(2009.3.24)
<参考資料> 世界の非核兵器地帯成立の流れ


各種公表文書を総合して作成した。一般的でない場合は引用出典を添付した。
署名とは当該国政府が署名することであり、批准とは当該国国民議会が承認することである。例外なしに各国における批准を発効要件としている。
一般的な参考資料は次のサイト。
<http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaku/n2zone/sakusei.html>
<http://www.jaea.go.jp/04/np/archive/nfz/>
<http://www.pcf.city.hiroshima.jp/Peace/J/pNuclear7_1.html>


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日本語名称
英文名称
南極条約(註1)
Antarctic Treaty System
署名年月 1959年12月
発効年月 1961年6月
参加加盟国 アルゼンティン、オーストラリア、ベルギー、チリ、フランス、日本、ニュージーランド、ノルウェー、南アフリカ連邦、ロシア(当時はソ連)イギリス、アメリカの12カ国が原参加国。現在は46カ国(2006年12月現在)
署名・批准
核兵器保有国
米・ソ・英・中・仏のNPT核保有国が全て署名・批准
その他特記事項 NPTの枠外での核兵器保有国はインドのみ。

日本語名称
英文名称
ラテンアメリカ及びカリブ海における核兵器禁止に関する条約
Treaty for the Prohibition of Nuclear Weapons in Latin America and the Caribbean
通称 トラテロルコ条約
署名年月 1967年2月
発効年月 1968年4月
参加加盟国 ボリビア、エクアドル、メキシコ、アルゼンチン、ブラジル、チリ、パナマ、ニカラグアなど14カ国が原参加国。1994年アルゼンチン、チリ、ブラジルが批准。2002年キューバが批准。これで当該地域の独立国33カ国がすべて批准。
署名・批准
核兵器保有国
米・ソ・英・中・仏のNPT核保有国が全て、追加議定書2に署名・批准。追加議定書2は核兵器保有国が消極的安全保障を約束することがその内容。
その他特記事項 人が住む地域で成立した初めての非核兵器地帯条約。1962年のキューバ危機で恐怖したことがきっかけとなった。核兵器の実験・使用・製造・生産・取得・貯蔵・配備等の禁止を主な内容とする。なお核兵器の通過については規定がない。追加議定書1と2があり、議定書2は地域内植民地の宗主国に対して開放されている。イギリス・アメリカ・オランダが批准している。議定書2は核兵器保有国に開放し消極的安全保障を求めている。条約締結地のメキシコ外務省前の広場にちなんでトラテロルコ条約とも呼ばれる(註2)

日本語名称
英文名称
南太平洋非核地帯条約
South Pacific Nuclear Free Zone Treaty
通称 ラロトンガ条約
署名年月 1985年8月
発効年月 1986年12月
参加加盟国 オーストラリア、クック諸島、フィジー、キルバツ、ニュージーランド、ニウエ、サモア、ツバル。1987年にナウル、1989年にパプア・ニューギニア、1996年にバヌアツ、2000年にトンガがそれぞれ批准した。
署名・批准
核兵器保有国
ロシア、イギリス、フランスが批准。1987年に中国が批准。アメリカは1986年に署名はしたものの、未だに批准していない。
その他特記事項 核兵器保有国の極めて残虐な核実験がきっかけとなった。特にアメリカとフランスの核実験が問題しされた。ためにこの地域に多くの被曝者が発生している。核兵器の実験・使用・製造・生産・取得・貯蔵・配備等の禁止を主な内容としているが、各国の判断で核兵器の通過も禁止している。なおこの条約は「核爆発の平和利用」も禁止しているため、「非核兵器条約」ではなく「非核条約」である。なお、地域内のミクロネシア、マーシャル諸島、パラオはアメリカと核兵器搭載潜水艦の寄港・停泊を認めたコンパクトに調印しているため、この条約からは除外されている。調印が行われたクック諸島の地名にちなんでラロトンガ条約とも呼ばれる。(註3)

日本語名称
英文名称
東南アジア非核兵器地帯条約
Southeast Asian Nuclear-Weapon-Free Zone Treaty
通称 バンコク条約
署名年月 1995年12月
発効年月 1997年3月
参加加盟国 ブルネイ、ミャンマー、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、インドネシア、タイ、シンガポール。2001年7月フィリピンが批准して、ASEAN10カ国が全て揃った。
署名・批准
核兵器保有国
核兵器保有国はいずれも批准していない。
その他特記事項 ベトナム戦争、カンボジア内戦などでアメリカが真剣に核兵器の域内使用を検討したことから、域内市民の非核兵器地帯構想への関心が高まった。核兵器に関する取り扱いはそれまでの非核兵器地帯条約と変わらないが、条約対象地域を各国の大陸棚および排他的経済水域にまで拡大していることから、核兵器保有国にとっては核兵器世界戦略の大きな障害になることから、核兵器保有国はいずれも「消極的安全保障」を与える議定書を承認・批准していない。調印地にちなんでバンコク条約と呼ばれる。(註4)

日本語名称
英文名称
アフリカ非核兵器地帯条約
African Nuclear-Weapons-Free Zone Treaty
通称 ペリンダバ条約
署名年月 1996年
発効年月 2009年7月15日
参加加盟国 アフリカ54カ国が署名。発効要件は28カ国の批准。2009年7月15日にブルンジが批准し条約は即日発効した。モロッコが未批准。
署名・批准
核兵器保有国
関連議定書は3つあり、イギリス、フランス、中国はいずれも批准を終えている。
その他特記事項 域内における核爆発装置の研究・開発・製造・貯蔵・所有、核廃棄物投棄の全面禁止を宣言している。 冷戦下またフランスのサハラ砂漠での核実験などがきっかけ。1964年カイロで行われたアフリカ統一機構の総会で最初の構想が打ち出された。最大の障害だった南アフリカが1991年核兵器の実戦配備を解消、非核兵器宣言を行ってNPTに加盟したことから、具体化した。南アフリカ共和国の西プレトリアにある核開発施設の地にちなんでペリンダバ条約と呼ばれることがある。(註5)

日本語名称
英文名称
モンゴル非核兵器地位
Mongolian Nuclear-Weapons-Free Status
署名年月 1992年
発効年月 1998年12月
参加加盟国 モンゴル1カ国のみ。
署名・批准
核兵器保有国
国連で承認
その他特記事項 1992年モンゴル大統領オチルバトはモンゴル1カ国による「非核兵器地帯」を国連総会の場で宣言した。この年最後のロシア駐留軍が撤退したためである。1カ国の「非核兵器地帯」は初めてのケースであったが、隣国のロシア、中国からも好感をもって迎えられた。1998年12月国連総会はこのモンゴル1カ国の非核兵器地帯を承認した。(註6)

日本語名称
英文名称
中央アジア非核兵器地帯条約
Central Asian Nuclear Weapon Free Zone
通称 セメイ条約
署名年月 2006年9月
発効年月 2009年3月
参加加盟国 ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン
署名・批准
核兵器保有国
ロシア・中国は承認。アメリカ、イギリス、フランスは今も反対。
その他特記事項 北半球で初めての非核兵器地帯条約。

(1) かつての核保有地帯に非核地帯を設ける初の条約
(2) 中央アジア5カ国による初の地域集団安全保障協力条約
(3) 発効後18カ月内に各締約国が国際原子力機関(IAEA)との補足協定に調印し、条約の定める責任の全面的な履行を確保することを初めて規定

という3つの特徴がある。昨年までに全ての国が批准を狩猟しており、調印から18ヶ月目にIAEAとの協定にそれぞれ調印し、発効した。調印地のセメイ(旧名セミパラチンスク)にちなんで、セメイ条約と呼ばれる。(註7)



註1 南極条約は、南極の平和利用が目的。しかしその中に、『第五条 1 南極地域におけるすべての核の爆発及び放射性廃棄物の同地域における処分は、禁止する。2 核の爆発及び放射性廃棄物の処分を含む核エネルギーの利用に関する国際協定が、第九条に定める会合に代表者を参加させる権利を有するすべての締約国を当事国として締結される場合には、その協定に基づいて定められる規則は、南極地域に適用する。』との規定がある。またその後の非核兵器地帯条約の形成に大きな影響を与えた。ために世界最初の非核兵器地帯条約として掲げた。出典は以下。
<http://ja.wikipedia.org/wiki/南極条約>
<http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/documents/texts/mt/19591201.T1J.html>
註2 資料の出典は以下。
<http://ja.wikipedia.org/wiki/トラテロルコ条約>
<http://www.opanal.org/opanal/Tlatelolco/Tlatelolco-i.htm>
<http://en.wikipedia.org/wiki/Treaty_of_Tlatelolco>
<http://www.opanal.org/index-i.html>
註3 資料の出典は以下。
<http://en.wikipedia.org/wiki/Treaty_of_Rarotonga>
<http://www.fas.org/nuke/control/spnfz/index.html>
<http://www.nti.org/e_research/official_docs/inventory/pdfs/spnfz.pdf>
<http://www.inaco.co.jp/isaac/back/022-8/022-8.htm>
註4 資料の出典は以下。
<http://en.wikipedia.org/wiki/Southeast_Asian_Nuclear-Weapon-Free_Zone_Treaty>
<http://www.nti.org/f_wmd411/bangkok.html>
<http://disarmament.un.org/TreatyStatus.nsf/Bangkok%
20Treaty%20(in%20alphabetical%20order)?OpenView>

<http://citrus.c.u-tokyo.ac.jp/projects/ASEAN/ASEAN/AS19951215J.htm>
<http://www.inaco.co.jp/isaac/back/022-8/022-8.htm>
註5 資料の出典は以下。
<http://pol.cside4.jp/gaikou/52.html>
<http://www.armscontrol.org/documents/pelindaba?print>
<http://en.wikipedia.org/wiki/Pelindaba>
<http://en.wikipedia.org/wiki/Treaty_of_Pelindaba>
註6 資料の出典は以下。
<http://en.wikipedia.org/wiki/Mongolian_NWF_Status>
<http://www.un.int/mongolia/Sub_Doc_2/Statement%20of%20the%20
Mongolian%20representative%20at%20the%202nd%20preparatory%20session.htm>
註7 資料の出典は以下。
<http://en.wikipedia.org/wiki/Central_Asian_Nuclear_Weapon_Free_Zone>
<http://j.peopledaily.com.cn/94474/6619882.html>
<http://www.nti.org/e_research/official_docs/inventory/pdfs/canwz.pdf>
<http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/kono/wold_atomicbomb.htm>