(原文:http://www.doug-long.com/stimson10.htm)
(スティムソン日記の註)

1945年9月17日
ボブ・パターソンとの会談
 


 今朝、私はボブ・パターソンを呼んだ。(陸軍次官。ロバート・ポーター・パターソン。9月21日、スティムソンの正式辞任の後を受けて陸軍長官昇格が決まっていた。)
 私は彼が、原爆に関してのロシアとの関係に関する私の見解、それはもう大統領に話し済みだが、に対して反対の姿勢を取っていると伝え聞いている。われわれは長い時間をかけて話をした。
 私は、私の見解がいかに段々と形作られていったかについて説明した。
最初私は原爆の秘密をできるだけ長く手中に収め続けるべきだと考えていた。
しかし次第に、それは私は間違っていると思うようになった。
それは、戦争目的でそのような爆弾の製造を廃絶することを、自信を持ってロシアとの話し合いに努力を費やすより、(秘密を持ち続けることの方が)はるかに危険なのだ。
爆発性の原子力エネルギーの開発は排除しなければならない。
そして原子力エネルギーの開発は、もっと小さな、制御できうる商業目的のものに限らなければならない、と考えるようになった。
彼は私に聞き入った。そしてありがとうと云った。そして2−3の質問をした後、彼の素朴で率直な表現で次のように云った。
 「ええ、貴方は私を説得したようですね。私は自分が間違っていたことが分かりました。貴方が正しいと思います。もっとも安全な道は、秘密を保持しようとしないことにあります。そして秘密は明らかに保持しえない、私は以前はそのことが分からなかった。そうであるなら、ロシアとの話し合いはできるだけ早急に進めた方がいい」