哲野 |
イランもそうだし、トルコもそうだし、ここらへんの話は一番最後に来るとして・・・。で、その翌年ですか、ICJの勧告的意見が出るのは。「核兵器」は非人道的な兵器である、ただしその使用において国家危急存亡の折りには・・・。 |
平岡 |
その限りではない、というね。条件がついてますね。 |
哲野 |
これに対して、どっかで平岡さんが失望したというような、こういう判定が出たことに対しては失望したと読んだ気がしますが・・・。 |
平岡 |
そりゃそうですね。条件付けたから。(ICJは)逃げ道を作ったですね。本来ならいかなる場合でも、いかなる理由があっても使ってはならない、使うべきでないというのがヒロシマの言い分ですから。
「しかし」というね、「しかしながら国家存亡の折り」には、もう判断しません、というわけでしょ。まぁ(ICJは)国連の機関ですから。国の主権を侵すような事は言えなかったんでしょうね、おそらく。 |
哲野 |
ということで理解していいんでしょうか。いや、というのは、あの時のハーグ国際司法裁判所の判事が12人だったかな? |
平岡 |
14人。 |
哲野 |
その14人の人たちも、みんな同じ考えだったんでしょうか?つまり・・・。 |
平岡 |
いや、違うと思いますよ、私は。あそこにいたのはイギリスもいたですしね。中国もいたかなぁ。 |
哲野 |
日本人も居ましたよね。 |
平岡 |
日本も居ましたです、小田さんってのね。これは東北大学の海洋学の権威だということで。 |
哲野 |
それは、国家主権に触れないという配慮があったから、ああいう判断に? |
平岡 |
だと、私は思いますね。国連ていうのは、それぞれの国の集まりですね。国際司法裁判所は、その国連の一部機関でしょ。国連から独立してないわけですね。そしたら国家というものを、主権を否定するようなことは出来ないんじゃないですかね。 |
哲野 |
しかし、その条件を付けてしまうと、前段の「非人道兵器である」っていうのは全くどっかに飛んでしまってしまいますよね。 |
平岡 |
うん。飛んでしまうんですよ。 |
哲野 |
まさしくトルーマン政権はあの原爆投下を使用するに当たって、後でのプロバガンダにしろ、100万人、200万人の命を救った、まさしくこれ、国家存亡の時だと彼等は判断したわけだから、トルーマンの原爆投下を国際司法裁判所の判定を持って、国際的にはあれが誤りだったという判定をしたことにはならないですね。 |
平岡 |
ならないですね。だからそれは、追認したんでしょうね。おそらく。それを否定してしまうと、核兵器禁止条約までいかないといけない。本来ね。 |
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哲野 |
ただ、日本の世論はハーグの判断を非常に勧告的意見ですかね、非常に高く評価する人が多いような気がするんですが。 |
平岡 |
それまで曖昧であった、核兵器に対する、やっぱり一般的にはという条件がつきながらも、核兵器の製造、それから使用、配備、は国際法に違反する、という判断を、共通認識としてですよ、国際社会の共通認識として出たのは一歩前進だと私は思うんです。 |