(2011.7.6) | ||||||||||||||||||||||||||||
(photo by sarah amino, taken on 7.5, 2011) 話は1945年3月の東京大空襲から始まる。TNT火薬換算で1685トンの爆弾が投下されたこの大空襲はわずか一晩(3月10日)で、下町を中心にして東京を焼け野が原にした。焼夷弾を中心にしたこの空襲で死んだ人約10万人、家を失い焼け出された人約100万人。小出の生まれ故郷の東京・御徒町も焼け野が原になった。(小出は1949年生まれ。)
続いて広島原爆の惨状が写真で提示される。黒こげになった死体が東京大空襲の惨状とダブる。長崎の惨状。 東京大空襲と「ヒロシマ」「ナガサキ」との違いは大きいように見えて、「不条理」と言う点では同じだ、と小出は云いたいようだ。 一連の東京大空襲では、「国際人道法違反」を懸念したトルーマン政権の陸軍長官、ヘンリー・スティムソンは、ヒロシマではもうその懸念を表明しなかった。 (「ヘンリー・スティムソン日記・1945年6月1日付け」参照の事。<http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/stim-diary/stim-diary19450601.htm>) ここで小出は、原子力の核分裂反応を簡単に説明する。そして「核分裂反応は本質的に爆弾(兵器)向け」と結論する。(当日プレゼンテーションスライド21枚目「核分裂の秘密」参照の事)
しかしその本質的には兵器に向いた技術を使った原子力発電を、「平和利用」「夢の技術」ともてはやした。原爆投下後、このプロパガンダキャンペーンはアメリカに始まり、世界中にマスコミを使って喧伝された。
そして話はチェルノブイリ事故へ。原子力発電が危険なものであることは、原発推進派学者・研究者が一番よく知っていた。だから原発を、人口密集地・都会には作らないことにした。 (スライド37枚目「原子炉立地審査指針」を参照の事)
だから東京都知事の石原、大阪府知事の橋下がなんといおうが、金輪際原発は東京湾や大阪湾には出来ないのである。(二人ともこの指針のことはよく知っているから、原発支持のダボラを安心して吹きまくれたのである。) そして福島原発事故の惨状。
失うものの余りの大きさにひたすら茫然とするばかりである。
そして話は中国電力が今計画中の山口県・上関原発に及ぶ。「電気の需要が供給に追いつかない。だから原発を」という詐欺師まがいの中国電力の言い分のウソが簡単に暴かれる。(スライド57枚目参照のこと) 電気が足りないのではない。原発を作りたいためにこれまでの水力発電設備や火力発電設備を休止させているだけだ。(これは東京電力、関西電力も同様だ。) もし上関発電所が事故を起こせば、「被爆地広島」はどうなるか?(スライド58枚目参照のこと) いや事故を起こさなくても、原発は“基準値内”で放射能を垂れ流し続けているのだ。 “核兵器”(Nuclear Weapon)と“原子力発電”(Nuclear Power Plant)は同じ“核”なのだ。 「核発電」を「原子力発電」と言い換え、軍事利用と平和利用とは別物だ、と強弁してきたその厚かましさ。そしてその宣伝に簡単に参ってしまう私たちの愚かさ。 核の軍事利用(核兵器)と核の産業利用(原発)はもともと同じ母親から生まれた「双子の兄弟」なのだ。醜いところまでもうり二つだ。秘密とウソと腐臭ふんぷんたる金の匂いまでうり二つなのだ。 そして小出の矛先は、「核兵器廃絶」を訴え続ける「ヒロシマ」に向かう。双子の兄弟の兄を廃絶の対象とするくせして、弟は見逃すのか。弟は人類を滅ぼさぬとでもいうのか。
これ以上中国電力・上関原発に沈黙を続け、目をそらし続けるなら、それは「偽善のヒロシマだ」と小出は云っているように、私には思えた。
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(質疑応答時の様子。15分の休憩を挟んで始まったが、ほとんど帰る人はいなかった。) |
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