一、 |
勤労を伸長し国民皆労の美風を作興し以て国家興隆の根義を確立せんがため、挙国勤労興国運動を振興助長し、これを指導統制し、又労働力の計画的配置と合理的活用に資するため、賦役及び勤労奉仕の統制を強化、民生部は各部及び関係機関の協力によりその事務を管掌し、開拓地及び開拓団に関する勤労奉仕は現行の通り開拓総局においてこれを管掌す。
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ここで国民、と呼んでいるが、戸籍法をもたず、「満州国国民」すら確定しえない国に「国民」など存在しようがない。従ってここはあくまで擬制としての国民である。実態は華北からの出稼ぎ労働者であった。) |
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二、 |
労働力を伝統的北支(*華北)依存の度を軽減せざるを得ざる、客観的の情勢にあるに鑑み、国内労務動員を強化し労力の配置を規正すると共に労働者の保護及びその家族の援護を確保し、以て国内労力自給体制を確立しこの間行政の滲透を図り、且つ女子労働力を活用するものとす。 |
三、 |
労需の適正なる配給は労務管理及び移動防止の根本なるのみならず賃金統制の徹底及び国内労働者募集円滑化の前提なることを確認しその配給を確保す。
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四、 |
労働統制は自治的統制より行政的統制に転換し、募集統制より雇傭統制にまで高度化せしめ、殊に商業部門における使用人の数、性及び年齢等に制限を加え、他面事業者並びに労働者の道義心を喚起し以て労働資源の節減と労働能率の向上を促進す。 |
五、 |
下級技術工の不足を克服することを目途とし、その事務の刷新向上を期し関係部管掌範囲を調整す。 |
六、 |
満洲労工協会の管掌せる労働票の発給、職業紹介、労働市場の管理及び保有施設の経営等は政府又は地方団に於てこれを行う。但し保有施設は事業者が業とするその福利施設は経営することを妨げず。 |
七、 |
満洲労工協会はこれを解消しその業務のうち性質上行政事務に属するもの、又は行政事務にして協和会において代行せるものは政府に於て、事業者のための斡旋事務に属するものは新たに設立せらるべき事業者の自治的統制機関において処理するものとす。 |
八、 |
政府、協和会は一体となり全国的勤労興国運動を展開する。
以上の外労務行政機構の整備、労務興国会の新設、事業体における労専務機構の整備の三が挙げられているが、これは飽くまでも基本要綱であって、その示す所に従ってこの国の労働政策は、或は急速に或は徐々に、この半歳の間に展開しつつあるのである。
その最初の顕現として満洲労務興国会並びに各省労務興国会が十一月初旬を期して全満に設立せられたのである。 |