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南海トラフ震源域について

伊方原発サイトと南海トラフ震源域の位置関係について

第52回(10月11日)伊方デモのチラシについて、四国の「瀬戸の風」さんより「伊方デモチラシ 5頁の『伊方原発は南海トラフ震源域にも入っている』は『直近』が正確かも。参考→http://www.jishin.go.jp/main/yosokuchizu/chugoku-shikoku/chugoku-shikoku.htm … 間違えたらごめんなさい。」
というご指摘がありました。極めて貴重な指摘で感謝いたします。

▼第52回(10月11日)伊方デモのチラシ
http://www.hiroshima-net.org/yui/pdf/20141011.pdf

非常に微妙な問題ですが、このチラシで私たちが伊方原発は南海トラフ震源域に入っている、とした根拠をご説明いたします。

政府の地震調査研究推進本部(事務局は文部科学省研究開発局地震・防災研究課)は東日本大震災以降、日本全体の震源域の見直しを進めてきましたが、2013年5月24日、「南海トラフの地震活動の長期評価(第二版)について」を公表しました。
http://www.jishin.go.jp/main/chousa/13may_nankai/index.htm

この見直しでは東日本大震災の経験を活かし、南海トラフ震源域をできるだけ安全サイドに立った見直しを行いました。
その結果、南海トラフ大地震震源域を以下のように定義しました。

東端:富士川河口断層帯の北端付近
西端:日向灘の九州・パラオ海嶺が沈み込む地点
南端:南海トラフ軸
北端:深部低周波微動が起きている領域の北端

さて、問題は伊方原発がこの領域に入っているかどうかという問題ですが、同第ニ版の主文では以下のように述べています。

『評価対象とした領域は、地形(幾何形状)の変化、力学条件の変化、既往最大地震の震源域、現在の地震活動などを考慮し、以下の範囲とした(図1の赤太線で囲まれた範囲)。』
(同主文2P)
http://www.jishin.go.jp/main/chousa/13may_nankai/nankai2_shubun.pdf

南海トラフの震源域については、大きく東西南北の端は示したものの、当然のことですが具体的な細かい地名で個別に示すことはできません。従って図1を参照し、判断をすることになります。
以下が図1です。

同図の注では、「赤線は最大クラスの地震の震源域を示す。」としており、これで見ると、佐田岬の伊方原発サイトは完全に赤線に重なっています。

ところが、同じ主文の「3.南海トラフで発生する地震の多様性について」(4p)では、南海トラフを震源域とする過去の歴史記録を論じ、その中で「図2より、過去に南海トラフで発生した大地震は、その震源域の広がり方に多様性があることが分かる。」としており、図2を以下に示します。

図2を見てみると、佐田岬の伊方原発サイトが震源域に含まれているかどうかは非常に微妙なところです。これは当然の話で、地震調査研究推進本部が第二版を作成する時、海上保安庁から提供を受けたデータマップに加筆する際、その時々の目的に合わせて描画しており、全体としては間違ってはいませんけれども私たちが問題にするような伊方原発サイトの位置に神経を払っていません。これも当然な話で、ナタでおおざっぱに断ち切る話の中に、カミソリで細部をいじくるような話を私たちはしているわけですから。

これらを考えてみると、ご指摘の「『直近』が正確かも」という表現も間違いとは言えなくなります。
図1をとれば伊方原発サイトは南海トラフ震源域に入っている、という表現も間違いとはいえません。
これは要するに、伊方原発サイトが南海トラフ震源域ギリギリに位置しているために起こっている事態であって、あとは表現の問題かと思いますけれども、私たちとしては、いたずらに自分たちに都合のいい表現を用いるのもいさぎよし、とはいたしません。

ご指摘のように、図によっては「直近」と表現もできるわけですから、今後は「南海トラフ震源域ギリギリに位置する」と表現するようにいたします。

ご指摘、誠にありがとうございました。
今後とも厳しく、チェックを頂きますよう、お願いいたします。

広島市民の生存権を守るために伊方原発再稼働に反対する1万人委員会(略称:広島1万人委員会)
事務局長 網野沙羅
事務局  哲野イサク