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もうひとつ私が、どうしても見逃せない秋葉の言葉使いがある。それは「和解」(reconciliation)という言葉だ。
秋葉によれば、「和解」とは、“私たちが経験した苦しみは他の誰も味わってはならない”とする被爆者の精神のことであり、相手に報復しない精神のことだ、ということになる。
言い換えればこれは「ノーモア・ヒロシマ」の思想であり、「繰り返しません、過ちは」の思想だろう。相手を恨まず、すべて水に流しましょう、ということでもある。
これは「和解」なのか?
つい最近、全く同じ言葉を使って、「和解(reconciliation)」を定義した人間を私たちは知っている。それはアメリカの下院議員、マイケル・マコト・ホンダだ。
2007年、カリフォルニア州選出アメリカ議会下院議員マイケル・マコト・ホンダ(彼は日系2世でもある)は、自ら提案者の一人となって「旧帝国日本軍性奴隷制度非難決議案」を議会に上程した。
ホンダ議員は、2007年2月15日、同決議案を審議する「アジア・太平洋・地球環境に関する外交小委員会」(Foreign Affair Subcommittee on Asia, the Pacific and Global Environmental)において、提案者として同決議案を支持する証言を行った。
この証言の中で、ホンダは「この決議案は、戦後日本とアジア社会との和解を準備するものであります。」とした上で次のように述べている。
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私は米国下院の議員諸君に次のことをお願いしたい。謝罪に歴史的意義があるのであり、対立を和解(reconcile)するにせよ、過去の行為に対して贖罪を行うにせよ、まず謝罪がどうしても必要な第一のステップであることを理解して頂きたいと言うことです。
われわれの政府も過ちを犯してきました。しかし、われわれの知恵で、誤った行為を認めるという困難な選択をしてきたではありませんか。』 |
ここで、ホンダが云っているアメリカ政府の過ち、というのは戦時中の「日系人強制収容」のことを言っている。またそれを認めたというのは、1988年、法案H.R.422「市民自由法」(The Civil Liberties Act 通称:日系アメリカ人補償法と呼ばれることがある。)を議会通過させ、当時の大統領ロナルド・レーガンがこれに署名して、きっぱりした曖昧さのない形で日系社会に対して謝罪し、補償したことを指している。 |
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