めることだ』ということで
   30km圏と言う言葉を避けました。
   前後の関係から言うと、田中さんが言いたかったことは
   もし原発で苛酷事故が起きたならば、その被害を受ける地域は全て原発立地地元である
   こういう風に言いたかったんだと思います。

   これは根拠のあることです。
   例えば福島原発事故では60km離れた飯館村がいまだに避難区域になっています。
   原発の苛酷事故で被害を受ける地域は、すべて、原発立地地元であるという定義が出来るかと思います。
   広島から最も近い原発、四国の伊方原発でもし苛酷事故が起こればというシミュレーションが
   2012年の12月に行われました。

   そのシミュレーションによれば広島は1週間で4mSvの被曝線量
   原子力災害対策指針によるとOIL2、一時移転の対象区域となる
   広島は田中委員長の言う、原発苛酷事故の被害地元ということになる。
   そしてこれらの話をすべて総合すれば
   広島は四国電力の伊方原発の原発立地地元、ということが出来ると思います。

   さて、同じく原子力規制委員会の会合で、田中さんは面白いことを言っています。
   原発再稼働の手続きについてですが、確かに原発再稼働の手続きを決めるのは内閣である
   もうちょっと言えば総理大臣である。

   しかしながら、原発の地元の人たちが駄目だといえば
   再稼働はやはり難しいだろう、私たちも諦めなきゃいけない、
   こういうことを記者会見の最後で記者の質問に対して答えています。
   これは私は、原子力規制委員会の本音だと思います。
   福島原発事故のあと、いかにしてみなさんの原発に対する理解を求め
   信頼を得ながら、原発を再稼働させるか、
   これが原子力規制委員会の最大の使命でありました。
   そこをごり押しすれば、やがて日本からは原発は追い出される、
   そういう危機感を原子力規制委員会は持っております。
   そういう観点からすれば、地元が反対だと言えば、それを無理やり強行することは出来ないという
   田中さんのこの意見、感想は実感だと思います。

   ということは、原発を再稼働させないためのキーポイント、
   最も重要なことは地元、私たちがしっかり反対の意思表示をしていくこと
   こうやってデモで歩くだけではなく
   市議会で決議し、市長が声明を出し、各議員が街角にでて原発反対を訴える、
   こういうことが原発を再稼働させないためのキーポイントになるのだと思います。

   その意味では原発再稼働をやめさせるキーポイントは
   今街を歩かれているお一人、お一人の意思表示、
   原発反対への固い決意、みなさんの力が、原発をやめさせる大きな原動力になる
   こういう理屈になってまいります。

   みなさんの意思表示がいま一番、私は大事だと思います。」

次に再度じゃけえさんにマイクが渡ったあと、Kさんにマイクが渡ります。
Kさんは福島原発事故の危険は去っていない、汚染水も増え続けている
先日もその汚染水が大量に漏れ出した、
環境中への汚染の深刻な影響、
それはいずれ食物連鎖によって自分たちの食べ物の中に入ってくる
今はどれだけ汚染された食品が回っているかわからない状況である
どうか真剣に考えてほしい、と訴えました。

最後に網野にマイクが渡りました。
網野「・・・安倍首相は原子力規制委員会で安全が確認された原発はどんどん再稼働させる、
    と述べ、また、新聞もテレビも全く無批判にこれを報道しています。
    知っている人が聞けば、また嘘を言っていると思いますが、
    知らない人が聞けば、本気にします。
    原子力規制委員会は原発の安全を審査しているのではありません。
    原発苛酷事故に発展しそうであれば、それを最小限に抑える
    性能標準を定め、これが規制基準ですが
    これに適合しているかどうかを審査してるのです。
    原子力規制委員会のサイトに行ってもらえればわかりますが
    安全審査会合なんてどこにもありません。
    規制基準適合性審査会合です。
    絶対安全な原発などは世界中どこを探してもない、
    これが現在の規制委員会の基本的な考えた方です。

    広島から最も近い原発、四国電力の伊方原発の審査も着々と進んでおります。
    このままいけば再稼働は近い、と考えておかねばなりません。
    新聞やマスコミは私たちの目線にたって私たちの生活に則して
    まともな報道をしておりません。
    ご面倒でしょうが、マスコミに頼らず、自分で規制委員会のサイトにアクセスして
    どんな議論が行われているかを確認してみてください。

    知れば知るほど、こんな人たちに原発を任せてはおけない、と思われることでしょう。」

元安橋に帰ってデモ終了。
今日は30部持っていったチラシは、10部余ったようです。
関心がなかったのか、というとどうもそうではないようです。
プラカードはよく見ていましたし、いつものようにチラシを取りに来た人もいました。
Kさん「チラシのまき手がいないんだもん。哲野さんは働かないし!」
というのが真相のようです。

翌日、当日チラシのページビューアクセス状況を確認してみたら
1900以上ありましたので、関心がない、ということではないと思います。

以上が第88回広島2人デモの報告です。

<メールではこの後、『3.11』特別版のお知らせをいたしました>