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委員会は、ローレンス氏が準備した声明原稿を熟考した。原爆実験の時に、この種のタイプの、アラモゴード空軍基地司令官からなされるかもしれない声明という観点から見て、 A方式及びB方式の内容に全体として合意する。C方式及びD方式は、新兵器の実験であることに触れているため、望ましくないと考慮された。
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ローレンス氏は、ニューヨーク・タイムスの科学記者、ウイリアム・L・ローレンスのこと。この時期「マンハッタン計画」と、恐らく広報分野全般であろうが、秘密契約を結んでいた。ここでいう公式声明は、アラモゴードでも最初の核実験が失敗した場合の陸軍発表原稿のこと。この時はアラモゴード戦域の司令官が簡単な発表をすることになっていた。これで見るとローレンスは4種類の原稿を書かされたことになる。) |
実験が成功だった場合に、大統領によってなされる声明の提案内容に関しての委員会の一致見解は、大統領は、ラジオを通じての、あるいは可能的に議会に対しての、短い発表をすべきであり、兵器(原爆のこと)の一般的性格、軍事的あるいは国際的な意味に関する一般的性格に限る、というものである。
この(短い大統領)声明は、計画事業の歴史、この計画事業の技術的段階に関する議論、イギリスとの協力関係を幾分示唆する内容、(原爆の)適切な管理を担保するために必要な法制化を採用する意図、などを含んだ、さらに完全な公式声明で後追いすべきである。
これら当初の声明に続いて、さらにこの計画の詳細にわたるその他の声明を発する件については、熟慮される。
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結局、アラモゴードでの最初の原爆実験の後、この大統領声明は発表されなかった。それ自体、「日本に対する事前の警告」になるからだ、と私は判断している。アラモゴード付近の地域新聞に向けて小さな陸軍省声明が発表されたと読んだことがあるが、私はこの声明、あるいは地域新聞の記事を確認していない。) |
ページ氏とローレンス氏が、この種の声明の性格が、実験と「実際の使用」(actual use)の結果に、極めて大きく依存していることを念頭に置きつつ、示された一般的な表現と共に原稿に再度取り組むことで、(委員会)は合意した。またこの発表がなされる時に存在する国際的な状況に鑑み、後での変更が生ずるかも知れない、ことも合意した。
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極めて微妙な表現である。問題はここでいう大統領声明は、「実験」についてのみなのか、と言う点である。しかしここでは「実際の使用」と明確に云っている。つまりこれは「対日使用」のことだ。だからいつの間にか、「実験後」と「実際の使用後」に行われる大統領声明がセットになって議論されていることがわかる。つまりこの時点では「対日使用」は、すでに決定事項だったのだ。とすれば、「対日使用」を決定したのはいつか?そして誰か?そしてその政策意図は何か?) |
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