(2010.9.4更新) |
<参考資料> 失業者数1500万人前後で推移するアメリカ経済 |
<アメリカの失業者推移 1948年から2010年ー直近人口調査より> |
出所:アメリカ労働統計局<http://data.bls.gov/PDQ/servlet/SurveyOutputServlet>および <http://data.bls.gov/PDQ/servlet/SurveyOutputServlet?data _tool=latest_numbers&series_id=LNS13000000&output_view=net_1mth> |
1 | 私が注目しているのは、アメリカの失業率よりも失業者の絶対数である。アメリカの経済回復をGDPやニューヨーク証券市場の株価で見るのは必ずしも正しくない、と思う。アメリカ経済が、一種詐欺的な金融経済で底上げされて数字が回復したように見えても、結局は「中間階層」が回復しない限り、本当とはいえない。中間階層こそ、住宅や自動車を購入し、税金やソーシアル・セキュリティタックスを納入するアメリカ経済の大黒柱だからだ。「中間階層」の回復とは、別な言い方をすれば安定した収入を持ち、慎ましやかだが、落ち着いた生活ができる階層、いわば普通の庶民階層の回復である。このためにはまず安定した雇用の確保であろう。アメリカの労働人口全体を1億5000万人と大ざっぱに見積もれば、その1割が失業者である限り、表面数字がいかに改善したかに見えても、アメリカ経済の回復はありえない。 |
2 | 「アメリカの失業者」はILOの定義から見ると、若干実態から離れるかも知れない。というのは、失業者の定義が、調査時期からさかのぼって4週間以内に求職活動をし、なおかつ職業のないもの、という定義だからだ。ILOの定義は、調査時期に働く意志がありなおかつ職業のないもの、という定義から見ると、4週間以上求職活動をしていないものは分子から除外されることになる。ヨーロッパの失業率がおおむね高いのは、ILO定義に従っていることにもよる。日本の失業者数が実態からかけ離れて少なく見えるのは、アメリカよりもさらに詐欺的で、「調査時期から1週間以内に求職活動をしたもので職業がないもの」という定義に従って統計を取っているからだ。このことを念頭に置いてみるとアメリカの失業者は、この数字よりさらに多いものだと見ておかねばならない。 |
3 | アメリカの失業者数が1000万人を越えたのは、かつて1982年−83年の世界同時不況(第二次石油危機)の時が初めてだった。その経済回復と共に失業者数は1000万人割り込み、再び1000万人を越えるのは1992年の6月だけである。過去の推移を見てみると、2008年秋の「リーマンショック」から始まった世界経済恐慌がいかに深刻だったかがわかる。2008年年初からジリジリと失業者が増加気味だったアメリカ経済は、2008年10月度あっさり1000万人の大台を越え、2009年前半は大げさに言えば、毎月100万人単位で失業者が増加していった。そして2009年8月度には1500万人を越えるのである。その後オバマ政権は雇用対策にも力を入れると称したが、現実には1500万人を一つのラインとして2010年8月度を迎えている。この数字が改善されない限りアメリカ経済の回復が見込めないのはあきらかだろう。 |
4 | 私が使用している統計は、アメリカ労働省の労働統計局発表のデータ(LNS13000000)だが、この統計もいつの間にか対前月増減表示に変わってしまった。しかも2000年以降しか発表しなくなった。絶対数で見ている私は、電卓片手に計算し、この表を作った。 |
Series Id:LNS13000000 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
季節調整済み:非雇用者のみ 単位は1000人 年齢:16歳以上 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|