【参考資料】ヒロシマ・ナガサキ・フクシマ |
(2011.5.3) |
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<参考資料>神戸大学・山内知也の文科省への申し入れ書
『実際の被害が福島の子どもたちの間に生じます』 |
神戸大学大学院・海事科学研究科・教授、山内知也(研究分野キーワード:イオントラック・放射線物理・ 放射線計測)が文部科学省及び原子力安全委員会に対して、『文科省が通達を出して福島県の小学生・中学生の被曝限度を20mSvにした』問題に関し、申し入れ書を2011年4月21日という問題が起こった非常に早い段階で出していることをつい最近になって知った。以下がその申し入れ書の全文である。
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2011年4月21日 |
児童・生徒の被ばく限度についての
申 入 書
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文部科学省学校健康教育科 電話 03-6734-2695/FAX03-6734-3794
原子力安全委員会事務局 電話 03-3581-9948/FAX03-3581-9837 |
山内知也 神戸大学大学院海事科学研究科 教授 |
大学で放射線を教授している者として申し入れます。
福島第一原発事故への対応に関して、福島県内の児童と生徒の被ばく限度を年間20ミリシーベルトにされておりますが、子供が浴びる線量としては不当に高いものです。撤回して年1ミリシーベルトの基準を児童と生徒には適用してください。
既に半減期が30年であるセシウム-137が全体の被ばく線量を支配する段階にはいっており、これからは被ばく線量は数年の単位ではほとんど低下しなくなります。したがって年20ミリシーベルト相当の被ばくが何年も継続することになります。
ICRP(国際放射線防護委員会)が過去にまとめた報告類でも(ICRP-publiction36)、生徒の被ばくを禁じており、18歳未満の生徒については放射線を使った実験を意図的に行う場合でも年間の被ばく限度を公衆の被ばく限度の10分の1にするように勧告しています。
それは子供の放射線感受性が大人よりも高く、被ばくの影響が出る期間も長いからです。
ICRPが3月21日に公表した見解(ICRP ref: 487-5603-4313)でも『放射線源が制御下におかれた時には汚染された地域が残るだろう。その地域を捨てるのではなくて、そこに住み続けることを人々に許可するために必要となるあらゆる防護手段を提供することが場合によっては出てくるだろう。この場合について委員会は、参考レベルとして、長期的な目標としての参考レベルは一年あたり1
mSvに低減させるとしながらも、年間1mSvから20mSvの範囲の中から選択することを勧告する』。(ICRP 2009b 48から50節)。
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“When the radiation source is under control contaminated areas may remain. Authorities will often implement all necessary protective measures to allow people to continue to live there rather than abandoning these areas. In this case the Commission continues to recommend choosing reference levels in the band of 1 to 20 mSv per year, with the long-term goal of reducing reference levels to 1 mSv per year (ICRP 2009b, paragraphs 48-50).” |
とあります。
子供の被ばく限度を20ミリシーベルトでよいとはしていません。ここではあくまで1ミリシーベルトを目標としています。1から20までの範囲であれば、子供に対しては1ミリシーベルトを選択すべきです。早急に見直して下さい。
このままでは疫学調査に出てくるような実際の被害が福島の子どもたちの間に生じます。 |
以上
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