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第24回 広島2人デモ 11月30日 告知

第24回 広島2人デモ
11月30日(金)18:00~
広島平和公園 元安橋東詰出発
本通り~金座街往復

さよなら原発みんなで歩こう!みよし
11月30日(金)18時~
三次警察署隣天神公園集合

第23回 広島2人デモ 11月23日 報告

ファイル 58-1.jpgファイル 58-2.jpgファイル 58-3.jpgファイル 58-4.jpg

◆画像説明
1.第23回チラシ表面
2.第23回チラシ裏面
3.プラカード1・2(表裏)
4.プラカード3・4(表裏)

みなさま

毎度毎週お騒がせいたしております。
第23回広島2人デモのご報告をさせていただきます。

本日の参加者は6人でした。

哲野、網野、大歳さん、Kさん、
途中飛び入り参加の愛媛県出身のシュウドウさん
同じく飛び入り参加でしばらく一緒に歩かれた男性の方
の6人でした。

バタバタして着いたのは10分前でした。

すでに大歳さんとKさんが到着。
なにやらツイッター情報を確認している様子・・
確認していた情報はこれでした。

南相馬市経済復興研究チームによる文書7月14日作成(年度が入っていない)
http://www.city.minamisoma.lg.jp/mpsdata/web/5125/jirei.pdf

次に警察の方が登場。マスクをしていらっしゃる。
網野「あら。まだ風邪抜けませんか?」
警察「いや、もう抜けました、先週ですし。大丈夫です。マスクは念のためです」
よかった。先週は本当に顔色もお悪かったので心配していました。
今日は顔色がいいし、体調が戻られたようでほんとよかった。
指令書の確認をし、チラシを渡します。

▼本日のチラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20121123.pdf

網野「おととい、島根県が原発事故時の避難計画を出したんですが、これは昨年から取り組んでいたものらしいのです。
    原子力規制委員会の出した拡散シミュレーションと重ねてみるとこうなります。
    100キロで4.67mSv、50キロで約17mSv、30キロで100mSVです。
    10キロなんか500mSvです。
    もう、10キロ圏内の松江市の中心街の人は全部避難対象ですよね。
    大飯原発反対だけど、大飯と止めないと次の原発再稼働は止められませんから」
警察「島根はまだ入ってませんでしたよね?
    どこでしたっけ?忘れたけど関西の原発だったような」
網野「旧安全保安院時代、耐性検査したのは伊方でした。
    関電は高浜をやりたいとは言ってますけど原子力規制委員会の新基準が出来るまでは取りあえずストップでしょうね」

そんな感じで説明をして、しばらくしたら音楽が鳴ってスタートです。

今回のプラカード
※上の画像をご覧ください。

大歳さんのスピーチが始まりました。

====
 大飯原発の再稼働に反対してデモを行っていますが、本日は私たちの身の回りの水産資源と原発に関してスピーチしたいと思います。私たちの住むこ の広島の中で特に瀬戸内側に関して言うならば、再稼働して最も影響がある原発は中電管内の島根原発ではなく、むしろ四国電力管内の伊方原発のほう なのです。伊方原発は愛媛の佐田岬の付け根部分に位置し、広島市街地から直線距離で約100㎞しかありません。その間にあるのは海と点在する島々 だけです。伊方からこの広島にある比較的大きな島といえば、柳井沖にある平郡島と大畠のすぐ前にある周防大島です。また平郡島の西に上関半島と上 関原発予定地の長島があります。これらの地域はいずれも豊富な海産物が獲れ、同時に釣りのメッカでもあります。

 広島県は人口当たりの釣り人の数が全国一位らしいですが、広島県内でも特に西部に住む釣り人の皆様の多くは周防大島や上関まで足を延ばしてい らっしゃいます。この上関、平郡、周防大島から伊方原発までの距離はわずか30~50kmほどしかありません。事故が起これば、もうそのエリアだ けでなく瀬戸内の他のエリアの、魚もイカもエビもタコも牡蠣もサザエもアワビもワカメもヒジキも食べられなくなります。事故がなくとも加圧水型の 伊方の原子炉は大量のトリチウムという猛毒を排出します。さらに上関原発まで建てられては冗談ではありません。自民党の石破茂氏は安全性と地元の 理解が得られれば、上関原発建設を認める考えを明らかにしました。

 上関は全国有数のマアジの生息地であり、それを食べて大型化するアオリイカとハマチの生息地でもあります。マダイも有名です。上関原発の建設予 定地である田の浦と目の鼻の先である祝島は、山口、広島の釣り人から永く愛されてきた伝統のある美しい島です。その島に住む島民の方々の30年に 及ぶ中国電力との永い戦いがあるからこそ、今でも田ノ浦に原発が建てられず済んでいます。祝島は高級ヒジキでも有名です。

 その周辺の島々は、祝島も長島も平郡島も奇跡の海の名にふさわしい素晴らしい島々です。広島から柳井までは車で約一時間半から二時間、平郡島へ はフェリーで、祝島へは定期船で訪ねることができます。運が良ければ船内や海岸線からスナメリクジラの群れを発見することができます。電力会社と その裏にいる金融資本は、一体、何の権利があって、この海を汚そうとするのでしょう。

 今、原発があるのが他県であればいいという問題ではありません。私たちが口にする魚に県堺など存在しないのです。当然ですが、海を泳いでいる魚 は「ここは山口県だ」とか「ここは愛媛県だ」とか考えて回遊してはいません。大型の回遊魚にとっては50km、100kmぐらいの距離は海流に 乗ってしまえば、造作もなく移動できる距離なのです。餌さえあればどこまでも泳いでいくのが魚です。最近では呉と広島の間の国道31号線沿いか ら、盛んにジギングと呼ばれるハマチ釣りが行われていて、まれに80センチを超えるブリクラスまであがっています。すごいことです。それらのハマ チやブリも遠くから泳いできたのでしょう。遊泳力の弱いと思われがちなイカでさえ、例えばアオリイカなどは、山陰浜田で印をつけた新子が大きく なって長崎の五島列島付近で発見されています。アオリイカは広島湾内でも取れますが、やはり山口で生まれたかもしれない、愛媛で、あるいはもっと 遠くで生まれたのかもしれません。繰り返しますが魚やイカの回遊ルートに県堺など関係がありません。放射線物質は食物連鎖のなかで上位に行けば行 くほど、濃縮されていきます。もし伊方で事故が起これば、魚たちが放射性物質の運び屋になってしまいます。

 これ以上放射能をまき散らすことは、たとえそれがガレキの焼却であったとしてもやめるべきです。内部被爆は主に食べ物の摂取より生じます。低レ ベルの内部被爆がどのようなものであるかについてはお配りしているチラシを参考にしてください。複雑なメカニズムになっていて基準値以下なら大丈 夫ということは決してありません。厚生労働省が「基準値以下ならいくら食べても大丈夫」などというひどい嘘を盛んにばらまいていますが、この国の 役人たちはどうも国民を被爆させたいらしいです。どうかお気を付けください。

 本日は伊方と上関を中心にスピーチしておりますが、他にもこの中国電力管内の島根原発で事故が起こった場合、日本海から吹く風で中国山地が汚染 されてしまいます。農作物は当然のことながら、太田川水系と三次方面を流れる江の川水系が汚染されてしまいます。我々の飲む水が汚染されます。ア ユ、ヤマメ、イワナ、アマゴ、ゴギという貴重な淡水魚も汚染されてしまいます。

 電力不足と、火力燃料の高騰という大デマが崩れた今、原発再稼働、新規建設の目的が核利益共同体の純然たる金儲け以外にないということは誰も目 にも明らかです。選挙が近づいてまいりました。どうかこれをお聴きのみなさまは、テレビにも新聞にも惑わされず、ご自身で情報を集め、責任なるご 判断をされることを切に祈っております。これまでのスピーチは「広島二人デモ」とウェブ上で検索して頂けたら再確認することができます。ご参考し ていただければ幸いです。私からは以上です。どうもありがとうございました。

====

大歳さんに後で「いいスピーチでした。さすが大歳さんってかんじですね」というと
大歳「マニアックすぎませんか?」
網野「そんなことないです。私だってわかります。
    それにお父さんが釣好きな人って話きかされているから子どもだってわかる子いますよ。
    男性の人とか、居酒屋の人とかはじっとみて聞いてましたし」

地元の海の話で直接わたしたちの食べるものに関わるのです。
特に男性が振り返ったりして反応が顕著でした。

今日の商店街は祝日で人も多かったです。
先週はえびす講の飾りつけでしたが、今日は本通りもドリミネーション仕様で飾りつけがありました。
時折とまっては携帯を出して飾りを撮影している人も多かったです。
そんな人通りの多い中、雰囲気ぶち壊しの原発反対デモ。

プラカードはよく見てもらえました。
振り返ってみる人は多かったです。

いつもの商店街のオーナーの方が、私たちが近づくとこっちをじっと見て待っているのがわかりました。
哲野が顔なじみになったオーナーにプラカードを持ったまま、チラシを渡しに行きました。

本通り半ば近くまできて、大歳さんのスピーチが終わり、哲野にマイクがスイッチします。

哲野「お騒がせします。毎週金曜日恒例の広島2人デモです。
    大飯原発再稼働に抗議・反対して歩いています。
    先日、島根県は原発事故を想定して広域避難計画を発表しました。
    島根県人口71.7万人、そのうち松江市など30キロ以内の36.9万人を避難させるというものです。
    避難先は広島県、岡山県、鳥取県などです。
    ですが原子力規制委員会の放射能拡散シミュレーションをかさね合わせてみると
    100キロ圏で4.67ミリシーベルト
    50キロ圏で17ミリシーベルト
    30キロ圏内で100ミリシーベルト
    10キロ圏内で500ミリシーベルト
    という予想被曝線量が出されています。
    100キロというと、広島県で言えば安芸高田市、三次市、庄原市がすっぽり入ります。
    松江市などは約10キロしか離れておらず、500ミリシーベルトです。
    36.9万人の人々を避難させるなど全く現実的ではありません。
    本当に県民の健康と安全を考えるなら
    避難計画をつくるより、原発をやめるべきです。」

哲野のスピーチ中、振り返ると一緒に歩く若い男性が。
賛同して飛び入り参加のようです。
だまってずっとついて歩くので、ちょっと気持ち悪くなって哲野が警備の警察の方にめくばせしました。
そうすると警察もウンとうなづいて、す~っと近づいて何か話しかけました。
それから警察がすっと離れて、哲野にまた目配せしました。
おかしな人ではないようです。
哲野が話しかけました。
この方はずっと最後まで歩いてくださった、シュウドウさんです。
(シュウドウさん、ごめんなさい。)

ふと前を目にやると、チラシを手にした中年の男性がデモを追い抜いて行きます。
チラシをじっと見ながらすたすた歩いていましたが、そのうちぱぱっと4つ折りにしてすぐポッケに入れました。

折り返し近くに来て、哲野から網野にマイクが渡ります。
網野「お騒がせします。毎週金曜日恒例の広島2人デモです。
    大飯原発に反対して歩いています。
    私たちは、仕事仲間同士で、放射能や被曝の事を勉強していくうちに
    いてもたってもいられなくなり、こうして歩いている市民です。・・」

1.放射線被曝に安全量はない、これが世界中の科学者が一致している見解である
2.放射能汚染食品の基準値は「安全値」ではなく「被曝許容上限値」であること
3.また、その数値も「がまん値」であること
4.人によって、特に子どもなどは放射線リスクは高いこと
5.厚労省のリーフレットで「基準値以内の放射能汚染食品はいくら食べても安全」は嘘であること
6.ご自身で信頼できる情報を調べていただきたいということ

をスピーチして歩きました。
じっとたって見ている人もいます。
通り過ぎる時にプラカードを凝視して行く人も居ます。
それも年齢層が様々です。

折り返しを過ぎて金座街からまた哲野にマイクをスイッチして歩きました。
先ほどと同じ、島根の事をスピーチして歩きます。
やはり地元に近いせいでしょうか、反応があります。
遊びに出ていた若い男の子たちからもです。

アンデルセンの近くまで来て、また網野にマイクが渡ります。

網野は放射能汚染に安全量はないという話、
それから今度は大飯原発になぜ私たちが反対して歩いているかをスピーチしました。
網野「なぜ広島の私たちが、関電の大飯原発に反対して歩いてるのか。
    それは、大飯を止めないと、次々と原発が再稼働するからです。
    広島から一番近い原発は中国電力の島根原発ではありません。
    四国電力の伊方原子力発電所です。
    広島から直線で100キロしか離れていません。
    しかもこの原発は内海に向けて建っています。
    もし、伊方が事故をおこせば、瀬戸内海が汚れます。
    南風に乗ってわたしたちの広島市も汚染されます。
    広島の特産であるカキ養殖もダメになります。
    原発は通常でも放射能を出します。・・・」

この時に30歳半ばの男性の方が、チラシを取りに来てしばらく哲野としゃべりながら一緒に歩いてくれました。
その人がとつとつと
「原発止めてしまえば、話は簡単なんですけどね。原発、僕はいらないな。」と言っていました。

そして最後の元安橋までは放射能被曝に安全量はないというスピーチをして歩きました。
    
最後に「お騒がせしました。ありがとうございました」と言ったとたんに拍手が聞こえました。
ふと見るとカフェ・ポンテという元安橋にあるカフェ・レストランで
食事中の女性客約7名からの拍手でした。
(この店の前でちょうどデモが終わるのです)

客「大飯原発反対デモでしょ?」
網野「はい、そうです」
客「頑張ってください!」
網野「ありがとうございます!」

すかさず哲野がチラシを渡しに行きました。
哲野「チラシをまとめて渡しておいた!」

チラシは約50部用意していったのですが、手元に残ったのは7部。
チラシを今回結構取りに来てくれた人が多かったようです。

飛び入りで参加してくださったシュウドウさん含め、元安橋には5人が帰ってきていました。
警察の方にお礼を言ってお別れし恒例の立ち話になりました。
1時間かかりました。
今回シュウドウさんも立ち話に加わり話が進みました。

哲野「シュウドウさんはどうやってこのデモ知ったんですか?」
シュウドウ「いや、本通りを歩いていたら原発反対だっていうんで、私もついて歩こうと思ったんですよ。」
哲野「こうやって本通りを見てると、原発に反対だって言う人はけっこういると思うんですよ。
    でもデモをするのはちょっと勇気が要りますかね?」
シュウドウ「勇気が要りますよ。1人や2人で歩くっていうのは、勇気が要ると思います。」
哲野「毎週金曜日、あそこの橋のたもとから歩きはじめますので、また来てください」
シュウドウ「いや、僕、たぶん途中参加しますよ。」

11月25日はツイッターノーニュークス中国主催のデモがあります。
==========
反原発デモ@広島
なくせ原発!とめろ再稼働!放射能はいらない!
11月25日(日)広島平和公園 原爆ドーム前13:30集合 14:00出発
http://twitnonukescgk.blog.fc2.com/blog-entry-24.html
==========
多くの人が参加してデモをします。
このところ、広島市内も反原発を掲げてめっきりデモが増えました。
みてると、自民党や他の勢力が総選挙で原発を大きな争点にしないつもりのようです。
総選挙で反原発・脱原発を大きな争点にしなければなりません。
そのためには街頭に出て、多くの市民に訴えることが今、必要だと思います。

事務所に帰って哲野がボソリ。

哲野「手ごたえはあったけど、まだまだ、だね。
    いつもデモの前は気が重くなるんだけど終わってみたら来週もまたやらなきゃいけないな、と思う。」

以上ご報告いたします。

第23回 広島2人デモ 11月23日 告知

第23回 広島2人デモ
11月23日(金)18:00~
広島平和公園 元安橋東詰出発
本通り~金座街往復

告知文

みなさま

いくつかのメールにお知らせします。

毎度お騒がせします。
広島2人デモの告知です。
11月23日18時~広島市平和公園元安橋東詰め出発して歩きます。

チラシができましたので宜しければお目通しください。
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20121123.pdf

明日も(もう数時間で明けますが)しつこく歩いてまいります。

H様へのメール返信 強者の自由と一般市民の生存権

強者の自由と一般市民の生存権
~なぜ高い放射線量を避難対象地域の予想被曝線量とするのか~

H様

網野さま、哲野さま、ご苦労様です。
これまで意識せずに呼吸してきた私たちが、これからは改めて「生存権」を 主張せずには生きられなくなったということですね。
その一環に「広島2人デモ」が位置づいている、と改めて実感しました。
お互い生きものですから、呼吸するように自然体で、「生存権」を訴え続けていきましょう。

民主主義の価値体系の中でもっとも大切な価値は恐らく「生存権」(人間らしく生きる権利、という意味で解釈しております。欧米民主主義は一般に自由に最高価値を置いているように見受けられますが、これは強者の自由であることがいまや明白となったと思います)だろうと思います。人工電離放射線への被曝は「生存権」を根本から破壊するものだと解釈しております。その意味では原発・被曝問題は『強者の自由』と『一般市民の生存権』の抜き差しならない対決だろうと考えております。

ところで、1つ教えてください。
<先日、規制員会が発表した避難対象地域 のグラフは7日間で100ミリシーベルトの予想被曝線量でした>この被ばく線量の意味するところ が理解できません。

予想被曝線量(Expected Dose)です。実効線量(Effective Dose)で表現しています。単位はシーベルトになります。

7日間で100ミリシーベルトな ら、1時間でおよそ0.595ミリシーベルト、すなわち595マイクロシーベルトですね。1時間で0.12マイクロシーベ ルトなら、1年間でおよそ1ミリシーベルト、すなわち1000マイクロシーベルトになります。単純に1時間で595マイクロ シーベルトでは、1年間で5212ミリシーベルトですね。
もしも、この計算が誤りでないな ら、なぜこのように高い放射線量を避難対象地域の予想被曝線量とするでしょうか?もっともっと低い予想被曝線量を もって、避難対象地域としなければならないと考えるのですが・・・。

計算は誤りではありません。ご指摘の通り私たちを人間扱いしていない被曝量ということになります。私がこのところ勉強した理解の範囲でお答えしようと思います。

『国際核利益共同体』はチェルノブイリ事故の後始末に苦しみました。中でも最大の課題の一つは今後チェルノブイリ級の事故が起こった時、いかに対処するかの課題でした。特に苛酷事故が発生した時の住民避難基準です。チェルノブイリ事故の時、年間予想被曝線量5ミリシーベルトが実質的な避難基準でした。(当時の単位はまだレムです)

このため旧ソ連政府は厖大な避難コストを支出しました。チェルノブイリ事故の費用負担が旧ソ連崩壊を早めたという指摘がありますが、私はあたっていると考えています。もし苛酷事故が起これば莫大なコストを社会が負担しなければなりません。そんなに高くつくならすべての核施設をやめてしまえという声も起こりかねません。(実際にイタリアは事故の翌年6基の原子炉をすべて閉鎖し1990年から廃炉処理に入りました)それでなくても原子炉建設に大きなブレーキがかかります。(この時、ギリシャ、デンマーク、ポルトガル、ノルウエイ、ルクセンブルグといった国内に主要な核産業を持たない国が商業用原子炉との絶縁宣言をしました。オーストリアは1991年だったと思いますが、憲法の中にすべての核施設・器機の所有・利用の禁止を書き込みました)

大量避難に伴うダメージを『国際核利益共同体』はいかに軽減するか?

彼らが考えた解決策は「避難基準の予想被曝線量」を大幅に上げることでした。このため彼らの放射線”防護”体系の中に新たに『緊急時被曝』の状況を考え出しました。これは苛酷事故が発生したとき公衆の被曝線量を新たに設けようという意図を」持つものでした。これまでの『被曝状況』は『計画被曝状況』ということになりました。『計画被曝』では依然として公衆の被曝線量は年間1ミリシーベルトを上限としました。『緊急時被曝』と『計画被曝』の中間の『状況』が必要です。というのはチェルノブイリ事故の例を見てもわかるようにいったん苛酷事故が起きると、放出が止まっても環境の放射線濃度は数十年間、『計画被曝状況』までに下がらないからです。

これを『現存時被曝状況』としました。

こうした状況設定とそれに対応する被曝上限値が体系的に打ち出されるのがICRP2007年勧告(Pub.103)です。この2007年勧告は3つの状況に対応して被曝範囲の『参考レベル』(Referrence Level)も設定しました。公衆被曝線量だけを見てみますと(この時事故従事者被曝線量も勧告しています)

緊急時被曝 20ミリシーベルトから100ミリシーベルト(急性または年間)
残存時被曝 1ミリシーベルトから20ミリシーベルト(年間)
計画時被曝 1ミリシーベルト以下(年間)

となります。つまり緊急時被曝という状況を新たに考え出すことによって実質公衆の被曝線量を一挙に100ミリシーベルトにまでひきあげたわけです。(このいきさつについてはアラっぽくはありますが、次の記事で触れております)(『緊急時被ばく状況における人々に対する防護のための委員会勧告の適用』http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/genpatsu/icrp/01.html

ところで国際核利益共同体の中で、ICRPの役割は被曝のリスクモデルの作成や勧告に限られています。この勧告に基づいて実際の安全基準(Safety Standard)を決定するのは国際的な核施設推進エンジンであり核兵器の不拡散体制(それは核兵器5大国の核兵器独占を保障する体制です)の番犬(Watch Dog)であるIAEAの役割になります。こうして同じ2007年IAEAはICRP2007年勧告に基づく安全基準を打ち出します。それが『Arrangement for Preparedness for Nuclear or Radiological Emergecy』と題する『GS.G.2.1』です。
http://www-pub.iaea.org/mtcd/publications/pdf/pub1265_web.pdf

ここではさまざま具体的な緊急被曝状況を設定しながら、チェルノブイリ事故並の事故の場合、100ミリシーベルト以上の被曝が予想される場合(1年間または最初の7日間)、住民を防護の立場から避難させなければならない、という新たな基準が設けられました。これは100ミリに達しなければ避難させなくていいということを意味します。「フクシマ事故」のケースでこの基準は初めて適用されました。しかし民主党政権は100ミリシーベルト以上をそのまま適用することをためらいました。そしてICRP勧告の参考レベル20~100ミリシーベルトの最小値20ミリシーベルト以上を実質住民避難の予測被曝線量としました。「小学校の校庭でも20ミリシーベルトまでなら学童に使わせてもいい」という文部科学省の指針が打ち出されて国際的な批判を浴びましたが、文部科学省はICRPの2007年勧告を主として理論的根拠として使いました。

2012年9月に新たに発足した日本の原子力規制委員会は現在のIAEAの原発運営安全基準に忠実にもとづいて日本の原発を再稼働する使命を帯びて発足したものですが、その中に避難基準に基づいた原子力災害防災計画作成を義務づけていますので、基づく『避難対象地域』を想定せねばなりません。それが先日の避難地域シミュレーションだったわけですが、その際使用した避難基準がIAEA『GS.G.2.1』です。そして避難対象地域は7日間の予想被曝線量100ミリシーベルトとなったわけです。

ところでここまで長々と書いておきながら、私はHさんの質問に全く答えていません。Hさんの質問は、「なぜこのように高い放射線量を避難対象地域の予想被曝線量とするのでしょうか?もっともっと低い予想被曝線量をもって、 避難対象地域としなければならないと考えるのですが・・・。」というものでした。

この質問に対する私の答えは、「国際核利益共同体」にとって核施設を運営しそこから莫大な利益をえることの前には、私たちの命や健康、生活の質(いわば生存権)は鴻毛よりも軽いから、と答える他はありません。『ナイロビの蜂』は決して映画やノンフィクション読み物の世界ではなく、現実に私たちの目の前に白昼公然堂々と行われている犯罪だということでもあります。

お答えになっているでしょうか?

<ナイロビの蜂に関してはブログ「夜明け前」様を引用リンク
http://kupppy.s57.xrea.com/cancheer/archives/000395.html

哲野

このメールはコンテンツにもアップしました。
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/mail/201211-1.html

伊方原発再稼働反対デモ

ファイル 50-1.jpgファイル 50-2.jpgファイル 50-3.jpgファイル 50-4.jpg

◆画像説明
11月17日伊方デモチラシ表
11月17日伊方デモチラシ裏

◆チラシA4版
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20121117-A4.pdf
◆チラシA3版
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20121117_A3.pdf

伊方原発の再稼働を止めよう!デモ
◆日時:11月17日(土曜日)15:00~16:00
◆場所:広島平和公園元安橋東詰~本通り~金座街 往復
主催:伊方原発の再稼働を止めよう!市民ネットワーク・広島

広島市民にはまだまだ中国電力の島根原発や上関原発のほうが
なじみがあり、伊方原発の存在が知られておりません。

島根原発よりもっと近い、ということもあまり知られていません。

広島市民に伊方の存在を広報するデモです。

大飯の次に伊方が有力候補であることも。

大飯原発問題も伊方原発も
私たち広島市民は決して他人事ではありません。

広島2人デモも応援します。

=================
みなさま
(いくつかのメールにお送りいたします)

先日につづいて失礼いたします。

今日は伊方原発の再稼働を許さない市民ネットワーク・広島主催の
伊方原発の再稼働を止めよう!の広報デモが15時からありました。

主催者の原田様からご報告があると思いますが
参加した私からもご報告をいたします。

▽チラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20121117_A3.pdf

今日の参加者は4人でした。

原田さん、哲野、網野、ツイッターを見て来てくれた、2人デモによく参加してくれるKさんです。

街はちょうど雨が上がりました。
土曜なので人も多かったです。
明日からえびす講なので屋台の準備も進んでいました。

私が一番最後に遅れていったのですが
集合場所には
原田さん、Kさん、哲野、警察の方、そして秋山さんという脱原発カメラマンが来ていました。

秋山さんやKさんがちょうどここに来る前に見かけたそうですが
幸福実現党が原発推進デモをしていたそうです。
平和大通りを歩いたということですが、詳しい事はわかりません。
それで警備の警官が一人だったのか、とは納得しました。

実は昨晩、広島2人デモのあと、原田さんと合流し
原子力規制委員会の放射線拡散シミュレーションについて延々議論をしました。
「この数字は、どういう意味の数字か」「これは10のマイナス6乗だ」とか計算をしたりしながらグラフとにらめっこしていました。
「対数の勉強をしなおさないといかんなぁ」と言いつつあるていどチラシの内容を決めて別れた後
哲野がグーグルで計算を入れると乗数計算をしてくれることを発見。

それで計算するとフクシマ並みの事故が伊方で起きると原子力規制委員会は
広島は5ミリシーベルト以上(7日間の実効線量)の放射能汚染をする、というシミュレーションをしていることがわかりました。
<原子力規制委員会第7回の資料>
http://www.nsr.go.jp/committee/kisei/20121024.html

それで急遽、この内容をチラシに反映することにしました。

▽今日のプラカード
使い回しもありますが・・・
1-2
▽プラカード3・4
3

15時になり、デモ開始です。

原田さんがスピーチして歩きます。
「広島から一番近い原発は四国電力の伊方原発です。
 広島から直線で100キロ。瀬戸内海を挟んで佐田岬半島にあります。
 先月の原子力規制委員会が、フクシマ事故並みの過酷事故が起きたらというシミュレーションを発表しました。
 それによると、広島は5ミリシーベルト以上の被曝線量になります。
 チェルノブイリ事故の基準で言えば避難対象のレベルです。」

結構注目を浴びます。

本通り中ほどで網野にマイクが渡りました。
「今、大手スーパーなどに、厚生労働省や食品安全委員会が作成したパンフレットが置かれています。
 食べ物と放射性物質のはなし」というパンフレットです。
 その最初に出された厚労省が作成したパンフレットに
 「基準値以下の食品はずっと食べ続けても安全です」と書かれています。
 これは嘘です。
 基準値は安全値ではありません。被曝許容上限値です。
 原発推進の科学者、ICRPの科学者も含め、世界中の科学者は
 「放射線被曝に安全量はない」と一致した見解を出しています。
 絶対に「安全」ではないのです。
 人それぞれに体質もあり、放射能に弱い人もいます。
 また、子どもは大人にくらべ100倍から1000倍もリスクが違うと言われています。
 絶対に安全ではないのです。
 みなさん、『放射線被曝に安全量はない』、これが世界の科学者の共通見解だということを覚えておいてください。」

チラシは今回、あまりとる人も居ないだろうと思い30部ほど用意していきましたが
折り返しに来ると
Kさん「チラシ、もうありませんよ?」

聞けば取りに来る人が多かったそうです。

哲野にマイクが渡ります。
「広島から一番近い原発は四国電力の伊方原発です。
 広島から直線で100キロです。
 福山市に原発があるようなものです。」と連呼しました。

そうです、これを理解してもらわないといけません。
広島の市民はたった100キロのところに原発があることを知らない人が多いのです。

街は遊びモードなのに
本当によくプラカードをみてくれましたしスピーチを聞いてくれたと思います。
「うるさいなぁ迷惑だなぁ」という感触はありません。
昨日の今日、というのもありますが商店街で働いている人の中には
デモが近づくと、よけてくれる人も出てきました。

哲野によると商店街で働いている人で、明らかにチラシを持ってくるのを待っている人が現れました。
(というのも、チラシを取りに店から出られないからです。)
今日は3人しか渡せなかったようですが、
「読んでいただけますか?」と言って渡すと
「読ませていただきます」と言って3人とも受け取ってくださったとのことです。
3人とも年配のご婦人でした。

デモが終わって警察にお礼を言って・・
警察「チラシ1枚もらえませんか?」
原田さんが自分の資料用に持っていたグシャグシャの1枚しか残っていません。
それをお渡しすると丁寧に伸ばして折りたたんで持って帰っていかれました。

その後立ち話になりました。

秋山里央さん(りおと読むんだそうです。)に
哲野「珍しいお名前ですね。どなたがお付けになったんですか?」
秋山「母です。ブラジルのリオデジャネイロにいたもので・・・」

秋山「こういう脱原発デモを300件近く撮影しています」

秋山さんのwebサイト
http://www.youtube.com/user/rioakiyama

哲野「なぜ?」
秋山「大手マスコミが全く報道しませんから。これは僕がやろうと思ってはじめたんです。
    それと政府が子どもたちの健康のことを全く考慮していない。
    これを知って愕然としたことも大きな動機です。
    昨日は川崎で今から宮崎に行きます」
哲野「お金がかかるでしょう」
秋山「今年もう200万くらい使いました。
    みなさんがカンパしてくれてます。
    機材も結構かかりますので・・」
哲野「そうですよねえ。市民グル―プが財政基盤をしっかりしてあなたのような人に
    経費だけでも負担ができるような仕組みを早くつくらなきゃいけませんね。
    ヨーロッパの市民グループと比べると、決定的に弱いところですね。
    ひとつ質問があるんですけど、
    それだけいろんな運動をみておられたら
    市民運動についてご意見をお持ちだと思いますけど
    肯定的に見るんじゃなくて、批判的に見た時、どんなご意見をお持ちですか?
    ぜひとも聞いてみたい。我々の運動の改善のために。」
秋山「あります!いっぱいあります!(網野:こういう話がしたかったんだろうなぁ・・目が嬉しそうでした)
    第一に、団体旗を持ち込むのは駄目です。若者が引きます。」
哲野「?」
秋山「市民運動の中に、政党や労働組合などの組織が入っていく、という意味です。」
哲野「政党や組織の宣伝や拡大に利用されるということを警戒するんでしょうかね」
秋山「私は若いので知らないのですが、政党や組織のデモというと警察との対決イメージがある。それで引いていくんだと思います。
    2番目に一つのデモで色んなことを言うのはあまり支持を得られていない。
    反原発デモなのか、オスプレイ反対デモなのか、TPP反対デモなのか
    それははっきり狙いを絞って運動すべきでしょう。
    一般市民の人たちと市民運動参加をしている人たち、間には大きな認識の落差があります。
    反対、反対と言ったってまず、何に反対なのかわからない。
    一般市民の人たちはまだまだ関心が薄い。
    その薄い関心に訴えていくためには狙いを絞ったデモや運動じゃないといけないと思うんですが・・・
    僕は本業はCMディレクターなんですけど
    CMを作るときでも狙いをキリキリに絞って訴えて行きますよね。
    訴求をしていく、そして理解を求めていく、この姿勢が足りないのかなとも思います。」
哲野「要するに市民運動をする側が、内部自己完結的に終わるのか、
    それとも一般市民に積極的に訴えていこうとするのか、そこが分かれ目ですよね」
秋山「ええ、そういうことになりますね。要は誰に向かって訴えていくかという点ですね。
    その意味で今日のデモは私には非常に新鮮でした。」
哲野「?」
秋山「伊方原発の危険性について、的を絞ったデモでしたから。
    あまり見たことのないタイプのデモですね。」
原田「厳密には私たちのデモはデモじゃないんですよね。
    街頭広報宣伝なんですよね。
    最初に町に出た時に気が付きました。
    伊方原発再稼働反対と言っても、誰も伊方原発を知らない。
    ぽかーんとしている。
    それでまず伊方原発とはなにかを周知広報しないと話にならない。
    それで今の形になったわけです。それでアナウンスも伊方の事を知っていただくための市民広報宣伝隊です、と言っています。
    広島から一番近い原発は四国電力の伊方原発なんだ、と。わずか100キロしか離れてないんだと。
    ここは通常運転でも大量の放射能を瀬戸内海に放出している。
    フクシマ並みの事故でも起こせば、5ミリシーベルト以上の被曝を広島市民がしてしまう。
    このことをしっかりわかったうえで、反対だの、再稼働だのと話をしないと永久のすれ違いになってしまう。
    これに気が付いたわけですよ。
哲野「大間原発にも行かれたんでしょ?現地の反応はどうですか?」
秋山「ええ、行きました。大間っていっても小さい漁村ですから、反応はないですよね。
    漁民の方の中には大間原発賛成の人もいます。」
哲野「しかしそこで捕れた魚は放射能に汚染されてるんですよ?」
秋山「そんなことは知らないんですよ。原発はクリーンエネルギーだと思っている。対岸の函館は大反対なんですよ。」
哲野「あそこは市長みずから大反対ですよね。」
Kさん「函館市は原発反対に予算をつけたんですよ。2500万円(訴訟準備費)」
哲野「それは知らなかったなぁ。」
網野「原発に対する認識、それがいかに危険か、放射能がいかに危険か
    この認識を一般市民共有の認識にしないとヨーロッパのようにフクシマ事故のあと
    すぐに原発停止、段階的解消、という風に政府が動かないですよね。
    市民のパワーが違うということでしょう。ヨーロッパと比べて。」

色々お話しましたが、長くなるのでこのへんで。

以上ご報告でした。