【参考資料】ヒロシマ・ナガサキ・フクシマ
 (2011.5.3)

<参考資料>福島原発事故:アメリカの『社会的責任を負う医師団−PSR』声明

『“安全”を考慮するなら福島の子供たちの
被曝許容値増大は無茶苦茶(
no way)だ』


 『社会的責任を負う医師団』(Physicians for Social Responsibility 以下PSR)が2011年4月29日、「福島県の子供たちに対する電離放射線の被曝許容値増大に関するPSR声明」( PRS Statement on the Increase of Allowable Dose of Ionizing Radiation to Children in Fukushima Prefecture <http://www.psr.org/assets/pdfs/psr-statement-on-fukushima-children.pdf>)を出した。

この声明の中でPSRは、次のように述べている。

 『 放射線に安全レベルはないということは、全米科学アカデミーの全国研究評議会報告「電離放射線の生物学的影響Z」(BEIR Z報告
http://www.nap.edu/openbook.php?isbn=030909156X
)で概括された医学界及び科学界におけるコンセンサスである。

 自然バックグラウンドをもつ放射線を含めて、いかなる(放射線の)被曝もガンのリスクを増大させる。その上さらに、放射線被曝はすべての人に同等同質に影響を及ぼすわけではない。(個体差、個人差が大きい)

 子供たちは成人よりもはるかに放射線の影響に対して脆弱である。胎児はさらに脆弱ですらある。

 子供たちに対して被曝許容限度を(年間)20ミリ・シーベルトに引き上げることは非道(unconscionable)である。20ミリ・シーベルトは成人に対して500人に1人の割合で発ガンのリスクを発生させる。この被曝は子供たちにとっては200人に1人の割合で発ガンのリスクを発生させる。

 そしてもし2年間にわたってこの線量を被曝すれば、リスクは100人に1人である。

 子供たちの“安全”を考慮するならこの被曝線量は無茶苦茶(no way)である。』

 これが短い声明の全文である。科学者らしく客観叙述に徹しようという努力の行間から怒気が噴出している。

 なお『社会的責任を負う医師団』(Physicians for Social Responsibility)(<http://www.psr.org/>英語Wikipedia 「Physicians for Social Responsibility」によれば核拡散、気候変動、環境汚染から公衆を防護することに関してはアメリカ最大の医師主導の機関だそうである。現在5万人の会員とインターネット活動家(e-activists)を擁している。この会はもともとは大気圏核実験に対して、核実験の副産物であるストロンチウム90が子供たちの歯の中に蓄積されていくことを研究発表しながら、核実験に強く反対する活動からスタートしている。

 唯一の「被爆国」日本には「社会に責任を負う医師団」はいないのか?医学界のヒエラルキーの中で、ボスの顔色を窺いながら右顧左眄するだけなのか?子供たちの現在の健康、そして10年後、20年後、30年後の健康をもし考えるならば、今沈黙を守るのは医師として犯罪行為である。