第7項 |
国家は自立した外交政策を追求するものとする。他国との関係に置いて至高の考慮は、国家主権、領土の統合、国益そして自決の権利に置かれるべきである。
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随分ナショナリスティックな表現と思われるかも知れないが、この時期フィリッピンの最大の課題が、米軍の基地をフィリッピンから撤収させ、外交的独立を闘いとることだったことを想起すべきであろう。) |
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第8項 |
フィリピンは一貫して国益と共にあり、領土内において核兵器から自由となる政策を採用し追求する。
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これがフィリピン憲法の非核兵器条項である。核兵器を領土内に置かないことが国益であるとしている点に注目したい。アメリカ軍のクラーク空軍基地とスービック海軍基地が他の核兵器大国の標的にされてきたことはまず間違いなく、この「非核兵器国益論」はフィリピン人の実感ではなかったろうか?
前出のポサダス論文では、『この条項はフィリピンを、核兵器を単なる立法措置や政府の政策でなく国の基本法である憲法によって禁止している世界でも数少ない禁止している世界でも数少ない国の一つたらしめている。この憲法条項に血と肉をあたえるために、23名の構成員からなるフィリピン上院は1988年6月6日<賛成19、反対3,棄権1の投票によって>「非核兵器法」として知られている上院法案第413号を採択した。』(前掲書44P)と説明している。) |
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第9項 |
国家は、繁栄と独立を確証し、適切な社会サービスを提供し、完全雇用を促進し、生活水準を向上し、全員の生活の質を改善するような政策を通して人民を貧困から解放するような、正しくまたダイナミックな社会秩序を増進するものとする。 |
第10項 |
国家は、国家発展のすべての段階における社会正義を増進するものとする。 |
第11項 |
国家は、あらゆる人に対しての人間の尊厳に価値をおくものであり、人権に対して完全な尊重をおくことを保証する。 |