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川内原発再稼働について経済産業省が鹿児島県知事に向けて出した方針書

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▽PDF文書
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20140912_keisansho.pdf

川内原発再稼働について経済産業省が鹿児島県知事に向けて出した方針書(経産大臣小渕優子名)

新聞報道でこの方針書が鹿児島県知事に伝達されたことを知り、早速経産省や政府、鹿児島県のwebサイトを検索して原文を探しましたが、どうしても見つかりませんでした。

それもそのはずで、政府はこの重要文書を公表しなかったのです。

この文書が非常に重要だと感じたのは、私たちばかりではなかったようで、共産党の笠井亮衆院議員が政府に文書公開を求めました。
その求めに応じて経済産業省が(しぶしぶ、と思いますが)提出したものです。その後、笠井議員が公表したものらしく、原文を上記に表示します。

第一に、こうした重要な文書を国会議員が要求するまで公開しない経済産業省の狡猾ぶり。それはそのまま小渕優子経産相の狡猾ぶりであり、安倍内閣の狡猾ぶりでもあります。

第二に、なぜこの文書を一般に公開しなかったのか、という疑問が当然のように湧いてきます。それは文書の中で経産省幹部ですら顔を赤らめる破廉恥な嘘をついているからです。

その箇所を引用します。
「安全性の確保を大前提に、低廉かつ環境負荷の少ないエネルギー・電力の安定供給が国民経済の健全な発展にとって重要であり、その意味で、安全性が確認された原子力発電所の再稼働は、国民の皆様の日々の暮らしや日本経済の活力にとって重要であると考えております。」

いうところは、原発は低廉かつ、環境負荷の少ないエネルギー・電力源である、ということです。原発は低廉な電力源ではないことはすでに経済産業省も認めているところです。

また、環境負荷の少ない、とはCO2を排出しないという意味だと読めますが、福井地裁判決が指摘するように、原発は放射能という環境負荷どころか人間社会を含めたすべての生物圏に甚大な被害・影響を与える最も環境負荷の大きい電力源です。

第三に、この表現の誤魔化しが、政府・経済産業省の狙いを端的に表現しています。
この文書の前段で、「原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められ」、「再稼働に求められる安全性が確保されることが確認されました」と述べながら、私たちが危惧した通り、上記引用文章は「再稼働に求められる安全性」、すなわち規制基準に適合している、という但し書きは、いつのまにか外され、「安全性が確認された原子力発電所の再稼働」と述べ、規制基準に適合した原発は「安全性が確認された」と、「無条件の安全性」が確認されたという印象を与え、「安全性」を一人歩きさせる狙いを明白に持った書きぶりとなっていることです。

第四に、この文章は経産大臣が鹿児島県知事 伊藤祐一郎氏に川内原発の再稼働に「ご理解を賜る」形式となっています。
しかしながら鹿児島県は現在でもなおかつ、原発の普及・推進を目的とした日本最大の業界団体、「日本原子力産業協会」(http://www.jaif.or.jp/ja/organization/kyokai/member_list.html)の正式会員であり、自治体としての鹿児島県は原発推進法人であることを全く隠しておりません。
原発推進法人である鹿児島県に原発推進総本山の経済産業省が川内原発の再稼働に「ご理解を賜る」などとは、一種のサル芝居と言わざるを得ません。
この文書はこうした事情に疎い鹿児島県民をはじめとする日本全国の一般市民に向け、経産大臣が鹿児島県知事に再稼働を要請し、その結果鹿児島県が同意した、という形式をつくることを目的としている文書であり、この意味で極めて重要かつ悪質な文書です。

みなさんもどうか、ご一読ください。