2014年7月17日、鹿児島県姶良(あいら)市議会は、「川内原発1号機2号機の再稼働に反対し廃炉を求める意見書」を全会一致で採択し直ちに鹿児島県知事に送付した。意見書は「拙速な川内原発1号機2号機再稼動に反対し廃炉を求め、国及び原子力規制委員会に対応することを求めます」と強く鹿児島県知事に迫っている。
姶良市は九州電力川内原発から30km圏(原子力災害重点区域)に境を接しており、川内原発が苛酷事故を起こした場合、1週間で数十ミリシーベルトの放射能汚染地域となることが、原子力規制委員会の放射性物質拡散シミュレーションから読み取れる。意見書では単に再稼働反対を唱えるだけではなく、廃炉を求める地点まで踏み込んでおり、「住民の安全を守る」(意見書)の一点で一致している市議会議員の姿勢は感動的ですらある。
<九州電力 川内原発100km圏の被曝線量>
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この意見書採択に先立つ2014年5月15日、姶良市民の有志は「川内原発の再稼働に反対し廃炉を求める陳情書」(陳情書4号)、「川内原発3号機増設の白紙撤回を求める陳情書」(陳情書5号)、「原子力に依存しない自然エネルギー政策に転換を求める陳情書」(陳情書6号)の3本の陳情書を市議会に提出、市議会でこの3本の陳情書を審議結果、意見書採択決議となった。
川内原発の再稼働をめぐって、その政治的判断のプロセスは本格的にはやっとスタートする。原子力規制委の許可行政とは全く異なる政治的プロセスである。その政治的プロセスにおいてもっとも重要なのは、こうした市議会の明確な反対へ向けての政治的意思表示、あるいは自治体首長の反対意思表示、ひいては主権者である市民一人一人の明確な政治的意思表示が決定的に重要である。主権者たる市民一人一人は微力であるかも知れないが、決して無力ではないことをいまこそ思い知らせなければならないだろう。姶良市議会意見書、そしてその前段の3本の陳情書を是非ご一読いただきたい。
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