(2011.4.15) | |
No.025 |
福島原発事故:反原発、立ち上がる若者たち |
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1.5万人が参加した「4・10原発やめろデモ!!!!!!」 | |||||||||||||
反原発へむけて日本の若者たちが立ち上がりはじめた。 お恥ずかしながら、昨日になってはじめて知ったのだが、 2011年4月10日は“April 10th 'Stop Nuclear Power Plants! Global Action Day”(4・10“原発を止めろ!”地球規模行動日)だったのだそうだ。世界中で「ストップ原発」の集会が催された。この日に先立ち、ドイツでは若者を中心にして3月27日には、 『ベルリン(Berlin)、ハンブルク(Hamburg)、ケルン(Cologne)、ミュンヘン(Munich)の主要4都市で行われ、主催者の1人は25万人がデモに参加したと述べた。』 (AFP電<http://www.afpbb.com/article/economy/2792777/7009210>) と空前の規模で原発反対の集会が開かれていた。「ドイツの連中はやるな」と思っていたら、日本でもこの「地球規模行動日」に合わせる格好で集会が開かれていたのである。なかでも東京・高円寺中央公園に集まった集会・デモは、若者を中心に約1万5000人だという。(「4・10原発やめろデモ!!!!!!」<http://410nonuke.tumblr.com/>を参照の事・私は数えたのだが「!」は6つある。) その呼びかけ文が胸を打つ。
彼らの危機感は本物である。呼びかけ人は誰かというと、「素人の乱」という。彼らの素性は、紹介サイトで見てみると
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「死の街」と化す放射能汚染 | |||||||||||||
高円寺北中通り商店街を本拠とする「街づくり」のグループらしい。私は「街づくり」のグループが「原発の危険性」に敏感に反応するのは当然だと思う。「街づくり」は自分の生活の場を大切に思い、それを育んでいこうという気持ちからスタートする。時間もかかる。汗もかく。そしてやっと自分たちの生活の場を創造することができる。 原発による放射能汚染は、そうした「街づくり」、「豊かな生活」を一瞬にしてフイにする。地震や戦争や大災害も一瞬にしてフイにする。しかし根本的に異なる点が一つある。 放射能汚染は長い年月、自分自身の生活の場に足を踏み入れることができない、文字通り「死の街」になってしまうという点だ。それは今福島原発事故で自治体ぐるみ避難しなければならない人たちが身をもって体験しているところだ。 昨日私は久しぶりに近所の床屋へ行った。そこで自分も原爆にあった、被爆者だ、というじいさん(私もじいさんだが、私よりももっとじいさんだ。)に出会った。
このじいさんは間違えている。広島原爆の核分裂物質の量はわずか60kgだった。核の連鎖反応(核爆発)を起こした約1kg弱を含めて高々60kgしかなかった。 原爆(核兵器)のもたらす被害の源泉は、熱線、爆風(ショックウェーブ)、そして放射能だ。原発事故の被害の源泉は放射能だけで、熱線もなければ爆風もない。この点で核兵器と原発事故は根本的に別物だ。しかし放射能を被害の源泉とする点では共通している。その共通の被害の源泉、すなわち放射能被害という点だけ取り出すと、「フクシマ危機」は広島原爆の比ではない。一体東京電力福島第一発電所だけでどれだけの放射能を持っているのだろうか?一体どれだけの放射性物質を保有しているのだろうか? 管政府は、福島事故はチェルノブイリ事故の約10%、と発表した。これは単純に放出放射能の量の話である。放射能の強さと放射性物質の放出重量はまた別個の話だが、ほぼ等価だと仮定してみると、チェルノブイリでは約10トンの放射性物質がまき散らされた。だから「フクシマ危機」ではすでに約1トンが放出されたと見なければならない。 「床屋の被爆じいさん」は、自分の経験で「フクシマ危機」を推し量ろうとしている。広島原爆は、核兵器としても放射能被害という点でも、まだほんのよちよち歩きのベビーだったのだ。今はそんなものではない。人類全体の生存を許さぬ一大モンスターに大化けしているのだ。だから「広島の被爆じいさん」よりも高円寺の若者の持っている危機感の方がはるかに正常なのである。 チェルノブイリは収束したが、「フクシマ危機」は現在進行形である。今も放射能を出し続けている。これに高円寺の若者が感じるような危機感を抱かないようであれば、その人は「自己生存本能」が完全に破壊されている。 |
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「今、しかないでしょう」 | |||||||||||||
「4・10原発やめろデモ!!!!!!」に寄せられる「賛同メッセージ」も同様な危機感に溢れている。
私は最初から3つのメッセージを無造作にコピー・貼り付けしただけだ。もっとたくさんの賛同メッセージをこのページ(<http://410nonuke.tumblr.com/tagged/|%20message>)で読むことが出来る。中国語でも、英語でも、何語でも読むことが出来る。 |
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「ママは原発いりません」 | |||||||||||||
赤ちゃんや小さな子供抱えたママたちも事態を深刻に受け止めている。 『ママは原発いりません』(<http://stopgenpatsu.blog60.fc2.com/>)のサイトは次のように呼びかけている。
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「放射能から逃げたい」 | |||||||||||||
どうも地震と原発から避難してきているママと子供を持つ福岡のママの連帯パレードらしい。
が2回目のパレードで、『お願い:大人も子どもも、緑のものを身につけてください 簡単な楽器などもあるとなおよし』だそうだ。 なお第1回目は、4月9日(土)にすでに開催されており、23日(土)、30日(土)も開催を予定している。 なおパレードでは次のような歌を歌うそうだ。 「原発はいらない」 原発はいらない でもやり方がわからない 脱原発が 脱原発が したい 放射能から逃げたい でも逃げ場所がわからない 発電所は 日本全国に できてる 健康に育てたい でもやり方がわからない 食べ物が 飲み物が こわい 原発のない日本を 一緒に作っていきたい あなたとも 考えて いきたい また次のような替え歌もある。(「咲いた、咲いた、チューリップの花が」のフシで) 「自然エネルギー」 風だ 水だ 地面の熱だ もらおう 使おう 自然の力 どこまでいっても きれいだな 次の歌はママの本音そのものだ。 「ママの願い」 原発はいらない 不便はしてもいい 子どもを守りたい 安心して育てたい 今、反原発で鹿児島でも、北海道でも、鎌倉でも、東京・芝公園、釜山でも、モントリオールでも、マイアミでも、ニューヨークでも、そして私の知らない数多くの地で人々が立ち上がっている。 |
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菅政府インターネット規制の動き | |||||||||||||
でも気をつけよう。 次は菅政府部内の文書である。 <http://www.soumu.go.jp/main_content/000110048.pdf>
この段階では地震に伴う犯罪・詐欺などを防止するワーキングチームの立ち上げを行うという申し合わせだが、すでに衣の下から鎧がのぞいている。それは―。 『被災地等における安全・安心の確保に係る総合的な対策を検討・推進』という一言だ。 これは、2011年3月31日の政府部内文書だが、4月6日にはこのワーキングチームは次のように決定する。
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素早いグズ菅 | |||||||||||||
『認証の取得等の対策を講じることで、情報源としての信頼性を確保し』の一言はインターネット関連の業者に対する強烈な威し文句である。つまりは「自主規制」を要求するが、「自主規制」をしなければ、「認証の取得等」の対策を講じますよ、という威しだ。 いかにも菅政府の役人の書きそうな文章である。大手新聞、テレビは「許認可等」あるいは新聞の再販売価格制度の適用除外、国有地の払い下げ「等」の利権で、すでにがんじがらめにされて口がきけなくなっている。『国、地方公共団体等は、あらゆるメディアを通じて信頼できる情報発信』のマシーンとなっている。 (原発事故発生から今日までのテレビ、共同通信、各新聞の報道の変遷ぶりを見よ。次にねらい打ちにすべきはインターネットである。) この動きはグズ菅にしては素早かった。すなわちワーキングチームの決定と同日の2011年4月6日には、インターネットの根幹を握る業者に次のようにおふれを出すのである。
『自主的に削除することを含め、貴団体所属の電気通信事業者等に、表現の自由にも配慮しつつ、「インターネット上の違法な情報への対応に関するガイドライン」や約款に基づき、適切な対応をおとりいただくよう』と言葉つきが丁寧なだけに、戦前軍部の居丈高調より不気味である。一見自主性に任せるようにみえながら、「ガイドライン」や口頭での注意という形で、削除する記事を指定する、という仕掛けである。 なにが「インターネット上の地震等に関連する情報であって法令や公序良俗に反する」のかは結局事実上総務省、菅政府が判断する仕組みになっている。これがソフトな言論統制だ。 (やや古い記事だが「その②自主規制でがんじがらめの日本の報道」「その③葬送をもって出発した戦後日本の言論の自由 」「その④ タブー、自主規制、始まる大手の内部腐食」<http://www.inaco.co.jp/isaac/back/018-2/018-2.htm>、<http://www.inaco.co.jp/isaac/back/018-3/018-3.htm>、<http://www.inaco.co.jp/isaac/back/018-4/018-4.htm>などを参照の事) |
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枝野幸男の流言蜚語 | |||||||||||||
この菅政府の動きに対しては、私たちはよほど覚悟をもって対処しなければならないだろう。うかうかみすごせば、「4・10原発やめろデモ!!!!!!」も「ママは原発いりません」も全て流言蜚語である。この動きを許せば、次に待っているのは法制化(刑事罰化)だ。菅政府はいよいよその本性をあらわしてきたと云うべきだろう。 「流言蜚語」とは一体何だろうか?試しに辞書を引いてみよう。 『世の中で言いふらされる確証のないうわさ話。根拠のない扇動的な宣伝。デマ。』(三省堂「大辞林」p2703 1995年第二刷) これに該当する事例を私は少なくとも一つは知っている。他ならぬ菅内閣の官邸だ。官邸は2011年3月20日次のように声明した。 『東北、関東の方へ――雨が降っても、健康に影響はありません。 雨が降っても、健康に影響はありません。ご安心ください。 場合によっては、雨水の中から、自然界にもともと存在する放射線量よりは高い数値が検出される可能性はありますが、健康には何ら影響の無いレベルの、極めて微量のものであり、「心配ない範囲内である」という点では普段と同じです。 加えて、次のような配慮をすれば、さらに安心です。 (1)特に急ぎの用事でなければ、雨がやんでから外出する。 (2)頭髪や皮膚が、あまり雨で濡れないようにする。 (3)頭髪や皮膚が雨に濡れても心配は無いが、気になる場合は、念のため流水でよく洗う。 繰り返しますが、これらの措置を取らなければ健康に影響が出るという意味ではありません。「安心」を、より確かなものにするための対応です。』 健康に影響がないなら、なぜ避難命令を出すのか?官邸の流言蜚語が結局人々の不信と不安を増幅したのである。 |
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