(原文:http://www.trumanlibrary.org/whistlestop/study_collections/bomb/small/mb5-4.gif

トルーマン日記 1945年7月25日



  今日は11時から会談だ。スターリン、チャーチルして合衆国大統領。
しかしその前に本日最も重要な打合せがある。マウントバッテン卿・マーシャル将軍との会合だ。世界の歴史上最も恐ろしい爆弾を発見した。伝説のノアの方舟のあとユーフラテス谷時代に予言された「破壊の火」なのかも知れない。ともかく、われわれは原子の同位性元素崩壊を招来する方法を見つけたのだ。
ニューメキシコ砂漠での実験は、ごく控えめに云っても驚くべきものだ。13ポンドもの爆発物が、深さ600フィート、直径1200フィートのクレーターを出現させた。50フィートの高さの鉄塔を半マイルほど吹っ飛ばし、1万ヤード先の人間もやっつける。爆発は200マイル先からも見え、40マイル以上も離れた所でもその音が聞こえた。

マウントバッテン卿はイギリスの王族。興味がおありの方は次を参照のこと。(http://en.wikipedia.org/wiki/Louis_Mountbatten,_1st_Earl_Mountbatten_of_Burma)
ユーフラテス谷時代はthe Euphrates Valley Era。
トルーマンはなかなか教養豊かと見えて、調べたがついに分からなかった。ただユーフラテス谷は中学校の歴史をまじめに勉強した人ならすぐに分かるように、メソポタミア文明の発祥地である
ヤード・ポンド法の換算は省略。

  この兵器は今から8月10日の間に日本に対して使う予定になっている。
私は陸軍省長官のスティムソン氏に、使用に際しては軍事目標物、兵隊や水兵などを目標とし、女性や子どもを目標としないようにと言っておいた。
いかに日本が野蛮、冷酷、無慈悲かつ狂信的とはいえ、世界の人々の幸福を推進するリーダーたるわれわれが、この恐るべき爆弾を日本の古都や新都に対して落とすわけにはいかないのだ。この点で私とスティムソンは完全に一致している。目標は純粋に軍事物に限られる。

  その上、警告宣言を発行し、降伏を勧め、生命を無駄にしないようにと呼びかけるつもりだ。彼らがそれでも降伏しないことは分かっている。しかしチャンスは与えるつもりだ。ヒトラーの連中やスターリンの連中がこの原子爆弾を発見しなかったことは世界にとって間違いなくいいことだ。原子爆弾はかつて発見された最も恐ろしいものとも見える。しかし、最も有効に使うこともできるのだ。