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まず、「核兵器の実戦配備」(deployment of nuclear weapon)という問題から考えてみましょう。下の表は各核兵器保有国の核弾頭保有状況です。
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核兵器保有国 |
実践配備可能
/核弾頭保有数 |
特記事項 |
アメリカ合衆国 |
2,700/9,400 |
NPT批准国 |
ロシア |
4,830/13,000 |
NPT批准国 |
イギリス |
160/185 |
NPT批准国、追加議定書締結国 |
フランス |
300/130 |
NPT批准国、追加議定書締結国 |
中国 |
180/230 |
NPT批准国、追加議定書締結国 |
インド |
不明/60 |
NPT非署名国 |
パキスタン |
不明/60 |
NPT非署名国 |
イスラエル |
不明/60 |
NPT非署名国 |
北朝鮮 |
不明/10以下 |
NPT非署名国 |
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英語Wiki「List of states with nuclear weapons」
<http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_states_with_nuclear_
weapons>を参照して作成しました。
英語wikiは、このリストを原子科学者年鑑(Bulletin of the Atomic Scientists)の資料を使って作成したようです。
各国の核兵器保有状況はどの国でも重要秘密ですから、特別な状況でもない限り発表されません。
特にイスラエルのように核兵器保有国であることを否定も肯定もしていない国や北朝鮮のように核実験を行ったばかりの国については専門家が分析をしてその上で推測をする以外には手がありません。
先日朝日新聞が世界の核兵器保有・配備状況というグラフを作成していましたが、一目見てまがい物だとわかりました。
北朝鮮が何発かの配備をしているのは、製造したプルトニウムの量から推計した、と書いてあったからです。
保有プルトニウムの量から保有核弾頭の数量を推計できるわけはありませんし、ましてや実戦配備の核弾頭なども推測できるわけはありません。
この表のように不明とするのが正しいと思います。
上記の表も、「実戦配備可能な核弾頭」としていますが、これは元の言葉は「active warheads」です。
いつでも実戦配備できる、ということと実際に実戦配備(deployed warheads)している、とはまた違います。
核弾頭の実戦配備ということは、現実に兵器として配備され、命令があればいつでも発射攻撃できる核弾頭をさします。
発射命令がでてカウントダウンが10であれば、命令から10秒後に発射される核兵器のことです。
実際にどのくらいの核兵器が実戦配備されているのでしょうか?
全く手がかりがないわけでもありません。
一つの有力な手がかりは、「米ロ戦略核兵器削減条約」(START T)です。
中距離核については、87年12月にアメリカとソ連(=当時。今はロシアが引き継いでいます。)地上配備の中距離核を全廃するINF条約に署名し、88年6月の発効以降実施していますから、少なくともアメリカとロシアについては、中距離核の地上の実戦配備はなくなった、と考えることができます。
潜水艦やその他の艦船、爆撃機に搭載された中距離核についてはわかりません。
STARTTは91年7月にアメリカとソ連(現在はロシアが引き継いでいます。)が署名、戦略核の三本柱、すなわち、両国が配備する大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)及び重爆撃機の運搬手段の総数を、条約の発効から7年後にそれぞれ1600基(機)へ削減することを規定しました。
また同条約は、ロシアの保有している重ICBM(破壊力、すなわち発射重量又は投射重量が大きいICBMを指し、多弾頭化されたSS-18がこれに該当する)の上限を154基と規定しました。
さらに、配備される戦略核弾頭数の総数は6000発に制限され、このうちICBM及びSLBMに装着される戦略核弾頭の総数は4000発を越えてはならない等が規定されました。
2001年12月、アメリカとロシア両国は、START Iに基づく義務の履行を完了したことを宣言しました。すなわち、この時点でアメリカとロシアの戦略核弾頭の総数は6000発ということになります。
さらにICBMとSLBMに装着される戦略核弾頭の総数は4000発ですから、残りの2000発が爆撃機に装着される戦略核弾頭ということになります。
上記の表の推計では、実戦配備可能な核弾頭の総数がアメリカとロシア両国で7530発となっています。ですから差し引き1530発が戦術核弾頭かあるいは実戦配備可能だけれども配備されていない核弾頭だという推測は成り立ちます。
このSTARTTは今年で期限切れになりますが、オバマが「プラハ演説」でロシアと交渉に入り、さらに削減したプランをつくりたい、と述べたのは記憶に新しいところです。
その他イギリス、フランス、中国も実戦配備していると考えた方が合理的ですし、そのほかインド、パキスタン、イスラエルも実戦配備していると考えるべきでしょう。
しかし、ここでは現在、アメリカとロシアだけで総数6000発の核弾頭が実戦配備されていることを確認しておけば十分でしょう。
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私にはオバマも含めてこの人たちは気が狂っているとしか思えません。テロリストの危険どころではありません。こうした核兵器保有国の核実戦配備状況こそが、私たちに対する直接の危険と考えるべきでしょう。) |
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【第5問】核兵器の廃絶を目標とする国際的合意は現在あるのですか? |
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