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カンサス・シティ工場(Kansas City Plant):ミズーリ州カンサス・シティにある。核兵器の非核部品の製造と調達が主な役割。非核部品とは、電子部品、機械部品、特注部品などを指す。同時にその他の核兵器研究所、大学、アメリカの関連産業を支援する業務もある。運営はハネウエル社(親会社の持ち株会社、ハネウエル・インターナショナルは07年度、ディフェンス・ニュース社のランキングで世界第15位の軍需企業。<http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/Military-
industrial_complex/defense_news_features_top100_2007.htm>)の子会社で有限責任法人のハネウエル連邦製造テクノロジー社(Honeywell Federal Manufacturing & Technologies, LLC.)に全面委託されている。<http://www51.honeywell.com/aero/kcp/>
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ローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory):カリフォルニア州リバモアにある。かつて水爆の父といわれたエドワード・テーラーも所長を務めたことがある。熱核融合爆弾(水素爆弾)研究開発の拠点でもあった。現在は核兵器の核爆発部品(つまり心臓部)の検査、実験、再生、オーバーホール、近代化事業の拠点研究所になっている。またアメリカの貯蔵核兵器全体の監視、評価、改装などの支援業務も行っている。
運営は有限責任法人のローレンス・リバモア国家安全保障社(Lawrence Livermore National Security,
LLC.)に全面委託されている。
なお、ローレンス・リバモア国家安全保障社は、カリフォルニア大学(University of California)、ベクテル・コーポレーション(Bechtel Corporation)、バブコック・ウィルコックス社(Babcock and Wilcox)、URSコーポレーション(the URS Corporation)、バテル記念研究所( Battelle Memorial Institute)5者のパートナーシップによる有限責任法人。カリフォルニア大学はもともとリバモア研究所が同大学の傘下にあったころからの深いつながり。ベクテルは、建設エンジニアリングの世界的トップ企業であると同時に、世界第44位の軍需企業。バブコック・ウィルコックスは原子力エネルギー関連機器、石化エネルギー関連機器の大手で、日本における日立製作所との合弁会社バブコック日立は呉工場で原子力発電用圧力容器を製造している。URSもエンジニアリング大手で、世界第32位の軍需企業。ベクテルに較べると軍需依存率がはるかに高い。バテル記念研究所は、個人慈善信託基金で科学技術研究業務を提供している。世界第56位の軍需受注をしている。
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ロス・アラモス国立研究所(Los Alamos National Laboratory):ニュー・メキシコ州ロス・アラモスにある。現在はリバモア研究所同様、淵源はもちろん、「マンハッタン計画」に遡る。ロバート・オッペンハイマーが所長時代に最初の原爆を完成した。
現在は核兵器の核爆発部品(つまり心臓部)の検査、実験、再生、オーバーホール、近代化事業の拠点研究所。また中性子拡散、放射線学、プトニウム科学などでは世界トップクラスの研究水準をもっている。
運営はロス・アラモス国家保障社(Los Alamos National Security, LLC.)に委託されている。なお同社は、カリフォルニア大学、ベクテル、BWXテクノロジーズ、ワシントン・グループ・インターナル社4社のパートナーシップによる有限責任法人。ワシントン・グループ(Washington
Group International)は、建設エンジニアリングの大手で世界第53位の軍需企業。
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ネバダ核実験場(Nevada Test Site):ネバダ州の広大な地域ある実験場。もよりの町はラス・ベガス。アメリカ国内最大の地下核実験場だった。
現在はNNSA、国防省などの政府機関を支援する形で、危険作業、実験、訓練を行っている。大統領から命令があれば地下核実験を実施できる能力を維持している。
運営は契約ベースで、有限責任法人の国家安全保障技術社(National Security Technologies, LLC)に委託されている。なお同社の背景については今わからない。
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パンテックス工場(Pantex Plant):テキサス州アマリロから30km北東に位置している。貯蔵核兵器全体のメンテナンスが主業務。メンテナンスは核弾頭の寿命延長業務、廃棄業務など。なお全米唯一の核分裂廃棄施設でもある。なおプルトニウム廃棄物の暫定貯蔵施設も持っている。
運営はB&Wパンテックス社(B & W Pantex)に委託されている。同社はBWXテクノロジーズ、ハネウエル、ベクテル3社のパートナーシップ法人。
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サンディア国立研究所(Sandia National Laboratories):アメリカが貯蔵する核兵器全体の品質管理、システム・エンジニアリングについて責任を持つほか、開発、実験、特注非核部品の製造を行っている。名称が複数形になっているとおり、研究所施設は、ニュー・メキシコ州アルバカーキ、カリフォルニア州リバモア、ハワイ州カウアイ、ネバダ州トノパに分散している。
運営は世界第一位の軍需企業ロッキード・マーチン社の子会社、サンディア・コーポレーションに委託されている。
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サバンナ・リバー・サイト(Savannah River Site):サウス・カロライナ州のアイケンの南に位置している。核兵器の重要な材料、三重水素(トリチウム)の加工製造工場。トリチウムの原子核が融合してヘリウムに原子変換する際、莫大なエネルギーを放出する。つまり熱核融合爆弾(水素爆弾)の重要原材料を製造する。
ワシントン・サバンナ・リバー・カンパニー(Washington Savannah River Company)が運営の委託を受けている。同社はワシントン・グループ・インターナショナル100%出資子会社。
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Y−12国家安全保障複合施設:(Y-12 National Security Complex):テネシー州オークリッジにある。マンハッタン計画時代、最大の難関の一つが、兵器級濃縮ウランの製造であった。当時その濃縮ウランの製造に成功した工場がこの工場である。兵器級濃縮ウランの濃縮度は現在90%以上とされており、私もこの工場で生産されたリトル・ボーイの濃縮ウラン濃縮度は90%以上と理解していたか、フランク・フォン・ヒッペルはあるところで、リトル・ボーイのウラン濃縮度は80%だった、といっている。
現在もY−12は、アメリカで唯一の兵器級ウランの供給工場であり、また海軍に対しても濃縮ウランを提供している。海軍の原子力潜水艦の燃料は40%濃縮度のウラン燃料である。運営はB&W Y−12社(B&W Y-12)が委託されている。同社は、バブコック&ウィルコックス、ベクテル、マクデモット・カンパニー(McDermott company)三社の有限責任パートナーシップ法人。マクデモットの持ち株会社マクデモット・インターナショナルはアメリカ有数の建設エンジニアリング会社。
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