参考資料 <福島第一原発は今> | (2014.9.20) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
<参考資料>原子力規制委員会 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
<参考資料>平成26年度第23回 原子力規制委員会 2014年9月10日 九州電力川内原発 原子炉設置変更許可 |
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2014年9月10日の原子力規制委員会(平成26年度第26回会合)はエポックメイキング的な会合だった。2013年7月8日、「原子力発電所に関わる規制基準」(以下原発規制基準)が施行され、「新規制基準適合性に係る審査」(以下適合審査)が開始された。それからほぼ14カ月、この日の会合で、川内原発ははじめて原発規制基準に適合している、と認定された。法律用語を使えば、「九州電力が申請していた川内原発の原子炉設置変更が許可」された、ということになる。 ここで一応整理しておこう。原子炉設置変更許可が出たからといって川内原発がすぐに再稼働できるわけではない。再稼働までにはまだまだ越えなければならないヤマがある。大ざっぱに言って、申請から再稼働までには2つの大きなヤマがある。一つは「原子炉設置変更許可」の取得、一つは「原発立地地元」の賛成、少なくとも消極的賛成、わかりやすく言えば明確な反対が存在しないと言うことだ。 2014年7月16日、規制委が川内原発の審査書案を決定した時には、「早ければ9月」、「早ければ秋にも再稼働」と一斉に書き立てたが、図1をみておわかりのように、審査書がかりに決定しても、再稼働までの道のりはながい。大手マスコミがここまで腐りきっているとは、今さらながら驚くばかりである。 2014年9月10日の審査書決定、川内原発原子炉設置変更許可を決定した規制委員会会合は、いわば儀式である。1万7819件の意見を1ヶ月間の間に集めたというパブコメも、今回の審査書が公平無私なものであり、科学的知見においては最先端であることを強く印象づけるためのお飾りであった。パブコメの指摘で審査書案の一部変更はあったものの、文言修正、字句修正にとどまる。それもほとんどが原発推進側の指摘である。 従って、この日の会合で見所になるようなやりとりはない。ただ、一点、2014年9月末で任期満了で原子力規制委員を退任する大島賢三の発言はやや目を引く。長くなるかも知れないが、引用しておく。
大島の意見は、一言でいえばパブコメ募集を、規制委決定の正統性を裏付けるための単なるお飾りとせず、これから積極的に活用していけ、ということだろう。大島を続ける。
私の立場とは全く違う立場、原発の延命の立場からの発言ではあるが、一定の説得力がある。立場は違うが、「次に原発苛酷事故を起こしたら日本はもう終わり」という認識では私も大島も全く同一である。(首相の安倍晋三にはこの危機感が皆無である) 規制委会合が終わって、規制委員長の田中俊一の定例記者会見がちょっとおもしろい。 規制基準は、一応「確率論的安全論」をベースにして、科学的・客観的外観を保っている。ところが、今回の川内原発の審査では、その科学的・客観的外観もかなぐり捨てならない、「原発安全審査」に戻ったかのような議論を一部行わざるを得なかった。いうまでもなく川内原発のアキレス腱、『姶良(あいら)カルデラ』である。 VEI4での英語表現“Cataclysmic”は、「激変的な」「大異変の」という意味合い。VEI5の“Paroxysmal”は「激烈な発作」という意味合いでもともとは病理学用語。VEI6、7、8で使われている“Colossal”は「途方もなく」「厖大な」「とてつもない」という形容詞に由来しているようだ。(いずれも研究社『英和大辞典第6版』による) “super-Colossal”、“mega-Colossal”と言われても検討もつかない。特に“mega-Colossal”のVEI8はスーパーボルケーノと呼ばれている。日本にはVEI8の「スーパーボルケーノ」は存在しないが、VIE7の“super-Colossal”は3個所ある。いずれも九州で、阿蘇山、薩南諸島にある鬼海カルデラ(鹿児島県)、それに、川内原発で問題になっている姶良カルデラだ。日本語ウィキペディア『姶良カルデラ』を引用する。
有名な桜島も実は姶良カルデラの一部なのだそうだ。同記事を続ける。
だから、VEI5や6の大爆発などは結構頻繁に起こっているのである。 前置きが長くなった。川内原発の基準適合審査では、当然この姶良カルデラが問題になった。しかし審査書では「運用期間中に姶良カルデラが大爆発を起こす可能性は小さい、として、VEI7クラスの大爆発の危険は排除された。論理的に見てこの判定はおかしいのである。地震の危険では、敷地重要棟直下に少なくとも十数万年以降動いた可能性のある活断層がある場合には、原発の稼働を認めない、としておきながら、火山の場合は数万年前に明らかにVEI7クラスの大爆発を起こしている姶良カルデラの場合は、「運転期間中に大爆発を起こす可能性は小さい」としてVEI7クラスの危険はないとしている点である。 つまり活断層の場合は、確率的安全論を採用しながら、姶良カルデラの場合は「可能性は小さい」として確率的安全論を放棄している論理矛盾である。繰り返すが、問題は運用期間中に、姶良カルデラが大爆発を起こすかどうかではない。それは原発敷地重要棟直下の活断層が、原発運用期間中に活動を開始するかどうかが問題ではないのと同様である。原子力規制委員会が採用した確率的安全論が、貫徹していないのだ。それが問題である。 この日の記者会見で、姶良カルデラの問題に触れた質問は多かった。しかし原子力規制委員会が、姶良カルデラに関しては、確率的安全論を貫徹させていない立場からの質問はなかった。(それに近い質問をした記者は一人だけ、いた) 想像するに規制委は、川内原発の原子力設置変更許可を出すことを優先し、自らの論理の貫徹をおざなりにしたというべきだろう。それは同時に、原子力規制委員会の底の浅さ、馬脚を露呈した、というべきだろう。 原子力規制委員会 平成26年第23回会合 2014年9月10日
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