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(2010.4.21) |
<参考資料>イラン核疑惑:テヘランの「反核サミット」関連 |
その@ 「たった一つの核犯罪国が存在する」
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イランが「反核サミット」を2010年4月17日(土)18日(日)の両日テヘランで開催した。この「反核サミット」の様子を一部イランメディアで知ることができる。この記事は、イランの日刊紙「イラン・デイリー紙」(Iran Daily)の2010年4月19日付電子版に掲載されたもの。今回2日間の会議の様子をおおよそ知ることができる。ガンバール・ナデーリ(Ghanbar Naderi)の署名入り。(<http://iran-daily.com/>)
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「新たな組織が核軍縮を監視すべき」
(New Body should oversee Nuclear Disarmament) |
「アメリカの原子力犯罪を非難」
(US Atomic Crimes Condemned) |
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核軍縮及び不核拡散に関する1回目の国際会議が土曜日(4月18日)テヘランで幕開けし、核軍縮を監視する新たな国際的機関の設立を要求した。
「みんなのための原子力エネルギー、だれのためでもない核兵器」(“Nuclear Energy for All, Nuclear Weapon for No One”)と名付けられたこの会議は数カ国からの代表や高官、14名の外相、10名の副外相、8名の地域組織や国際組織からの代表を含めて集まった。70カ国以上からの非政府組織の代表や専門家などもまたこの会議に出席した。この集まりの主要な考え方は、核軍縮と不拡散に対して世界の関心を集めることである。
イスラム革命の指導者(アヤトラ・ホメイニーのこと。ホメイニーのメッセージは後でプレスTVの記事で紹介する)は、この2日間の会議に向けたメッセージの中で、核兵器の拡散と闘っている、と不正にも主張するたった一つの「核犯罪国」(nuclear criminal)が存在する、と述べた。
アヤトラ・シェイード・アリ・ホメイニーのメッセージは、次のように云う。
『 |
世界でたった一つの核犯罪国は、原子兵器の拡散に対して闘っていると主張している。・・・しかし、その国はこの問題に関し、いかなる真剣な取り組みを見せたこともないし、これからそうするつもりもない。』 |
「核犯罪」を犯した政府はたった一つある。それはアメリカ政府である。その政府は、一方的な戦争において、広島と長崎で無辜の人民に対して核攻撃を放った。
ホメイニー師によれば、
『 |
核兵器の拡散に対して闘っているというアメリカの主張がもし、嘘でないならば、どうやってシオニスト体制が国際的な規則―特にNPT―を迂回することができるのか、また占領地パレスティナを核兵器敞に変質させることができるのか?』 |
核兵器を貯蔵すること、それを使用すること、あるいはそれを使用すると威嚇することこれらはすべて戦争犯罪である、とホメイニー師は強調する。そして国際親好諸国(the comity of nations)は、核兵器は廃絶しなければならないという立場では一致している、と指摘した。 |
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アメリカはIAEAのメンバー国としては不適(US unfit for IAEA Membership) |
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開会式のあいさつで、モハムード・アフマディネジャド大統領はアメリカのような核兵器保有国はIAEAやその理事会から放逐すべきである、と語った。アメリカとその手に負えない核兵器敞は、地球規模の核軍縮に関する長く待たれたその行動からするとはるかに遅れている。いわゆる核抑止政策の一環として、ワシントンはこの禁止兵器の開発を行っているが、このことが大量破壊兵器拡散の根本的原因であると見られる。
ワシントンは他の諸国に対して核兵器を使ってきたばかりではない。何年にもわたって「自ら優位に立つために他の諸国対して核兵器を使用すると威嚇してきた。」とアフマディネジャドは云った。
この目的のため、アフマディネジャドはこう云った。
『 |
そのような国は(核兵器の使用で非核兵器国を威嚇するような国)IAEAのメンバーたる資格を剥奪すべきである。またIAEAの理事会にもその居場所はない。』 |
アフマディネジャドは、地球規模の核軍縮を監視する新たな独立した組織の設立を要求した。
『 |
今日われわれが必要なのは、拡散を防止しかつ軍縮のプロセスを監視するような独立した国際的組織だ。』 |
とアフマディネジャドは聴衆に向かって語った。
すべての国家は、立ち現れる核兵器の脅威から安心を保証される。
『 |
しかし、これまで贅沢品だったそのような意味での安全保障は、幾つかの国からは奪い得なかった。』 |
大統領の見解では、核兵器拡散の背後にある主要な理由は:
核兵器の製造と使用の政策にある。その政策のもっとも重要なものがアメリカによる日本に対する核攻撃だった。
( |
核兵器の拡散は、フランク・レポートに代表される多くの科学者の見解の通り、アメリカによる日本に対する原爆の使用から始まった。ヒロシマ・ナガサキが核兵器拡散の「ビッグバン」だった。フランク・レポートが、「もし効果的な国際合意に達しないとすれば、核兵器の存在を最初に誇示した翌日の朝から、最も早ければ核装備競争が始まることだろう。」と指摘した通りである。―「フランク・レポート」の「先制奇襲攻撃には無力」の項参照の事。
<http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/flanc_report.htm>
私はアフマディネジャドの見解は正しいものだと思う。この点を今再確認して置かないと、これからの核兵器廃絶の道筋を見誤ることになろう。ましてや、核兵器を保有したまま、未だに前近代的な「核兵器を使用すると威嚇する」政策を大まじめに世界に向けて公言するオバマ政権の、「核兵器のない世界」がいかにまやかしに満ちたものかがわからなくなる。核兵器廃絶の出発点は、もう一度ヒロシマ・ナガサキの原点に立ち戻り、あの政策、アフマディネジャドの表現に従えば「核兵器製造と使用」の政策が、核兵器拡散の出発点だったことを確認し、地球と人類の安全を危機に陥れる「核兵器時代」のスタート点であり、これがいかなる理由があろうと誤りであったことを確認しなければならない。) |
抑止力として核兵器を使うこと。:そのような兵器の拡散の背後にある主要な理由は、最新の技術を使って攻撃における優位性を確保したものが勝者であるという認識である。この認識そのものが、既存の兵器敞を更新したいという誘惑を鼓舞しているわけだ。
国際的紛争に備えて核兵器を配備することの脅威。:その最たる例がアメリカである。アメリカは核兵器を使用しそして公式にそのような兵器を非核兵器保有国に対して、再び使用すると公式に威嚇している。
国連安全保障理事会やIAEAを道具として使うこと。これは40年間も行われてきたケースである。この2つの組織は世界の大国に虐げられてきた。そしてそれがなぜ、安全保障理事会で拒否権を持たぬ国の利益を守ってこなかったかを、まことによく説明している。
二重基準:シオニスト体制が200以上の核弾頭をもち多くの地域戦争に責任を負っている。しかし依然として揺るがない西側の支援、特にアメリカからの、特に核の分野での支援を謳歌している。西側の専門家達は平和的性格をもつその核計画から転換するに違いないと断言してイランに圧力をかけている。驚くべきことに、西側は、イスラエルはNPTの署名国ではないから、というのだ!
二重基準こそが核軍拡競争を勢いづかせ、NPTを毒している、とアフマディネジャドは云う。
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イスラム諸国会議機構の要求(OIC Call) |
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イスラム諸国会議機構(Organization of Islamic Conference −OIC)の事務局長、エクメレッディン・イフサンオール(Ekmeleddin Ihsanoglu−トルコ)はシオニスト体制は直ちにNPTに署名すべきだ、という。
イフサンオールは演説の中で次のように云う。
『 |
OICは、「核兵器のある世界」からの脱出に向けて、その他の地域機構や国際機構と共同してかつてない決意を固めている。』 |
OICはイランの平和的核活動の権利をその他のNPT署名国の権利と共に、支持している。イフサンオールは、西側は外交を通じてイランとの核紛争を解決すべきだと主張した。そして核技術に習熟した諸国はその他の開発途上国とその経験を共有すべきだ、と語った。
すべての核兵器を、「核兵器がわれわれを滅ぼす前に」、破壊することが極めて重大だ。
( |
イフサンオールがここで指摘するように、イスラム諸国会議機構やラテン・アメリカの非同盟諸国、東南アジア諸国や中央アジア諸国の、「西側」の横暴に対する不満はかなり根強いものがあり、NPT再検討会議を前に彼らの結束は想像以上に強いのではないか。ポイントは、第63回国連総会議長、ニカラグアのミゲル・デスコト・ブロックマンが指摘するように、国連の民主化であり、IAEAの民主化の問題である。もしオバマ政権が、西側同調国の力を借りて、「テロ対策」を口実に、強引にNPT加盟国の「平和的核活動の権利」を取り上げようとすれば、両者は激しく対立し、NPTは空中分解の危険にさらされる。アメリカの経済力はかつてのアメリカのそれではない。途上国や新興国の経済力はかつての貧弱なそれではない。アメリカの経済力は依然として世界一であるが、かつてのように絶対的第T位ではない。相対的第T位だ。経済的にこれらの国を締め付けたり、囲い込んだすることはできなくなっている。アメリカのいうなりになる国は、激減している。これが第一。
第二に、イラン経済制裁に対して、ロシアと中国は思いの外及び腰だ。日本の報道からはうかがい知れないが、ロシアと中国は、これら途上国や新興国の空気をじゅうぶんに察しているのではないか?そしてアメリカを中心とする西側社会につくか、途上国・新興国の側につくか、冷静に天秤にかけているのではないか?「イラン経済制裁問題」の背後には、「西側社会」と「非西側社会」の鋭い対立が隠れている。
第三に、日本の「被爆者」や「平和団体」は、いずれも5月のNPT再検討会議に大量の人を送って、「原爆の悲惨」や「平和の大切さ」、「核兵器廃絶」を訴えるだろう。―やや場違いな感じもするが。目の前では、「NPT」の基本的性格をめぐって激しい対立が繰り広げられるだろう。その時、日本の「被爆者」や「平和団体」は、どちらの側につくのか?依然として大量の核兵器を保有して、あからさまに非核兵器保有国を「核兵器で威嚇」し、そして「核テロリズム」を口実に、NPT参加国から「平和的核活動の権利」を取り上げようとするオバマ政権の側につくのか、それともアメリカを始めとする「核兵器保有国」の犯罪性を糾弾し、NPT参加国の平等を訴える、非同盟諸国の側につくのか。これが、日本の被爆者団体や「平和団体」が踏まねばならない、踏み絵だ。) |
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イラクの位置づけ(Iraqi Position) |
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イラクの外相、ホシャール・ゼバーリ(Hoshyar Zebari)はイスラエルにおける占領勢力に対してNPTへの署名とその追加議定書に対する署名を要求した。
ゼバーリは、この会議を組織したイランに感謝を述べ、そして次のように付け加えた。
『 |
核兵器は世界の平和と安定に対する脅威となっている。そのような兵器を持つものは、国際社会を破壊するものとして機能している。この点では、イラク政府はNPTの署名国として止まるつもりだ。そして中東がそのような破壊的兵器が存在しないことを確実にするため、できることは何でもするつもりだ。』 |
イランに対して核兵器を使用するというアメリカの威しについて、ゼバーリはこういう。
『 |
イラクはテヘランとワシントンとの対話を促進する。ワシントンはまたテヘランを威嚇するようなものの言い方は中止すべきだ。イランはNPTの下で、ウラン濃縮を行う権利があるのであって、核対立を軍事力で解決しようとするのは間違っている。』 |
シリアの外相、ワリド・アル・モアレム(Walid al Moalem)は、イスラエルは軍縮をすべきだ、と会議参加者に語った。そして、NPTに署名している諸国は、占領勢力(the occupying power-イスラエルのこと。)との二国間貿易を非継続とすべきだ、と語った。
モアレムは、西側の不拡散に関する二重基準を非難し、彼らの核兵器計画をIAEAの査察官に監視させるべきだと主張した。モアレムは国連の番犬(IAEAのこと)が公明正大であり、その活動が政治的でないことを要求した。
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イランに対する核兵器の威しは、2010年4月6日、オバマ政権が発表した「核態勢見直し」−NPRを指している。NPRの中でオバマ政権は、イランと北朝鮮を核兵器攻撃する可能性があることを明言した。核不拡散に関する二重基準というのは、IAEAは、非核兵器保有国に対してはかなりの査察を行っているが、核兵器保有国に対しては、その核兵器計画に対して全く査察権限がないことを指している。IAEAの公平とその政治的動きは、明らかに09年12月新たなIAEA事務局長に就任した、日本の天野之弥の不透明な動きを指していると見られる。) |
今月(2010年4月)の始め、ワシントンとモスクワとの間で署名された新STRAT条約に関しては、モアレムは彼らは約束を果たすべきであり、彼らの核兵器敞を削減すべきだ、と主張した。 |
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本当の脅威(Real Menace) |
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レバノンの外務省、アリ・シャミ(Ali Shami)は、イスラエルは核兵器を保有している。これが、地域の平和と安定に対する真の脅威だ、と語った。
シャミによれば、シオニスト体制は軍縮すべきであり、中東地域は、化学、生物、核兵器をなくすべきだ。
シャミは、核兵器大国はNPTの完全な実施を助けていない、と批判した。そしてNPTに署名した国には核技術をもつ権利がある、と繰り返した。シャミは世界の大国が恣意的にイランとその民生用核計画を扱っていると批判し、そして『西側のイランに対する攻撃はまったく根拠に基づかないものだ。』と付け加えた。
イラン原子力エネルギー機構長官、サイード・ジャリリ(Saeid Jalili)は、地球規模の軍縮の加速は、アメリカに対して向けられるべきだ、と語った。
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核兵器のない世界を実現する唯一の方法は、NPTの地位とその役割を強化することだ。同時にIAEAにおける大国の影響力の増大を押さえて必要がある。』 |
軍縮すべき大国に関しては、ジャリリは『日程表が設定されるべきであり、第3条に基づくIAEAの監視のプロセスが必要だ。国連も同時に、イスラエルが核軍備を獲得するのをどの国が援助したかを調査する事実認定委員会を設置すべきである。』と語った。
IAEAイラン特別代表部大使、アリ・アスガル・ソルタニーエ(Ali Asghar Soltanieh)は、テヘラン会議は、まもなくやってくるニューヨークでのNPTサミット(2010年再検討会議のこと)に間違いなく肯定的な影響をもたらすだろう、と語った。そして次のように付け加えた。
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この会議は、イラン・イスラム共和国が核軍縮に真剣であることを示すものである。同時にテヘランが、IAEAの査察の下、その平和的核計画を継続する決意を改めて示すものとなった。』 |
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(そのAに続く) |
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