グローヴズとオッペンハイマーの電話記録

(原文:http://www.dannen.com/decision/opp-tel.html)
1945年8月6日、サンタフェ時間午後2時にオッペンハイマーに電話をかけている。



グローヴズ: 君をとても誇りに思うよ。君の所の全員にもだ。
オッペンハイマー: うまくいきました?
グローヴズ: 明白だ。ものすごい爆発だった。
オッペンハイマー: いつでした?日が落ちてから?
グローヴズ: いいや。残念だったが、日中にやってしまわなきゃならなかった。
飛行機の安全を考えるとね。なにしろ決定権は現地の指令官の手にあるんでね。日が沈んでからの方がいいことは彼も分かっていた。
散々いっといたからね。でも私は、あなた次第だ、と云った。最重要事項じゃないけれど、その方が望ましいからね。
オッペンハイマー: そうです。誰だってその方がいいと思っていますよ。
でも心からおめでとうを申し上げます。長い道のりでしたね。
グローヴズ: そうだ、本当に長い道のりだった。
私のこれまでのもっとも賢明な考えの一つが、君をロスアラモスの責任者(the director)に選んだことだった。
オッペンハイマー: さあ、私は疑ってましたがね、グローヴズ将軍。
グローヴズ: 私がいっときだってそれを疑ったことがないのは君も知ってるだろう。
オッペンハイマー: シクスターさん(誰かは分からない) がミューチュアル(これもどこかはわからない)から電話をくれました。
あなたのオフィスに連絡を取るようにと言っておきました。
グローヴズ: はい。
オッペンハイマー: 彼が何を考えているのかわからない。
グローヴズ: いや、私にインタビューして放送したいんだよ。
ご要望には応じかねます、といった所だ。
オッペンハイマー: 私もそう思います。
グローヴズ: 今できるだけ、私が分かっている限り、これまでもそうだったように、「保安」を真ん中に据えておかなきゃならない。
オッペンハイマー: まさしくそういうだろうと思っていましたよ。2−3日前にそれに関連した注意書きを作っておいた所です。今日、みんなに発表しようと思ってるんですが、全くあなたが云いたいことが書いてあります。
(中略)
電話をありがとうございました。ご親切な言葉にも感謝します。これから少しでもあなたがやりやすくなるといいですね。
グローヴズ: 今から、パーソンズとファレルから来たある内容のレジュメを送る。内容が広まらないように取り扱いに注意して保管して欲しい。
君の「飛行中隊 」(Flight)のトップのほんの少しに見せるのは構わないが。
オッペンハイマー: ええ、そのことについてちょっと質問が・・・。
グローヴズ: 君の質問もこの私の手元にある内容も結局、次の言葉、ということだ。
「あらゆる努力は次なる目標に捧げられる」
オッペンハイマー: よろしいです。
グローヴズ: 次なる目標がはっきりし次第、それ以上の努力を傾けなければいかん。
オッペンハイマー: いいですね。予定に遅れないようにします。
グローヴズ: 今から君は新聞とかそういったものに悩まされると思うが、そいつが何であれ、君は全体観はしっかり持っていると思う。
オッペンハイマー: いや大して悩まされませんよ。私は彼らの中身を十分事前チェックできますからね。(I’ve got a lot of censors between me and them.)
グローヴズ: オーケー。