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第95回広島2人デモ 4月4日報告

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▼第95回チラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20140404.pdf

みなさま

第95回広島2人デモの報告です。
本日はまず、仲間内で話題になった、“デモ妨害”の話から。

網野「あれ、今日のデモ妨害って、なんだったの?」

哲野「いやいや、デモ妨害なんてそんなもんじゃないよ。
   行きの本通りの交差点でじゃけえさんがスピーチ中で
   僕がチラシ撒き、君がいつものように先頭でスピーカー持ってプラカード持って
   チンドン屋状態のときがあったじゃない。

   僕の肩口を後ろからかなり強い力で誰かがどんと突いて
   後ろから「いますぐやめろよ!」という声がしたんで振り返ったら
   若い男の子がこちらを睨んでる。
   目がもう尋常じゃない。
   ほっぺたは真っ赤に紅潮している。
   あ、こりゃ普通じゃないなと思ったから何も言わず、警備の警察の人に合図を送って
   すぐこっちに来てもらうようにした。
   というのは、ほら、デモ中絡んでくる人があるじゃない?
   言葉で絡んでくる人は警察は一応手出しできない。
   暴力行為じゃないんだからね。
   でも今回の場合は、強い力で後ろをドーンと押されたから
   一応、暴力行為があったと主張が出来る。
   だからすぐに警察に来てもらった方が得策、という判断がとっさに働いた。

   前にいたじゃけえさんが、なんか反論があるんだろうなと思ったんで
   「なんですか?」と言いながらマイクを突き出した。
   反論があるんなら言ってもらおうと思ったんだろうね。
   ところが相手は、目が据わってて、尋常じゃない。
   案の定、マイクごと、じゃけえさんの手を引っ張りこんで引きずって行った。
   じゃけえさん、びっくりしたろうね。

   でももう、警備の警察の人が来てたんで、
   すぐにその子を取り押さえて、僕たちから引き離した。
   見てると、その男の子、警備の警察の人に突っかかっていった。
   警察の人もよく我慢してたよね。
   あの男の子、ドーンと警察の人の胸でも突いてたら
   公務執行妨害の現行犯だよね。

   追っ払った後、僕のところに戻ってきて
   「どうされますか?」
   「え?」
   「一応被害届を出そうと思えばできますけどね」
   「そんなバカなことしませんよ、今の人、明らかに尋常じゃない。目が据わってましたもんね。」
   「そう、私もそう思いました。少し精神異常なのかもしれませんね」
   「ええ、僕もそう判断しました。第一、原発反対が気に喰わないのか
    それとも町でエラそうにマイクで喋っているのが気に喰わないのか
    本人だってわかってないと思いますよ。」
   「わかりました。デモを続けてください。」
   という事情。
   もしご本人がまともな神経の持ち主なら、事情聴取して意見を聞いてみたいところだけども
   あの状態じゃあ話も聞けないだろうよ。
   デモ妨害なんてもんじゃあない。」
網野「なんか気に喰わなかったんだろうね。
   確かに、私が見ても、普通じゃなかった。おかしい人だなと思った。」

哲野「あの状態でね、最悪はね、こちらが手を出すことなのよ。
   後ろからどんと突かれたから、あわてて手を振り払ったりすると
   暴力行為に見えることもある。
   日本の法律は権力の暴力行為には寛容だけども
   一般市民の暴力行為には不寛容だよ。

   だから気を付けないといけない。
   正当防衛のつもりで出た行為が警察にひっかけられるというのはよくある。
   一部の右翼なんか、それを計算してわざと挑発して相手に手を出させて
   暴力行為で警察に捕まえさせるなんてケースもある。
   そういうケースは今度は警察がマスコミに警察発表と称して
   今日のデモでデモ隊と一般市民の間に小競り合いがあった、暴力行為に及んだので
   一応拘束して事情聴取をしたと。悪質ではないので事情聴取のあと本人を釈放した、
   みたいな発表をする。
   するとマスコミはこれ幸いとばかりにデモ自体は書かないくせに暴力行為があったことだけを大きく扱う。
   日本の市民社会はこうした暴力行為を極端に嫌うから
   デモ自体が色眼鏡で見られる結果になる。
   こんな例、枚挙にいとまがないよ。
   デモする側も全く無警戒であるケースもみられるし
   わざとそういう事件を待ち構えている若い連中も、デモ隊のなかにいないではない。
   60年安保、70年安保、71年の新宿騒乱事件、いやんなるほど例がある。」

網野「こちらがそういう状況を作らないことだね。
   きちんと何かあったらこうしよう、ということは考えておかないとね。」

哲野「そうそう。だからいつか難聴者と称する人が絡んだ時に
   あとでみんなで申し合わせたじゃない。
   あの難聴者と称するひとは、明らかにおかしかった。
   絡んでくるのが目的だった。
   手を出させようとする意図が見え見えだった。
   だってスピーカーに手を掛けたんだからね。
   その時は警察を呼ぶ、こちらから手を出さない。
   スピーカー壊したら損害賠償を求める、
   そうはいっても人間だから思わずスピーカーを守ろうと手が出る
   それを防ぐために大リーガーで審判に抗議する監督さんのように
   手を後ろで組む、みたいなことをあとで申し合わせたじゃない。
   やっぱり参加者がきちっと色んな連中がいる、色んな意図を持った連中がいる
   誰かから金を貰っているやつもいる、
   本通りに巣食っているショバ代稼ぎのケチなチンピラもいる、
   いろんな事情をみんなわかったうえで、歩かないといけないね。」

ということでした。

では出発前から。
平和公園の桜は満開なのに、物凄く寒かったです。気温11度。
花見客もいなければ、この時期、シーズンを迎える外国人観光客もチラホラでした。

▼本日のデモ前 桜が満開、でも寒い。

集合場所に行くと
警備の警察の方が来たので指令書確認。
チラシをお渡しして哲野が説明。
哲野「2011年の3月の終わりくらいに、原子力委員会の委員長さんが
   当時の菅内閣に提出をした最悪のシナリオっていうのがあるんですが。
   これ、インターネットで原文閲覧できますよ。
   非常に有名な文書です。
   元々非公開だったんですけど、偉い人がいて、情報公開要求をして
   内閣府が公開せざるを得なくなった文書です。
   これを見てお分かりのように、最悪5000万人が避難と言う事態になりかけた。
   このことはあとで菅さんが講演の時にもご自分の著書の中でも言及しておられますよね。
   じゃ、当時と、3年後の今と、基本的な構図が根本的に変わったかというと
   依然として膨大な核燃料が炉内やプールにあるわけですから
   構図は全く変わってない。
   だから、このシナリオも基本的には変わっていない。
   恐ろしいのは、規制委員会も東電も、ちゃんとそのことを認識している。
   でも知らん顔をしている。
   こんな危険な社会に今私たちは暮らしている。
   今日はどうしてもこれを訴えたいですよね。」
と切々と警察に説明してるうちに、音楽が鳴りました。
じゃけえさんも息咳きって登場。
3人で出発です。

▼本日のプラカード

▼第95回チラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20140404.pdf

最初のスピーチはじゃけえさん。
じゃけえさんは今日のチラシの概要を説明したあと、
今は彼女がどうしても訴えたい話、
四国電力伊方原発の危険についてスピーチしました。

じゃけえ「今私たちは、伊方原発の再稼働に反対する広島市議会決議を求めています。
     私たちの訴えを理解していただいて、賛同いただき
     所定の用紙に署名をしていただければ、市議会に対する共同請願人になっていただけます。
     こちらに来ていただければ、署名もしていただけます。」

じゃけえさんはしっかりクビから下敷きつきの署名用紙をぶらさげて歩いています。
哲野「アンデルセンのところで僕に交代して、次にパルコのところで君と交代でいこう。」

ここで例の“妨害事件”発生。
デモに戻ってじゃけえさんから哲野にマイクが渡ります。

哲野「昨日でしたでしょうか、函館市が東京地裁に
   いよいよ大間原発の建設凍結を求めて提訴しました。

   函館市は昨日今日、この問題を手掛けたわけではありません。
   電源開発(Jパワー)が大間原発の建設を開始した時から
   その危険を察知して、町ぐるみで反対運動がはじまりました。
   今の市長も、2011年の統一地方選挙で大間原発建設凍結を公約に掲げて当選した市長ですし
   2012年の9月には、保守系議員も含めて全会一致で大間原発建設凍結決議を出しています。
   また、昨年、大間原発建設再開時には強い調子で電源開発に抗議しました。
   地方自治体としてやれることはすべてやりつくしたうえで、
   今回の最終手段、法に訴える、ことになったわけです。

   函館市の提訴状をよく読んでみると、なかなか今の法律をよく研究して相手のスキを突いています。
   なかでも大間原発建設は当然、原子炉設置許可が前提ですが
   今電源開発が取得している原子炉設置許可は
   旧原子力安全・保安院時代のもので、2008年に取得したものです。
   ところが、現在は原子力規制委員会の新しい基準による原子炉設置許可となっており
   旧安保院時代の設置許可は無効である、とするものです。
   みなさん、これはどうも、勝ちそうです。」

この時網野は周りを見ていましたが
聞いていないふりをしながら、好意的な雰囲気なり、ぱっと明るくなりました。
顔をあげたひと、ニコッと笑ったひと、そうか、と思いながら歩いてるなとわかるほど明らかに表情が変わった人・・・
そこへ大歳さんが参加。ここで4人になりました。
大歳さんはプラカードをもって、網野と並んで先頭を歩きます。
(先頭の後はすぐ最後尾ですが)

哲野「それよりなにより、函館市民が偉いのは、大間原発問題を
   エネルギー問題だという捉え方をまったくせずに
   函館市民、道南地域道民の生命・財産・生活権を守る闘いである、と
   極めて正確に事態を捉え、恐らくは函館市民一人一人説得していった結果
   今に至っているということです。
   それでなければ大間原発建設反対の市長も生まれなかったでしょうし
   全会一致の建設凍結を求める決議も生まれなかったでしょう。
   これは自民党議員、保守系議員、一般論として原発賛成の議員も含めて
   全会一致ですから、極めてその意義と価値は大きい。

   振り返って今私たちは、四国電力伊方原発の再稼働に反対してくれと
   これは広島市民の生存権の問題なんだと
   伊方原発が事故を起こせば、私たちは広島にいられなくなる、と訴えています。
   これに対して、広島市の見解はあいも変わらず、原発問題はエネルギー問題、
   エネルギー問題は国の専管事項、広島市としてはこれを見守る、という対応ですし
   広島市議会も決してこの問題を広島市民の生存権問題だと正しく認識はしていません。

   これが函館市と広島市の最大の違いです。
   広島市と函館市の違いは、広島市民と函館市民の違いでもあります。

   残念ながら、現在広島市民は四国電力伊方原発の危険については
   正しく認識している人のほうが圧倒的に少ない。
   あるいは伊方原発の危険すら知らない人も多い。
   目の前に差しせまった危険を認識せず、放置していた結果が福島第一原発事故ではなかったか。
   様々な警告や注意喚起に目を閉じ、耳塞いだ結果が福島第一原発事故ではなかったか。
   函館市長の声明、「なぜ函館市は大間原発建設に反対するのか」はなかなか感動的な文書です。
   今お配りしているチラシに全文掲載してありますので是非お読みいただきたい。
   また函館市のキーワードでインターネット検索で、出てきますので是非お読みいただきたい。
   私たち広島市民が函館市民から学ぶことは非常に多いと思います。
   世界最初の被爆都市などと言っている場合ではないのです。」

パルコを過ぎたので、次にじゃけえさんにマイクが渡ります。

じゃけえ「・・・原子力規制委員会も、原発事故は絶対に起こらない、とは言っていません。
     また、規制委の提示した伊方原発苛酷事故時の放射性物質拡散シミュレーションでは
     広島市は4mSvの被曝線量、原子力災害対策指針の指標によれば、
     一時移転の対象区域、一時移転とは言いながら、それは事実上の避難です。
     健康問題を考えれば帰ってくることはできません。
     伊方原発の問題は私たちの生活に直結した問題です。
     函館市は函館市民の生命と財産を守るため、大間原発建設凍結を訴えて
     国と電源開発を相手取って裁判を起こしました。
     建設自体が違法であるという訴えです。
     広島市も市民を守るという姿勢を採るべきではないでしょうか?
     原発は事故を起こすもの、ということが当たり前になりました。
     そして原発は事故を起こすものと前提して再稼働されます。
     いま、四国電力伊方原発の再稼働に黙っているということは
     これに賛成したことと同じです。
     広島から避難してもかまわないと、言っているのと同じになります。」

じゃけえさんのスピーチ中、息咳きってKさんが参加。
哲野がこれ幸いと、チラシを渡します。
哲野とKさんでチラシ撒き。
哲野「順調にみんなチラシ取るんだね。」
Kさん「ん~。ネクタイ締めた中高年の男性が結構興味示してる。
   さっきも、ばりっとした紳士がチラシを取りに来た。」
哲野「それは僕も同感。僕は相変わらず取りに来た人しか渡していないけど。
    近づいて行って渡せば、受け取るな、という人はたくさんいるね。」
Kさん「うん。それは感じる。
    私は哲野さんと違って渡しにいくから、結構取ってくれるね。」
哲野「「どうだろうか、今はプラカードを眺めた人にチラシを持っていったら
   3人に一人は受けとるだろうと、こう見ても外れてないんじゃない?」
Kさん「うん、それは同感。ただ、哲野さんが持っていったら、5人に1人に減るだろうけどね。」
哲野「どういう意味よそれ。ボク紳士よ、紳士」
Kさんは哲野の抗議を受け付けません。

網野が見ていると、まずプラカードは確かに、中高年のビジネスマンによく見られていた。
中高年のビジネスマンもやっぱり福島第一原発の今の現状は気になるし
意外と大事なんじゃないかと思い始めているのではないかと思います。
なにより、自分が判断できる、情報を求めているのですが
マスコミ、その他大手商業誌からは掴めず
情報を判断する手掛かりがない、
で、プラカードを見て、チラシを見てみようかという気になったという状況ではないかと思います。

次に哲野がスピーチ。

哲野「・・・福島第一原発がどうなっているのか、
   なかなかマスコミ、新聞の報道を見ていてもわからない。
   マスコミは汚染水が出たら騒ぐ、海洋流出したら騒ぐ、
   なかなか問題の全体が見えてこない。

   今日のチラシは、第2苛酷事故の危険が去らない、福島第一原発として
   扱っておりますが、まず全体から言えば、原子炉内、プール内に
   大量の核燃料がそのままになっている、これが全ての危険の大元です。
   これが大局観のポイントです。
   しかも、事故前に比べてその安全性は極端に脆弱になっている。

   お配りしているチラシに数字をあげておりますが
   こうした核燃料は少なくとも事故前は5重の壁に守られていました。
   5重の壁とは、ペレット、燃料棒の被覆、圧力容器、格納容器、原子炉建屋の5つですが
   少なくとも、1号炉から3号炉まではこの5重の壁は完全に破られております。

   それではどういう対応なのかというと、
   ただ水で冷やして、核崩壊熱の上昇を防ぎ、大気と直接触れるのを遮断する、
   簡単に言ってしまうとこれしか対応策がありません。

   つまり、現状維持、小康状態をかろうじて保っているという状況です。
   この小康状態が破られればなにが起こるか。

   それがチラシにご紹介している、原子力委員会近藤委員長の最悪のシナリオです。
   簡単に言ってしまえば、どこでもいい、大量放出がはじまる、
   人が近づけなくなる、近づこうとしても短時間で死んでしまうような高線量になる、
   全員避難になる、他の施設の手当てができなくなる
   そうすると5つある原子炉、7つあるプールの中の大量の核燃料は
   次々と放出されていく、とこういうシナリオです。

   この危険は現在事故前に比べてはるかに高いと言わざるを得ない。
   しかも原子力規制委員会の専門家会合の議論を読んでみると、
   このリスクについては東電も規制委員会もしっかり認識している。
   しかし、打つ手がない。
   規制委などは半ばあきらめ顔です。
   東電はこれ以上コストをかけたくないので、
   大丈夫だ、大丈夫だと全く無根拠な楽観論に終始しています。
   政府はといえば、せっかくの原子力災害対策本部も
   復興推進本部と一緒にしてしまい、議論の中身は復興推進の話だけになっています。

   つまり福島第一原発について責任を持って対策を推進しているところはどこにもないのです。

   これが私たちが今、直面している最大の危機です。
   日本の社会が直面している差し迫った危機です。
   このことをみなさん頭によく入れておいてください。
   詳しくはチラシをお読みください。」

次にマイクはじゃけさんに渡って、伊方原発の存在と危険を繰り返し訴えました。
その次に、網野にマイクが渡ります。

網野「昨日4月3日、函館市は日本の地方自治体として初めて、
   電源開発大間原発建設が違法であると東京地裁に提訴しました。
   その提訴の中身は今お配りしているチラシに
   工藤函館市長の『なぜ建設凍結を求めるのか』という声明を全文掲載してあります。
   是非お読みいただきたいのですが、ここで一部読み上げます。
   『原発事故が起これば、周辺自治体も壊滅的な状態になるということを
   (福島現地で直接)確認いたしました。そして、住民の生命、安全を守らなければ
   ならないのは最終的に基礎自治体である市町村であることを改めて強く感じたところです。』
   『住民の生命や財産を守り函館市という自治体を、将来の世代に引き継いていくためにも、
    司法の場において、大間原発の建設差し止めを訴えて参ります。』
   函館市の訴えは結局住民の生命と財産を守るという点に尽きていると思います。」

今日はスピーチの用意がないと、言っていた大歳さんがたまらず自分もスピーチ。

大歳「4月になりました。消費税が5%から8%に上げられてしまいました。
   前年度は手取りが増えたよと言っていた人も、
   消費税率のアップで公共料金も上がってしまい、
   お金は逆に回収されていきます。
   また不況に逆戻りです。アベノミクスは単なる目くらましに過ぎないということです。
   安倍首相は原発事故の終息になんら努力していません。
   彼が今やろうとしていることは原発の再稼働、原発の輸出、武器の輸出、
   そういうことばかりやろうとしています。
   ちょっと頭がおかしい人だと思います。
   こんな人をずっと総理にさせていてもいいでしょうか?
   私たちは殺されてしまいますよぉ。
   もうそろそろ自民党はいいんじゃないでしょうか。かといって民主党も役に立ちません。
   もうそろそろ、本気になって私たちの代表を決めないといけない、
   もう殺される寸前のところまで来ていますよぉ
   考えてみてください。
   お騒がせしました。」

ということでデモ終了。
本日は本来ならば夜桜見物を兼ねた情報交換会となるはずでしたが
あまりの寒さに、夜桜見物はあきらめ、
紙屑の山と化しつつある哲野と網野の事務所で
宴会案に一同賛成。
5人で事務所に移動し、情報交換会になりました。
じゃけえさんの手作り料理が並びます。
特に、春巻きは絶品でした。
温かいスープも用意してきていて、あっという間に売り切れ。
途中で仕事を終えた原田さんも食料持参で合流。
6人でワイワイと夜中の11時半まで議論や情報交換、問題提起が続きました。
哲野が止めないと、もっと続きそうな勢いでした。
哲野「ボクは明日7時から仕事だから。もうそろそろやめないと・・・」
Kさん「はいはい、夜の7時ね。」
哲野「・・・」

以上、ご報告いたします。

第95回広島2人デモ 4月4日告知

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▼第95回チラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20140404.pdf

みなさま

おはようございます。
第95回広島2人デモのお知らせです。
2014年4月4日(金)18時から
平和公園元安橋東詰め、花時計前出発
本通り・金座街を往復します。

チラシが出来ました。
宜しければお読みください。

メインタイトル
「福島第一原発は今⑥」
メインメッセージ
「3年経ったが、どこかおかしい、
もしかして考える以上に危険なのではと
気づきはじめた高校3年生の女の子」
サブメッセージ
「様々な証拠からこのままでは
第2苛酷事故の危険が加速」

トピック
1.3年経過してどこかおかしいと気づきはじめた高校生
2.福島第一原発の危険はいったいどこにあるのか-再確認
3.原子炉内やプール内に大量にある剥き出しの核燃料と死の灰
4.5000万人避難のシナリオは消滅していない
5.全く無能な原子力災害対策本部と原子力規制委員会
6.危険が危険を呼ぶ悪循環 東電福島第一原発敷地内
7.汚染水が敷地線量を上げ、作業環境が悪化
8.現在ただ今も福島第一原発は「原子力緊急事態宣言」発令中
9.函館市、大間原発建設凍結を求め、東京地裁に提訴

では歩いて参ります。

第94回広島2人デモ 3月28日報告

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みなさま

毎度お騒がせします。
第94回広島2人デモの報告です。

出かける前に珍しく時間の余裕が出来ました。
哲野「今日で何回目?」
網野「94回目」
哲野「気ちがいじみてるね。良く続いたよね。」
網野「なんで続いたんだろうね」
哲野「いい質問だね、僕も時々考える。
   なんで続いたんだろうか、じゃなくて
   どうだったら続かなかっただろうか、と考えることがある。」
網野「どうだったら続かなかった?」
哲野「もともと2人でデモするわけだろ。
   今でこそレギュラー、セミレギュラーの仲間も増えて
   それでもせいぜい10人じゃない?」
網野「うん。」
哲野「たぶん、いつも同じことをスローガン風に連呼してたら
   10回くらいで嫌になっただろうね。」
網野「まぁ、少人数だしね。
   大人数でデモならそれはそれで勢いで続くだろうけどね
   少人数ならなんの意味があるのか、と思っちゃうね。」
哲野「そりゃそうだ。
   でも元々、同じことを繰り返して歩くということにはならなかったんだよ。」
網野「まぁチラシの文句じゃないけど
   いてもたってもいられんかったしね。」
哲野「そうそう。伝えたいことや言いたいことが初めからいっぱいあった。」
網野「そういえば、そうだったね。
   原子力災害本部の報告をチェックしはじめたのがきっかけだったけど
   ニュースにぜんぜん肝心なことが書いてなかったもんね。」
哲野「そうそう。これはみんなに言っとかないといけない、ということがいっぱいあった。
   しかも、回数重ねるごとに伝えたいことがどんどん増えていく。
   そりゃそうだ。現実がどんどん進行してるんだから。
   今じゃページを増やしても伝えたいことのほんの一部しか言えない。
   伝えたいことが多くて、捨ててる事の方が多い」
網野「誰に伝わってるんだろうか。誰が聞いてくれてるんだろうか」
哲野「そうそう。でもそれはしょうがない。わからないんだから。
   もしかして誰も聞いてないかもしれないし
   誰にも伝わってないかもしれない。
   でもだからといって、やめる?」
網野「やめられんねえ・・・・」
哲野「だろ?だからそれは今当面の問題じゃない。
   当面の問題は伝えるべき事実があって、それを伝えて、記録に残す、
   これが今一番大事な事だと思う。
   いつかは必ず役に立つ」
網野「そうね。いつかは役に立つかな」
こんな話をしているうちに、出発の時間がきてしまいました。
もしかして遅刻?
網野「せっせとやりましょうか。出かけるよ。
   哲野チラシ袋持ってよ」
哲野「あ、もうこんな時間か。プラカードがないプラカードが。」
網野「プラカードとスピーカーは私が持った!」

この日は集合場所に行く途中、車が物凄く多くて
本当に遅刻かと思いましたが、10分前に到着出来ました。

先週は咲いてなかったのに桜が咲いていました。
陽気もあって観光客も多かったです。

▼元安橋の上から、平和公園の桜。5~6部咲き

▼まだ5分咲きの元安川の川岸の桜

撮影して出発地点の花時計前に戻ろうとすると
「こんにちは。集合場所がわからなかった…」と声をかけてくれたのが英さんです。
英さんは哲野と網野の共通の友人ですが
ちょうど1年前に参加してくれて2回目。
網野「来てくれたの?!」
哲野「今日は先頭でプラカード持って街の雰囲気や
   みんなの反応がどんな感じか、前回とどう違うか観察しておいてくれる?」
リサーチ役に回ってもらいました。

警察の方がきて指令書の確認をし
しばらく待っていると「お久しぶりです!」と現れたのがSさん
網野「東京から帰ったの?」
Sさん「ええまぁ。その話はあとでゆっくり。」
哲野「今日スピーチの用意は?」
Sさん「ま、今日はやめときましょう。
   私、チラシ撒きに回ります」

で音楽が鳴って4人でスタートしたのですが
すぐ、横断歩道の信号待ちをしていたところへ
外国人の観光客の団体(30人くらい)が横切り
目ざとくプラカードを見てくれました。

▼今日のプラカード

今日のチラシ

http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20140328.pdf

彼らが理解できる言葉はたったひとつ。
「There is no safe dose of radiation」
(放射線被曝に安全量はない)
大きくうなづく人、親指を立ててOKサインを出す人
拍手してくれる人、カメラで撮影する人・・・
これで、わかってくれるんです。
哲野「どこから来たんだろうかね。西ヨーロッパのどこかの国だ。
   放射線被曝に安全量はない、これが市民社会の常識になっている国だね。
   日本はまだこれが常識になっていない。
   がんばりどころだろうね、僕たちの。」
中の一人の男性が、プラカードの前でじっと立って
カメラで撮影している間に、他の人たちは移動してしまいました。
男性「どこにいったんだ」
哲野「あっちあっち」
と全員が指さしました。
男性は慌てて追いかけて行きました。

やっと出発です。

哲野がトップバッターです。
哲野「今日のテーマは、なぜ私たちは原発に反対するか、
   なぜこれを(原発など核施設やそこから放出される放射能)敵視するか、です。
   私たちの生存を根本から脅かしています。」
としゃべったところでじゃけえさんが登場。
チラシまきに回ろうとしたじゃけえさんに
これ幸いとばかりにマイクを渡す哲野。
Sさん「あれ?まだ話終わってないんじゃないです?」

じゃけえさんのスピーチです。

じゃけえさんはこのところのテーマになっている伊方原発の危険、これを黙認することは
結局賛成しているのと同じ、今広島市議会に伊方原発反対決議を求める請願を出している、
所定用紙に署名をすれば、一緒に共同請願人になってもらえる、などをスピーチしました。

次に哲野にマイクが渡ります。

哲野「今日、すべてのプラカードに『There is no safe dose of radiation』と入れております。
   放射線被曝に安全量はない、放射線被曝はどんなに低線量でも
   可能性として人間の生命健康を害する、という意味合いです。
   この言葉は例外なく、世界の科学者が一致して、科学的真理だと承認している言葉です。
   ICRPの学者であれ、低線量被曝を、特に内部被曝をもっとも危険だとする学者を含め、
   全員が一致してこの見解を支持しています。
   私もこれが科学的真理だと考えています。

   福島原発事故以降の日本で、この言葉が市民社会の常識、共通理解となることが
   今最も重要です。
   というのは、この言葉に全く反する言説が日本で行われているからです。
   その言説は、放射線被曝は低線量なら健康に害がない、あるいは
   健康に害があるという科学的証拠はない、という言説です。
   この言説のことを私は『放射能安全神話』と呼んでいますが
   この放射能安全神話が福島原発事故以降の日本で特に強調され
   私たちを低線量内部被曝の危険に曝しているからです。

   非常におかしなことに、放射能安全神話を振りまく科学者たちは
   その一方で放射線被曝に安全量はない、という真理に
   賛成しているのです。
   放射能安全神話を振りまきつつ、一方で放射線被曝に安全量はない、ということは
   これは言葉のアクロバットです。
   こうした言葉のアクロバットを使わざるを得ないほど、彼らは追い込まれています。
   なにがなんでも放射能を撒き散らしつつ、原発の再稼働を進めたいのです。
   そして言葉のアクロバットを使いながら福島の高濃度放射線汚染地域に
   人々を縛り付け、被曝を強制したいのです。

   今日本は低線量内部被曝の危機にさらされています。
   ところが困ったことに放射線被曝感受性は
   人によって、年齢によって、男女によって、大きく違います。
   同じ人でも、その人の身体の中の状況によっても感受性は大きく違います。
   たとえば細胞周期中の放射線感受性はそうでないときと比べると600倍も違う、という報告もあります。
   要するに、目安としても、ここまでは大丈夫だ、ここから先は危ない、という一線が引けないのです。
   こうした状況の中では放射線被曝から自分の身、或いはお子さん、お孫さんを守るには
   正しい低線量内部被曝の知識と理解を深めるほかはないのです。」

次にじゃけえさんにマイクが渡ります。

じゃけえ「私たちはチェルノブイリ事故の経験に学ぶことができたはずなのに
     それをせず事故からもう3年経っています。
     内部被曝は外部被曝とは全く違う種類の被曝です。
     その被害の大きさは状況によって100倍から1000倍も違います。
     日本政府はICRPという団体の勧告に従って被曝対策を行っていますが
     このICRPは外部被曝も内部被曝もいっしょくたにして
     100mSv以下であれば安全である、本当は安全とはだれも言っていないのですが
     日本政府は安全であると勝手に解釈して被曝政策を採っています。
     それに対して、ECRRという団体は、全く相反する主張をしています。

     内部被曝はどんなに低線量でも人によっては命に係わる危険がある、
     どちらが正しいのか、みなさんよく考えてみる必要があります。

     私は日本政府が100mSv以下なら安全ですよ、と言っているのは
     実は原発を推進したいからだ、原発推進のためには
     人々の健康などあるいは命など、二の次、三の次としているのだと思います。
     原発を稼働していきたからだと思います。
     原発による利益を独り占めしたいからです。

     原発の事故によって被害を被るのは私たち一般庶民です。
     反対の声を挙げなければ勝手に進められてしまいます。

     広島市に一番近い原発は、四国の愛媛にある四国電力伊方原子力発電所です。
     今は稼働をとめていますが、再稼働が進められています。
     事故を起こすことを前提にして再稼働が進められています。
     事故をおこさないとはだれも言ってくれていません。
     事故を起こさない保証はだれもしてくれていません。

     原発立地地元とはいったいなんでしょうか。
     それは原発が苛酷事故を起こした時に被害を被る地域がすべて立地地元なんです。
     そして原発立地地元の理解と賛同が得られなければ再稼働はできません。

     私たち広島も、もし伊方原発が福島並みの苛酷事故を起こせば
     『一時移転』と言う名前の避難になるということが
     原子力規制委員会のシミュレーションで明らかになっています。
     広島は伊方原発の原発立地地元なのです。
     私たちの広島市民の反対の意思表示と行動が、
     伊方原発の再稼働を止めることが出来ると思います。」

次にマイクは網野に回ります。

網野「ご通行中の皆様、商店街の皆様、毎度お騒がせしております。
   金曜日恒例の広島2人デモです。
   ・・・・というわけで伊方原発反対決議の共同請願人署名を父にお願いしたところ
   お前はまだそんなことをやっとるんか、と言われました。
   このことの意味は、原発反対運動をやっているのは、共産党で
   共産党の勢力拡大だという思い込みがあったようです。
   私は共産党支持者でもないし、どの政党も支持してない、
   問題は、どこの政党を支持するかではなくて
   伊方原発が事故を起こしたら、私たちは広島にいられなくなる、ということだ、
   親戚には商売をやっているひとも、農家もいる、
   私たちもビジネスをやっている、
   みんな広島を基盤に生きている。
   広島を離れれば、たちまち生活に困る。
   こういう話だ、と言いました。
   そして保守党の市議会議員でも、このことをわかってくれる人はいる、
   しかし党本部からの方針で伊方原発反対と言われたら賛同はしにくい、
   君らが多くの賛同者を集めてくれたら、僕らも動きやすい
   がんばってくれと言われている、と説明しました。
   どうも、原発反対というと、政治運動、まさしく政治運動なんですが
   政治運動と政治党派運動を勘違いしている人が多く
   こういう話題を避ける雰囲気が広島にはあるようです。
   繰り返しますが、政治運動ではありますが、政治党派運動ではありません。

   残念ながら、原発問題は政治問題です。
   というのは、解決は政治の場でしか出来ないからです。
   個人的に福島支援とか、義援金を集めるとか、食べ物に気を付けるとか
   限界があります。
   早い話、個人では原発の稼働を止めることも、反被曝政策を採ることもできません。
   解決できるのは政治だけです。

   どうかみなさんも、原発問題と政党党派運動を混同しないようにしてほしいと思います。
   そして、この問題を正々堂々と日常会話の中で話し合ってほしいと思います。
   その時に、私たちが調べた内容を材料にて
   あるいはみなさんが調べられた内容を材料にして
   本当に話し合ってほしいと思います。
   お騒がせしました。ありがとうございました。」

元安橋に帰ってデモ終了です。
次の予定があって、あまり時間は取れなかったんですが
英さんと、Sさんが久々の参加とあって立ち話となりました。

哲野「(英さんに)どうだった?ちょうど一年前だろう?
   今日はプラカードを持って歩いていたから、反応がよくわかったと思うが。」
英「1年前歩いた時は、みんなの冷たい視線が刺さってくるようで痛かった。
  それで次回から参加しないことにしたんだけど
  今日はその冷たい視線を感じなかった。」
哲野「ほほう。それで?」
英「ん。それだけ。」
哲野「そりゃないだろ、おまえ。もうちょっとなんか言ってよ」
英「うーん。意外と、中高年層の男の人がプラカードをよく見てたと思う。」
哲野「うーん。それを感じたか。
   これねえ、ここ半年くらいかなぁ。
   大きな特徴なのよね。
   私たちの主張に賛成しているのかどうかはわからない。
   以前はアホな事を言ってる、と無視していた中高年層の男性が
   賛成か反対かはわからないんだけど
   大きな興味を示すようになってきたのは特徴だね。」
網野「ビジネスとか生活に関係していることが認識されるようになったというか
    実際に感じているところが出てくるようになったんじゃない?
    自分の身の回りに。」
Sさん「チラシは中高年層の男性では、
    受け取る人とはっきり拒否する人がはっきりしてきましたね。」
哲野「東京はどうなの?」
Sさん「うーん、あきらめムードが漂っているところもある。
   現実に、東京から離れようと思っても仕事や生活や家があるから
   離れられない。
   離れられないのに、原発や放射能の話をするのもむなしい。
   だから、話題に蓋をしているというか、お互いに触れたがらない、という雰囲気はありますよね。
   少なくとも僕の周囲はそんな感じですね。」
哲野「なるほどね。それはよくわかる。
   どうにもならないことをあえて話題にしない。
   その意味では同じ話題にすることを避けてるのでも
   東京と広島では深刻度が違うんだろうね。
   ほら、見てよこのチラシの数値。
   初期の大量放出期で東京が、といっても新宿区だけのデータだけど
   こんなに汚染されては本当は人が暮らしちゃいけない。
   確かにヨウ素131はもうなくなっているだろう、けど
   セシウム137はこの土壌汚染データと今も大きくは違わないんだよ。」

という感じでほっとけば延々続きそうでした。
チラシは30部すべてなくなりました。
今日のテーマは地味すぎるので
10部くらいは余るかなぁ、そしたら他に流用できるなと思ってましたが
また印刷して別に作らなければならなくなったようです。

以上ご報告いたします。

第94回広島2人デモ 3月28日告知

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みなさま

おはようございます。
第94回広島2人デモのお知らせです。
3月28日18時~平和公園元安橋東詰め出発
本通り・金座街を往復します。

チラシが出来ました。
宜しければお読みください。

http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20140328.pdf

タイトル
「なぜ私たちは原発に反対するか
そしてなぜこれを敵視するか」

トピック
1.反原発・脱原発・卒原発、様々な立場
2.低線量内部被曝に対する相容れない2つの見方
3.ICRP派とECRR派の科学的根拠
4.日本全土を覆った福島第一原発からの放射能
5.低線量内部被曝の影響ではない、とは言い切れない
6.低線量内部被曝の影響を否定するプロバガンダは広島原爆の投下直後から
7.日本でも本格的な世論操作
8.現在も強烈に刷り込まれる放射能安全神話
9.国際的な規模で刷り込まれる放射能安全神話

では今日も歩いて参ります。

広島地元中国新聞の「伊予灘地震」の報道ぶり

【お詫びと訂正・記事差し替え】
広島地元中国新聞の「伊予灘地震」の報道ぶり

 2014年3月26日午前5時頃掲載した『広島地元中国新聞の「伊予灘地震」の報道ぶり』記事に重大な私の誤りがありました。誤りの個所は当該中国新聞記事中「基準地震動」と表記してある個所を「基準“値”震動」の誤植だ、と指摘した個所です。これは「基準地震動」が正しく、中国新聞の表記で誤りはありません。

 「基準値震動」とは、 原子力規制委員会の『基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド(案)』(2013年6月6日修正案<http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/shin_taishinkijyun/data/0013_04.pdf>)では、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」の意味合いで「基準地震動」という言葉を使っており、当該中国新聞の記事でもこの意味で「基準地震動」を使っています。これを「誤植」だとしたのは私の完全な誤りです。これは単に誤りでは済まず、私はこのことを持って次のように書いております。「おまけに「基準地震動」と“基準地”(値)の誤植付きです」さらに次のようにも書いております。「意味がわかっていれば“基準地震動”などという誤植も生まれるはずがありません」

 これは私の誤った理解のもとでの“誤った攻撃”であり、読者の方々と中国新聞に対してお詫びを申し上げます。

 記事を掲載した後、伊方原発の「基準地震動」に関する記事を読んでいるうちに私の誤りに気づきました。何度もこの種の記事は読んでいたのですが、頭の中で「基準地震動」を「基準“値”震動」と読み替えて理解していた(知識・理解の欠如)のが原因です。しかしどうもそれだけではなさそうです。私は常々この新聞(中国新聞)の、原発や放射線被曝問題に関する無定見な報道ぶりに腹を立てており、今回もその気持ちが働いて格好の攻撃材料、と勇み立ったのが真の原因と思われます。

 批判は常に必要です。批判なしには真実に近づけません。しかし無定見・無根拠・誤謬に基づく批判は、批判の名に値せず、それは有害な“攻撃”になってしまいます。私は常々このことを自戒してきたつもりですが、今回自戒が足りませんでした。

 なお記事は、部分的訂正というわけにもいかず、いったん全面削除して、以下のように差し替えます。読者の諸氏、また中国新聞に対し心からお詫びします。

哲野イサク

【以下差し替え記事】
広島地元中国新聞の「伊予灘地震」の報道ぶり

 広島地元中国新聞の、先日の「伊予灘沖地震」の報道ぶりをご紹介しておきましょう。「呉や大竹震度5弱」「伊予灘沖M6.2」の見出しの下に「中国電力島根原子力発電所は1、2号機とも運転は停止しており異常はなかった」とはじまります。伊予灘沖で地震が起こって200kmも離れた中国電力島根原発を心配する人もいないでしょう。心配するのは、広島から100km、震源地から40kmしか離れていない四国電力伊方原発の安否です。その伊方原発については四国電力に問い合わせたものと見え、「伊方原発の基準地震動(耐震設計の目安となる地震の揺れ)は570ガル。今回伊方1~3号機の震動は45~56ガルで異常はなかった」と報告しています。

 伊方原発も「運転は停止」しているのですから、島根原発同様「異常はなかった」で良さそうなものですが、こちらはわざわざ基準地震動に触れています。これは恐らく私の想像ですが、取材した中国新聞の記者に対して四国電力の広報が自ら触れたものだと思います。

 というのは原子力規制委員会の規制基準適合性審査で、審査会合は四国電力に対して、日本で最大活断層帯「中央構造線」のうち、紀伊半島の金剛山からスタートして別府湾にいたる6つの活断層グループが連動して動いた場合の地震動解析を求めており、四国電力側はこの要求に対して満足な回答をださないまま、基準地震動「570ガルで原子炉建屋の耐震性は保障されている」と主張しているからです。

▼文部科学省 地震調査研究推進本部webサイト
 「中央構造線断層帯(金剛山地東縁-伊予灘)」より

 570ガルは伊方原発の前面海域の4つの活断層帯(この4つの活断層帯は中央構造線の一部です)が動いた時の耐震設計基準値で、今まで四国電力は紀伊半島から別府湾にいたる6つの活断層グループが連動して動くなどと言った事態は想像だにしていません。「570ガルで大丈夫」だというのなら、6つの活断層グループが連動して動いた場合の解析結果を出してから、大丈夫というべきなのですが、そこは電力会社の非論理性、唯我独尊性が露骨にでています。この問題が決着していないので、従って伊方原発の「基準地震動」も決まりません。従って伊方原発の耐震性が現在の規制基準に適合しているかどうかの肝心な議論に入れず、このところずっと膠着状態です。(伊方原発審査が膠着状態なのはこの問題だけではありません)

 恐らくは四国電力広報部にはこの問題が念頭にあったのでしょう、わざわざ自分から基準地震動のことを持ち出し、中国新聞の取材に対して説明したものだと、私は想像します。つまりは基準地震動570ガルで大丈夫なのだということを中国新聞の読者に刷り込んで欲しかったのだと思います。

 ところが中国新聞の記者は、原子力規制委員会でのやりとりなどは恐らく何も知らないのだと思います。それどころか基準地震動の意味すら理解していないのだと思います。もしその意味がわかっていれば、「四国電力さん、冗談おっしゃっちゃぁいけません。570ガルの地震動が来れば、建物自体が持たなくなるかもしれないんですよ。伊方原発が稼働していなくても十分危険な揺れです。そんな震動と今回の揺れを比較するなどとバカなことをいっちゃいけません。逆に心配になるじゃぁありませんか?」と切り返した筈です。しかし記事からするとそんな様子もありません。ただいわれるままに四国電力の言い分を読者に取り次ぐだけです。

 さらにこの記事を書いた中国新聞の無知ぶりは「中国電力島根原子力発電所は1、2号機とも運転は停止しており」という記述に表れています。中国電力は「稼働を停止しており」と答えた筈です。なぜなら中国電力島根原発は現在ただ今も「運転中」なのですから。電力会社が「運転」と「稼働」の区別を間違えるはずがありません。

 たしかに島根原発の1号機・2号機は現在「稼働」を停止しています。言いかえれば発電を停止しています。しかし、核燃料は冷却し続けなければいけませんし、大量に発生する汚染水は毎日フィルターを通して濃度を薄めなくてはなりません。それでなければ法令で定める濃度以下にはならず、冷却した後の温水を日本海に放出できないのです。また現在島根原発のステータスは「点検中」です。点検中では作業員は決められた装置や器機の点検を行っています。またたとえば法令で定められた環境モニタリングは行わなければなりません。こうした行為全体を指して「運転中」という言葉を使います。島根原発は「運転中」なのです。「運転を停止」できるのは廃炉が決定した後のことです。

 この記事を書いた中国新聞の記者もそれをチェックする整理部も、担当編集幹部もこうした原発の基礎知識すら持っていないことは明白です。

 次に、山口大学金折教授の話に移りましょう。金折教授は「今回の伊予灘沖地震で、南海地震(正確には南海トラフ地震、と金折教授はいったはずですが)に一歩近づいたと見る」とのことで、これは教授の見解であり、様々な見解を科学者同士が提出しあって議論を闘わせることは科学的真実にアプローチする基本的手法ですので歓迎すべき見解といえましょう。また、そうであれば、広島市民としてはなおさら伊方原発の安全性が気になるところであり、この記事でも当然、伊方は大丈夫なのか、という問題にふれておかねばならないところですが、一切無視しています。

 南海トラフ巨大地震は「次は20年~30年の間の可能性が高い」という見方にはなんの新味もありません。というのは文部科学省の「地震調査研究推進本部」は「マグニチュード8~9の南海トラフ地震が発生する確率は今後30年間で70%」と明言しているのですから。(http://www.jishin.go.jp/main/yosokuchizu/kaiko/k_nankai.htm

 つまり伊方原発の重大事故発生の危険は、南海トラフ巨大地震という文脈からみれば、「発生の可能性」というより「蓋然性」の問題となるわけです。これはすでに衆知の事柄です。しかし中国新聞の記事は全くそれに触れません。第一四国電力、伊方原発が広島市からもっとも直近の原発だ、という事実を一言も書いていません。この事実を知らない広島市民はまだ数多いのです。伊方原発が広島からもっとも近い原発、という事実を知らなければ、伊予灘沖地震や南海トラフ巨大地震に関する記事もリアリティをもって読まれることはないでしょう。「ウチらになんの関係があるん?」という話になってしまいます。

 だとすればこの記事の締めくくりの記述には唖然とします。
 “「夜中に揺れた今回の経験を生かし、寝室に倒れやすいものを置かないなど、防災意識を高めるきっかけにして欲しい」と(金折教授は)呼びかけている。”

 すでに広島市消防局は、南海トラフ地震が発生した場合の、広島市の損害予測をそのパンフレット「広島市の地震被害想定(平成25年度)」で明らかにしています。

http://www.city.hiroshima.lg.jp/shobou/bousai/higaisouteih25.pdf

 このパンフレットによれば、マグニチュード9の南海トラフ巨大地震が起こった場合、広島市は震度6弱の地震に襲われる、としています。このパンフレットでは震源地想定が明確ではありませんでしたので広島市消防局予防課(担当課)に問い合わせてみると、広島県の想定同様、「南海トラフ」そのものが震源地とする想定だそうです。因みにトラフ(trough)とは深度6000mよりも浅い海底の細長い盆地を指す地形に形容される言葉で、日本語では「舟状海盆」というそうです。また舟状ではないものは、単に「海盆」、深さ6000mを越える場合は「海溝」というのだそうです。
(以上日本語ウィキペディア『トラフ (地形)』による)

 広島市消防局の被害想定によると、広島市の被害は全壊棟数1万8696棟、死者3907人、経済的被害額2兆3610億円ということです。(同5P「主な被害想定」を参照のこと)どちらにしても「寝室に倒れやすいものを置かない」どころの騒ぎではありません。

 しかし、この広島市消防局の被害想定にしても大きな問題を孕んでいます。というのは、南海トラフ地震で広島市が震度6弱の揺れなら、伊方原発の震度はどれくらいの想定をしているのか?という問題があるからです。この心配は当然でしょう。前出の「地震調査研究推進本部」の新しい想定では、伊方原発は「南海トラフ巨大地震」の震源域に入っているのですから。事と次第によっては、伊方原発の立地する地域が震源域となる可能性をしめしています。広島市が震度6弱なら「伊方原発」の震度はどれくらいと想定しているのか?という疑問は当然すぎるほど当然な質問でしょう。この質問に対する広島市消防局の回答は、またまた唖然とするものでした。「伊方原発の事故は全く想定していない」が回答です。

 しかし東日本大震災を引き金にして福島第一原発事故が発生したことを考えれば、「伊方原発の事故は全く想定していない」とする広島市消防局の回答はどうしても納得できません。
 「なぜ伊方原発事故を想定しないのか?伊方がフクシマ並でなくても、重大事故を起こせば、被害想定のシナリオは全く変わってくるのではないだろうか?伊方原発が事故を起こす場合、とそうでない場合を被害想定するべきではなかったか?少なくともこの被害想定は、伊方原発が事故を起こさない場合の想定です、という注意書きがあってもよかったんじゃないか?広島市は依然として“原発安全神話”にどっぷり浸かっている、といわれてもしょうがないじゃないですか?」という私のネチネチしたツッコミに対して、応対してくれた誠実そうな予防課の担当者は、答えに窮し「そういう見方がありうることは確かだ」と答えるのがやっとでした。

 中国新聞のこの記事は、広島市消防局に輪をかけて危機感に乏しく、さらに輪をかけて広島市民にとっての「四国電力伊方原発」の危険などは念頭にありません。だから南海トラフ巨大地震に備えて「寝室に倒れやすいものは置かないように」と読者に呼びかけることができるのです。フクシマ事故から3年もたつのに、中国新聞の時計は止まったままで、「原発安全神話」に頭のてっぺんまでどっぷり浸かっています。

 こんな新聞の記事を真に受けていては危険極まりないことは明白でしょう。みなさんの地方の新聞はいかがですか?