哲野 |
今回のNPTのいろんな文書を読んで強く思ったのは、原爆投下の問題と、NPTで指摘されている問題とは、本当に直結しているんだな、と。 |
平岡 |
NPT自体はね、やっぱり、もともと5カ国に核保有を認めるというところから、スタートしているわけですからね。 |
哲野 |
今でも、変わっていませんね。 |
平岡 |
そうそう。これを打破する根底にはやっぱり広島の原爆投下が間違っていたんだ、法的に間違っている、ということをはっきりさせなきゃいかん。 |
哲野 |
もちょっといえば犯罪行為だったんだ、と。 |
平岡 |
そうそう、犯罪行為。国際法にもまさしく違反をしている、というようなことをキチッと広島が指摘すべきだね。それを指摘する責任があるね。他の国が言うより、はるかに説得力があるからね。
そういう気がしてきた・・・。前からずっとそのことをいってたんだけど・・・。 |
哲野 |
私もそう思うんですよ。2010年NPT再検討会議で、非同盟諸国の演説を通して読んでみると、彼らが核兵器にうんざりしていることはよくわかる。核兵器は「犯罪だ」と直接「犯罪」という言葉を使ったのはイランのアフマニネジャドとベネスエラの代表ですが、他の国々も核兵器をほとほと嫌がっているのがよくわかる。
翻って広島の被爆者団体が政府や周りに遠慮する形で、原爆の犯罪性に触れないのは、いかにも21世紀的でないと思う・・・。
逆に言えば、だからこそ広島・長崎、特に広島に、アメリカは特別な手当をしてるのかもしれませんね。 |
平岡 |
うん! |
哲野 |
証拠がないから何とも言えない。 |
平岡 |
そうそう。これはわからない。だけど、そう思わざるを得ないような状況がある。
でまぁ、アメリカの過ちを問い正すことはね、誤り、間違っているかの如く、我々はマインドコントロールされてる。戦後。 |
哲野 |
それは狭量なことであると言われたり、それは復讐心を持ってるからだと・・・。 |
平岡 |
そうそう。その復讐は復讐を呼び、それじゃ平和は来ない、と必ず言われる。憎しみから平和は生まれないとかね。しかし憎しみを全く捨象するというようなことはね、言葉の上だけであって。そういう憎しみがわからなくて、なんでイラクの人たちの憎しみが理解できるのか。イラクの人だって言われましたよね。3年・・4年前かな?誰か呼んだんですよ。
「広島市民は、なんであんなに簡単に忘れるんか」って言われたことがある。私が「忘れちゃおらんですよ」って言ったら、「でもあなた方、責任追及したことがあるんか」って言った。
だけど、本当言えば憎しみからなり、怒りからなり、なんなり、人間の感情から起こってくる話なんで、そうした感情を捻じ曲げちゃいかんな、という思いが、最近、非常にするんです。いわゆる「和解と寛容」に腹を立てるのはそういう意味なんで。
やっぱり、相手の反省なくして許すわけにいかん。それを明らかにすることは、核兵器をなくしていく第一歩やないか。 |
|
そこの根源まで行かなきゃ、やっぱり広島って今まで何言ってたんだということになりますよ。 |
哲野 |
彼女の言葉に(と網野を指しながら)・・・これは彼女のセリフを借りて言えば、「ヒロシマの罪は大きい」と。(苦笑い) |
平岡 |
(苦笑い) |
哲野 |
アメリカの広島・長崎への原爆投下の犯罪性を、不問に付してきたヒロシマの罪は・・・。 |
平岡 |
(苦笑いしながら)そうね。 |
哲野 |
これは、彼女の感想で、僕はそこまで「ヒロシマの罪」とまでは言いたかないけれども。ただ、責任を果たしてないという意味では、それは一種の罪かもしれないなとは思うんですけれどもね。 |